睡眠時無呼吸症候群

【寝てるのに心配】子どもの睡眠時無呼吸症候群について

【寝てるのに心配】子どもの睡眠時無呼吸症候群について
2022.10.29
子どもが寝ている時にいびきをかいたり、無呼吸になっているのを見て気になったことはありませんか? 睡眠時のいびきは大人がすると思われがちですが、子どもでもいびきをかくことがあります。一時的ないびきであれば問題はありませんが、いびきが継続的に起こっている場合、睡眠時無呼吸症候群という病気のサインかもしれません。 小児睡眠時無呼吸症候群の場合には、子どもの成長に大きく影響する可能性があります。しかし、自分の子どものいびきなどの睡眠時の状態が、受診が必要なレベルなのか判断が難しいところです。 当記事では子どもがいびきをかく原因や、小児の睡眠時無呼吸症候群について詳しく解説します。

睡眠時無呼吸症候群は子どもでもなることがある?

睡眠中の子ども睡眠時無呼吸症候群について、多くの人が肥満体型のいびきが大きい大人がなるものというイメージを持っています。

しかし、子どもでも睡眠時無呼吸症候群になることがあるのです。子どもの場合には症状が出ていたとしても睡眠時無呼吸症候群とは思われず、見過ごされることもあります。

小児の睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気なのか、治療が遅れると子どもにどのような影響が出るのかについて解説します。

小児睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が狭くなったり塞がれてしまうことで、低呼吸になったり息が止まる無呼吸を繰り返す病気です。英語表記であるSleep apnea syndromeの頭文字を取り、SAS(サス)とも呼ばれます。

大人の睡眠時無呼吸症候群は「1晩(7時間睡眠)に10秒以上の無呼吸が30回以上、または1時間に5回以上ある」ことが基準です。小児は大人の基準と異なり「無呼吸が10秒に及ばなくとも、2回分呼吸が止まることがあれば無呼吸」と診断されます。

子どもが睡眠時無呼吸症候群になる割合は1〜3%ほどで、個人差はあるものの扁桃組織が大きくなる2~6歳ごろに多く見られるとされています。

子どもの10%ほどがいびきをかくことから、潜在患者も多いと言われており注意する必要があるでしょう。

子どもの成長に影響が出る可能性も

心身の発達時期に小児睡眠時無呼吸症候群により無呼吸や低呼吸になることで、睡眠の質が低下し子どこの発育や発達に影響することがあります。

通常は子どもが睡眠した1〜2時間後に成長ホルモンが分泌され身体が発育するが、睡眠が浅くなることでホルモン分泌に影響が出て発育遅延に繋がる恐れがあります。

睡眠の質が悪くなることで、日中の眠気・集中力の低下から学業に問題が出たり、多動性障害・攻撃的行動など発達に影響するとも言われているのです。

また、無呼吸や低呼吸となり睡眠中に低酸素状態が続くと心臓にも大きな負担となったり、努力呼吸を続けることで子どもの柔らかい胸郭の骨が変形し漏斗胸(ろうときょう)になってしまうこともあります。

このように小児睡眠時無呼吸症候群は子どもの心身の成長に大きく影響を及ぼす可能性があるため、早期に発見し治療を行なっていくことが大切です。

睡眠中の子どもの大きないびきには要注意!

いびきをかく子ども小児睡眠時無呼吸症候群については、子どもの睡眠の様子から保護者が異変に気づくことが多く、最もよく見られる症状は大きないびきと言われています。

子どもの約10%はいびきをかくとされており、日中の疲れなどによる一時的ないびきであれば特に問題はありません。

しかし、無呼吸が伴うような慢性的に続く大きないびきは要注意のため、子どもの睡眠時に気になる様子がある場合はしっかりと観察を行いましょう。

小児睡眠時無呼吸症候群の症状は、睡眠時・起床時・日常生活の様々な場面で見られるため詳しく紹介します。

子どもが寝ている時の症状

子どもの睡眠時無呼吸症候群では寝ている時に大きないびき以外にも下記のような症状が出ると言われています。

  • ・呼吸が数秒間止まり無呼吸になる
  • ・眠りが浅く、夜中に何度も起きる
  • ・呼吸が荒くなったり、みぞおちが凹むような陥没呼吸が見られる
  • ・寝相が悪くなったり、座って寝たりする
  • ・寝ながら汗をかいたり、夜尿する

