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【体がだるい…】糖尿病の方必見!睡眠改善方法について

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睡眠Dr. 編集部

睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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  2. 【実は迷信?】北枕に科学的根拠はあるのか徹底調査

  3. 寝る時の適正温度は何度?快眠できるエアコンの使い方と電気代

糖尿病患者に多い睡眠障害とは?

ベッドで目頭を押さえている女性
まずは、糖尿病の患者を悩ます睡眠障害には、どんなものがあるか見てみましょう。
主に以下の3つがあげられます。

  • ・不眠症
  • ・閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)
  • ・レストレスレッグス症候群

なぜ糖尿病患者は、睡眠障害を併発するのでしょうか。それぞれの睡眠障害の特徴とともに、考えられる原因を紹介します。

不眠症

糖尿病患者の中には「夜なかなか眠れなくて困る」「夜中に目が覚めてしまう」などの、不眠症状で悩む人がいます。不眠症は、寝つきに悩む「入眠障害」や夜間や早朝に目が覚める「中途覚醒」「早朝覚醒」などの症状があり、その原因はさまざまです。
糖尿病患者は不眠症を発症しやすいといわれています。

不眠の原因のひとつに、夜間の血糖コントロール不良があげられます。高血糖で喉が渇いて眠れなかったり、水分を多めにとった結果、夜間頻尿で目が覚めたりするようです。
また、糖尿病性の末梢神経障害による疼痛も、不眠の原因のひとつです。手足がしびれたり、こむら返りが起きたりして、寝ようと思っても落ち着けない状態が続きます。のちに解説するレストレスレッグス症候群も、末梢神経障害のひとつです。
ほかにも、糖尿病の治療に関する不安やストレスをきっかけに、うつ病を発生している患者さんもいます。うつ病も、睡眠障害が現れやすい病気のひとつとして有名です。

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)

閉塞性睡眠時無呼吸とは、OSAとも呼ばれる慢性睡眠障害です。
睡眠中に上気道の閉塞を繰り返すため、低酸素血症や高炭酸ガス血症などを引き起こします。
倦怠感や呼吸停止による覚醒、日中の酷い眠気などが代表的な症状で、いびきを家族に指摘される人も少なくありません。
低酸素血症を繰り返すため、心循環器系に大きな負担をかけています。高血圧や不整脈、虚血性心疾患などの合併症を起こす場合もあります。

OSAの主な治療は、呼吸を助けてくれる機械を装着して寝るCPAP療法が一般的です。CPAP療法を始めた糖尿病患者は、インスリン感受性が改善したとの研究結果もあります。
またOSA患者の中には、肥満を原因として発症している人も多いため、減量で症状が軽減するケースも少なくありません。

レストレスレッグス症候群(RLS)

レストレスレッグス症候群とは、むずむず脚症候群とも呼ばれる睡眠障害です。
ベッドに入った瞬間に、脚がムズムズしたり、虫が這うような不快感が起きたりと、耐えがたい症状に悩まされます。脚を動かすと症状が和らぐ傾向にあるため、なかなか眠りにつけません。
レストレスレッグス症候群の原因は、遺伝や鉄欠乏性貧血、妊娠などがあげられますが、糖尿病もそのひとつといわれています。
なぜ糖尿病がレストレスレッグス症候群の原因になるのでしょうか。それは、糖尿病の進行によって起こる、腎不全が関係しているのではないかと考えられています。しかし、レストレスレッグス症候群の直接的な原因は、まだ明らかになっていません。




睡眠と血糖値の関係性

画像(素材番号 : 88061476)
職場でのランチ後、急な眠気に襲われ、デスクで居眠りをした経験はありませんか?実は血糖値と睡眠には、深い関係性があります。
通常、食後は血糖値が上昇しますが、インスリンやグルカゴンなどのホルモンによって調整されています。ホルモンの働きもあって、血糖値は急激には上昇しません。
しかし、糖質の多い食事を摂ると、食後に血糖値が急激に上昇。すると血糖値を下げようと、インスリン分泌が過剰になり、血糖値は急低下します。ジェットコースターのように血糖値が乱高下するため、倦怠感や眠気を感じるといわれています。この現象は、血糖値スパイクとも呼ばれています。