子どもの睡眠時の様子が少しでもおかしいなと思ったらこのような症状が出ていないか注意して見てみましょう。

睡眠時以外にも気をつけたい症状

小児睡眠時無呼吸症候群の場合、睡眠時以外にも様々な症状が見られます。

起床時に見られる症状は、寝起きが悪い・不機嫌・頭痛・喉の渇きなどです。

また日常生活においては、下記のような症状が見られます。

  • ・よく眠そうにしている・昼寝が長い
  • ・食が細く、食事に時間がかかる
  • ・注意力や集中力が低い
  • ・イライラしたり、攻撃的になりやすい

子ども本人が小児睡眠時無呼吸症候群の症状に気づき自ら訴えてくることはほとんどないため、保護者の方が睡眠時の子どもの様子、寝起きや日中の症状に注意して観察していきましょう。

子どもの睡眠時無呼吸症候群の原因とは?

いびきが起きる時の断面図睡眠時無呼吸症候群は、子どもが寝ている間に気道が狭くなったり塞がれることにより、呼吸が浅くなったり無呼吸が起こります。

睡眠時に気道が狭くなったり塞がれる原因は複数あり、その原因によっても治療方法などが変わります。

子どもの睡眠時無呼吸症候群の原因についてそれぞれ詳細を解説します。

咽頭扁桃増殖(アデノイド)

咽頭扁桃(アデノイド)とは、扁桃腺と同じリンパ組織の一つで免疫力に関係のある臓器です。鼻の一番奥にあるため、咽頭扁桃が何らかの原因により膨らむことで気道が狭くなるといびきの原因となります。

咽頭扁桃は通常3〜6歳頃に生理的に最も大きくなり、10歳を過ぎると徐々に小さくなっていきます。成長過程での生理的な肥大は多くの子どもに見られ、治療の必要ない場合がほとんどです。

しかし、学童期後半を過ぎても退縮しなかったり、咽頭扁桃の肥大により気道が塞がれ睡眠時に無呼吸などの症状が見られる場合には専門家の判断により治療を行う必要があります。

口蓋扁桃肥大

口蓋扁桃とはのどちんこの両側にある免疫機能で、一般的に扁桃腺と呼ばれています。ウイルスや細菌が口や鼻から侵入してくるのを防ぐ働きをしており、免疫が発達段階にある幼少期には細菌感染などにより肥大するのは珍しくありません。

通常、口蓋扁桃は4〜5歳で肥大し7〜8歳で最も大きくなり、その後退縮していきます。生理的な肥大は子どもには一般的に見られるため、基本的には治療は必要ではありません。

しかし、口蓋扁桃が病的に過度肥大すると空気の通り道である気道が狭窄するなど、睡眠時に無呼吸を引き起こす原因となります。

生活に支障が出るほどの病的な肥大になると自然治癒することが難しく、薬物治療や手術などによる治療が必要です。

アレルギー性鼻炎

最近では、花粉症やダニ・ハウスダストなどによるアレルギー性鼻炎が子どもにも多く見られるようになっています。

多くのアレルギー物質に反応し通年生のアレルギー性鼻炎が続くと、鼻閉の症状により睡眠時の無呼吸へと繋がる可能性があります。アレルギー性鼻炎は自然には治りにくかったり、喘息や副鼻腔炎など他の症状と合併がして起こる場合も多く、専門家の判断による治療が必要となる場合があります。

肥満

最近では、外部環境・生活習慣・遺伝などの要因による子どもの肥満が問題となっています。この40年間で子どもの肥満は3~4倍に増加しているのです。

肥満になると子どもでも大人と同じように首回りの脂肪が増えるなど、気道が狭くなることで睡眠時無呼吸症候群を引き起こす可能性があります。

子どもの肥満は成人肥満に移行することもあり、食事療法・運動療養・行動認知療法などの治療が必要となります。

子どもへの睡眠時無呼吸症候群の治療方法とは?