低血糖も眠気を引き起こす

血糖値スパイクにより、急激に血糖値が下がると、耐えがたい眠気に襲われることがあります。
インスリンを過剰分泌して血糖値を下げた場合、脳に供給されるブドウ糖が不足します。脳にとって、ブドウ糖はエネルギーの源。ブドウ糖が不足すると、眠気やだるさを引き起こします。
そのほか低血糖の症状としては、めまいや立ちくらみ、倦怠感や不安などがあります。
酷いときには、意識がもうろうとしたり、けいれんしたりする可能性もあるため、注意が必要です。




糖尿病の原因となるさまざまな睡眠障害

ベッドで頭を押さえる女性
先述したように、睡眠と糖尿病には、深い関係性があるといわれています。
糖尿病患者は睡眠障害に悩まされやすいですが、逆に、睡眠障害が糖尿病のリスクを高める可能性もあります。
ここからは、糖尿病の原因となる睡眠障害について見ていきましょう。

慢性的な睡眠不足

長期間の睡眠不足は、2型糖尿病の発生率を高めるとの研究結果があります。睡眠不足が続くと、空腹時の血糖値が上昇し、基礎インスリン分泌量が低下。糖尿病やメタボリックシンドロームなど、生活習慣病の原因になるといわれています。
また不規則な生活を送っている人は、体重増加を招きやすく、インスリン感受性の低下に大きな影響を与える可能性があるそうです。
夜遅くに夕食を摂ると、消化のため、睡眠中も内蔵が働き続けます。胃腸が休まらないため、朝起きても倦怠感が抜けず、朝食が入らないといる人もいるでしょう。言うまでもなく、朝食を抜いた1日2食の食生活は、肥満の原因です。
このような悪循環が続いた結果、糖尿病を患う人も少なくありません。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群の患者も、糖尿病になりやすいといわれています。
睡眠時無呼吸症候群になると、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、充分な酸素を取り入れられなくなったりと、しっかり眠れない状態に。睡眠の質が低下するためストレスが溜まりやすく、ホルモンバランスも乱れてしまいます。

ストレスホルモンの分泌は、血糖値や血圧上昇の原因です。脂肪を溜め込みやすい身体になるため、体内のインスリン分泌機能も低下。ますます糖尿病のリスクを高めてしまうのです。
大きないびきや日中の眠気が気になる人は、専門医を受診して検査を受けましょう。
睡眠時無呼吸症候群と糖尿病を防止するためには、食生活の見直しが有効です。肥満体型から抜け出せば、睡眠時の呼吸も楽になり、ストレスから暴飲暴食することも減るでしょう。




適切な睡眠時間の目安とは

白い布団の中で熟睡する女性
ところで「何時間眠るのが適正なのか?」と疑問に思ったことはありませんか?
ひと昔前までは「1日8時間の睡眠時間を確保しましょう」と啓発されていました。
しかし最近では、適正な睡眠時間は人によって異なるため、正解はないといわれています。
平成15年に厚生労働省が発表した「健康づくりのための睡眠指針検討会報告書」では、下記の様に記載されています。

快適な睡眠を確保するための、睡眠時間、睡眠パターン等は人それぞれで個人差があります。特に年齢の影響は大きく、10歳代では、8から10時間、成人以降50歳代までは、6.5から7.5時間、60歳代以上で平均6時間弱と、高齢になるほど、概して必要な睡眠時間が短くなることが報告されており、無理に長時間眠ろうとすることで、かえって睡眠の質を低下させることがあることに留意することが必要です。また、寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減るため、快適に睡眠を確保できているかを評価する方法の一つとして、日中しっかり目覚めて過ごせているかを目安にすることが重要です。
引用:健康づくりのための睡眠指針検討会報告書

つまり、快適な睡眠時間や睡眠パターンは人それぞれ。睡眠が十分確保されているかは、日中に眠気を感じずに過ごせているか、で判断します。
たとえ1日5時間の睡眠時間でも、日中活動的に過ごせており、不自由を感じていないなら適正な睡眠時間といえるでしょう。反対に、1日7時間寝ているのに昼間の眠気があり、生活に影響があるなら、睡眠時間が不足している可能性があります。
また、しっかりと睡眠時間を確保しているのに、眠気に悩まされている人は、睡眠の質に問題があると考えられます。浅い睡眠で熟睡できず、疲れが取れていないのかもしれません。
そのほか、ナルコレプシーや特発性過眠症などの病気の可能性もあるため、不安なときは専門医を受診しましょう。




良い睡眠のためにできること

風に舞い上がるカーテンの中に目をつむっている女性
持病のある・なしにかかわらず、毎日を活動的に過ごすためには、良い睡眠が欠かせません。
日中の眠気のせいで、思うような成果が出せなかったり、先生や上司から叱られたりすると、自己肯定感にも影響するでしょう。常に疲れや倦怠感を抱えたままでは、豊かな生活とはいえませんよね。
ここからは、睡眠の質を向上させるために、心がけてほしい習慣を紹介します。

規則正しい生活

夜更かしが習慣になっている人は、早寝早起きにシフトできないか、生活スタイルを見直してみましょう。
夜遅くまでテレビを見ている人は、録画機能を活用してはいかがでしょうか。朝活と称して、夜の活動を朝に回すだけで、自己肯定感もアップします。
朝の読書や散歩も、1日のスタートが気持ちよく切れるのでおすすめです。朝が苦手な人は、起きたら一番にカーテンを開けましょう。朝日を浴びると体内時計がリセットされ、すぐに目が覚めます。
また、休日も同じスケジュールで起き、リズムを乱さないようにしましょう。休日に平日の睡眠不足をカバーしたい人は、短時間の昼寝がおすすめです。夜の寝つきを妨げない程度に昼寝をすると、頭もスッキリしますよ。
睡眠のリズムを整えるために、規則正しい生活を送りましょう。

運動習慣

運動習慣のない人は、毎日無理のない範囲で運動するように心がけましょう。適度な運動は程よい疲れを与えてくれるため、寝つきを良くし、睡眠の質を高めてくれます。
散歩やウォーキング、軽いランニングなどがおすすめです。有酸素運動は、心肺機能を向上させたり血圧を安定させたりと、さまざまな効果があります。
屋外での運動が億劫なら、ストレッチやヨガに取り組んでみましょう。最近ではYouTubeでも、たくさんの家トレ動画が配信されています。音楽に合わせて動くと、ストレス解消にもなりますよ。

質の良い食事

運動と同じく、食生活も睡眠の質の向上に深く関係しています。
コーヒーや紅茶に含まれるカフェインは、寝つきを妨げ、眠りを浅くします。睡眠のためには、夕方以降に飲むのは避けましょう。

飲酒も同様です。アルコールは寝つきを良くするイメージがありますが、中途覚醒を促します。さらに利尿作用も加わってトイレが近くなるため、安眠できません。
1日3食、バランスの良い食事を心がけ、不足しがちなタンパク質や食物繊維を積極的に摂りましょう。栄養バランスに優れた食事は、糖尿病の治療にも欠かせません。
とはいえ、食事はストレス解消にも有効です。制限と上手に付き合い、長期的に食事療法と付き合っていきましょう。

リラックスできる就寝スペース

生活習慣の改善とともに、就寝スペースにも着眼してみましょう。
マットレスの硬さや枕の高さは、自分の身体に適していますか?周囲の騒音や街灯の明るさが気になって寝付けないなど、明確な問題はないでしょうか。
もしも寝室や寝具に問題があるなら、これをきっかけに、部屋の模様替えに挑戦してみましょう。
身体にフィットしたマットレスや枕、清潔なリネンやシーツを揃えれば、それだけで朝までぐっすり眠れる可能性があります。防音カーテンや間接照明など、インテリアにもこだわり、気分転換を図るのもおすすめです。
ぜひ、安眠できる就寝スペースに整えてくださいね。




まとめ

白い服を身にまとってベッドで腕を伸ばしている女性
糖尿病患者さんの中にも、不眠症や日中の眠気で悩む人が多くいらっしゃいます。なぜなら、血糖値は睡眠に深く関係しているからです。
また睡眠不足は生活の質を下げるため、糖尿病の治療にも消極的になる可能性もあります。
糖尿病治療のためにも、できることから少しずつ睡眠を改善していきましょう。




よくある質問

Q.糖尿病の人が発症しやすい睡眠障害にはどのようなものがある?

A.糖尿病患者は、不眠症や閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)という睡眠障害を引き起こす可能性が有ります。不眠症の主な症状については「【不眠症とは?】不眠症がもたらす症状を徹底解説」にて解説しています。

Q.糖尿病の患者が眠気を感じやすいのはなぜ?

A.低血糖時には、眠気やだるさを感じやすい傾向にあります。朝食を毎日摂る、過度な糖質制限ダイエットを中止するなどの対策をしましょう。

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