小さな子供を診察中小児睡眠時無呼吸症候群は、放置していると睡眠の質の低下などにより子どもの発育・発達にも大きな影響が出るため、早めに治療をすることが重要です。

睡眠時無呼吸症候群を引き起こす原因は複数あり、正しく治療を行うためにも専門家の臨床判断に基づいた診断を受ける必要があります。

睡眠時や日中の症状、睡眠ポリグラフ検査の組み合わせによる診断や、その他にも心電図・胸部X線・動脈血ガス測定・上気道の画像検査などを基に診断されます。

小児睡眠時無呼吸症候群には、大きく分けると「保存的療法」と「手術療法」の治療方法があり、どちらの治療法でも健康保険が適応可能です。

「保存的療法」と「手術療法」の治療方法の違いについて、詳しく解説します。

保存的療法

保存的療法にも原因により複数の治療方法があります。

小児肥満の場合には、睡眠時に鼻にCPAP(シーパップ)と呼ばれるマスクをつけることで空気を送り込み気道を開く治療方法を行なったり、根本的な改善のために減量に取り組むための食事療法・運動療養・行動認知療法などが行われます。

症状が軽度の場合には、横向き枕の使用など睡眠時の姿勢の指導だけでも十分な効果がある場合もあります。

アレルギー性鼻炎などによる鼻閉が軽症の場合、薬物治療にて点鼻薬や抗アレルギー薬を内服することで症状の改善が見られるケースもあります。

手術療法

アデノイドや口蓋扁桃の過剰な肥大で睡眠時に無呼吸や低呼吸が継続的に起こり、保存療法では改善が見られない場合には「アデノイド切除術」や「口蓋扁桃摘出術」の手術療法が検討されます。

手術は3〜4歳以降に通常は行われますが、睡眠時無呼吸症候群の症状が重い場合には成長•発達に影響が出ることから乳幼児でも手術を行う場合もあります。

全身麻酔下で手術が行われ、手術の後は約1週間の入院が必要です。

気道を塞いでいた扁桃を物理的に摘出するため、睡眠時無呼吸症候群の症状は多くの場合大きく改善します。

摘出手術以外にも、鼻閉の症状が重い場合には耳鼻科にてレーザー治療を行うこともあります。

睡眠時の子どもの様子が気になった時は早めの受診を

小児科での風景小児の睡眠時無呼吸症候は子どもの発育・発達に大きく影響を与える可能性があります。子ども本人が自分で症状に気づくことは難しいため、家族が睡眠時や日中の行動に心配な点がないかを注意して観察することが早期発見に繋がります。

症状は睡眠時のいびきや無呼吸以外にも、起床時、日常の生活の中でなど様々な場面で現れます。子どもの様子で気になる点があった場合には、小児科や耳鼻科咽喉科を早めに受診するようにしましょう。

小児の睡眠時無呼吸症候は、専門医による睡眠ポリグラフ検査や、その他にも心電図・胸部X線・動脈血ガス測定・上気道の画像検査などを基に診断されます。病院によっては予約が必要なこともありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。

よくある質問

Q.子どものいびきが大きい時は病気の可能性がある?

A.はい。子どものいびきが大きいときには睡眠時無呼吸症候群という病気の可能性があります。寝ている間に呼吸が止まる無呼吸や低呼吸を起こしている場合には、睡眠の質が下がり日中の眠気や集中力の低下により学業に問題が出ることもあります。睡眠が浅くなることでホルモン分泌にも影響が出て発育遅延に繋がったり、多動性障害・攻撃的行動など発達にも影響すると言われています。また、睡眠中の低酸素状態が続くことで心臓にも負担となったり、努力呼吸により胸郭の骨が変形する場合もあります。このように小児睡眠時無呼吸症候群は子どもの心身の成長に大きく影響を及ぼす可能性があるため、早期に発見し治療を行なっていくことが大切です。

Q.小児睡眠時無呼吸症候群の原因と治療方法は?

A.小児睡眠時無呼吸症候群の原因には、咽頭扁桃増殖(アデノイド)・口蓋扁桃肥大・アレルギー性鼻炎・肥満などがあげられます。治療方法は大きく分けて「保存的療法」と「手術療法」の2つです。肥満の場合は、睡眠時に鼻にCPAP(シーパップ)と呼ばれるマスクをつけることで空気を送り込み気道を開く治療方法を行なったり、アレルギー性鼻炎などによる鼻閉が軽症の場合、薬物治療にて点鼻薬や抗アレルギー薬を内服することで症状の改善が見られるケースもあります。保存療法では改善が見られない場合には「アデノイド切除術」や「口蓋扁桃摘出術」の手術療法が検討されます。