睡眠時無呼吸症候群

【治したいけど費用が…】睡眠時無呼吸症候群の治療・検査費用比較

2022.11.07
睡眠時無呼吸症候群は、現在では珍しいものとはいえない病気です。自覚症状の乏しい病気ではありますが、放置しておくことによって心疾患のリスクが上がったり、日中の思いがけない事故を招いたりしてしまう病気でもあります。幸いなことに、この睡眠時無呼吸症候群の治療方法はすでに確立しているため、適切な治療を行えば状況は改善します。
ただ、「治したいと思っているけれど、費用の面が気になる」という人も多いのではないでしょうか。 そこでここでは
・そもそも睡眠時無呼吸症候群とは何か、睡眠時無呼吸症候群を放置することの危険性
・睡眠時無呼吸症候群は保険が利くのか
・睡眠時無呼吸症候群の治療費用の目安
について解説していきます。

睡眠時無呼吸症候群の概要と危険性

睡眠時無呼吸症候群“SAS”とは、睡眠時に無呼吸状態に陥ったり低呼吸状態に陥ったりする状態をいいます。
肥満状態にある人に起こりやすい症状ではありますが、顎や首の形によってはやせた人でも起こるものです。睡眠時無呼吸症候群の潜在患者数は500万人にものぼるとされていて、男性の11人に1人、女性の33人に1人程度はこれを患っていると考えられています。

睡眠時無呼吸症候群を放置しておくとどうなる?

睡眠時無呼吸症候群は寝ているときに起きるものであるため、本人に自覚症状はほとんどありません。睡眠時無呼吸症候群を患うと大きないびきを伴うことが多いです。このいびきがうるさいと家族などから指摘されて、初めて睡眠時無呼吸症候群であることを気づく人が多いとされています。

睡眠時無呼吸症候群は痛みなどを伴う病気ではありませんし、睡眠時無呼吸症候群を直接的な原因として窒息死する人はいません。
しかしこれを放置しておくと寝不足になりやすくなり、日中に強い眠気に襲われるようになります。その結果として、交通事故の「加害者」になってしまう可能性が高くなります。
また、心疾患や脳疾患のリスクが上がります

睡眠時無呼吸症候群の予後について

睡眠時無呼吸症候群を患っている人は、12年後の死亡リスクが睡眠時無呼吸症候群を患っていない人に比べて3~4倍程度になります。特に、重症の睡眠時無呼吸症候群を患っている人の場合は、夜間に心房細動(しんぼうさいどう。心臓上部の部屋が震える病気であり、不整脈の一種。これの合併症として、脳梗塞などが挙げられる)が起きる確率が4倍以上であるという報告もあります。

たしかに、睡眠時無呼吸症候群自体は直接的に死を招く病ではありませんが、放置しておくことによって、重大な後遺症や死に至る病を引き起こしかねない病気だといえるのです。このため、睡眠時無呼吸症候群はそれだと判断された時点で、すぐに治療にかかる必要があります。

睡眠時無呼吸症候群は保険がきく? きかない?

睡眠時無呼吸症候群は放置しておくと非常にリスクの高い病気です。
では、睡眠時無呼吸症候群には保険は利くのでしょうか。

保険診療の考え方の基本

日本には、「国民皆保険」という考え方があります。これは、「みんなで少しずつお金を支払うことで、高額になりがちな医療サービスを安く受けられるようにしよう」とする考え方です。国民健康保険などに入っていれば、自己負担額1~3割(年収などによって異なる。人によっては自己負担額が0になることもある)で治療が受けられるようになっているのです。
「保険を使って受けられる治療」は、「保険診療」と呼ばれます。

ただし、その人が健康に日々を営めるようにするための治療だけが「保険診療」となります。
見た目を美しくするための施術(美容整形など)は保険診療外です。

睡眠時無呼吸症候群は保険対象内で治療を受けられる

睡眠時無呼吸症候群の場合は原則として、「保険診療」での治療が可能です。現在は睡眠時無呼吸症候群の治療のほとんどすべてが、保険診療となっています。

ちなみに、現在、睡眠時無呼吸症候群の治療方法でもっともよく用いられているCPAPを使った治療は、かつては保険診療外の治療方法でした。これが健康保険適応の治療となったのは、今から25年ほど前の1998年のことです。
この年には高周波を使った治療も行われるようになりました。
2004年になると、マウスピースを使った治療も保険診療となり、治療の選択肢の幅が広がりました。

ただし一部の治療は自費診療

睡眠時無呼吸症候群の治療は原則として保険診療となりますが、一部の治療は自費診療(自由診療ともいう。保険診療とは異なり、費用の10割を自分で支払うもの。)です。

たとえば、「マウスピース」があります。
睡眠時無呼吸症候群で使われる基本のマウスピースは、着けている間は口を開くことができません。しかし自由診療のマウスピースの場合は、上の歯と下の歯の間に隙間ができるので、鼻づまりのときでも快適にすごせます。また自由診療のマウスピースは、「どれくらい顎を前に出すか」を任意に調節できます。

睡眠時無呼吸症候群の費用の目安

ここからは、睡眠時無呼吸症候群の治療にかかる費用を具体的にお伝えしていきます。
なお上での述べたように、保険の支払額は収入などによって1~3割程度と違いがあります。
ここでは主に「3割」を想定してお伝えします。

睡眠時無呼吸症候群の治療、まずは検査にかかる費用の目安

睡眠時無呼吸症候群の費用は、簡単な検査の場合は3000円と前後となるでしょう。
より本格的な検査(終夜睡眠ポリグラフ検査。睡眠の状態を確かめる検査であり、脳波や心電図、いびきなどについての詳しい情報が手に入る。一晩病院で過ごす必要がある)の場合は、10000円~30000円程度の費用がかかります。

なお保険診療は基本的に「どの医療機関で受けても、内容が同じならばかかる金額も同じ」という特徴がありますが、入院する場合は入院先によって多少費用が異なります。事前に、どれくらいの費用がかかるのかを病院に確認しておくと安心です。

薬による治療の目安

睡眠時無呼吸症候群は、薬による治療で症状が改善することがあります。睡眠時無呼吸症候群の治療に使われる薬はいくつかありますが、そのうちのひとつに、「モダフィニル(商品名はモディオダール錠100mg)」があります。これは精神神経用薬のうちのひとつであり、睡眠時無呼吸症候群による眠気に悩まされている人に処方されるものです。これを飲むことで、日中の眠気を軽減することができます。

通常、1日に200mg飲むことになりますが、最大で1日に300mgまで増やすことができます。
1錠の値段は344.1円ですから200mgの場合は688.2円、3割負担で206円程度になるでしょう。

マウスピース治療の目安

上でも述べたように、睡眠時無呼吸症候群の治療方法として「マウスピース」が有用です。マウスピースを使うことで口呼吸ができなくなり、鼻で呼吸ができるようになるためです。
マウスピースは、事前に終夜睡眠ポリグラフ検査などを受けたのちに、医師によって必要性が認められれば保険を使って作ることができます。

マウスピースは保険が利いた場合でも12000円ほどかかります。7割が控除された状態でもこの金額ですから、ある程度の出費は覚悟しなければなりません。
保険適用外のマウスピースの場合は値段を正確に算出することは難しいのですが、15万円以上の出費を覚悟しておかなければなりません。

CPAPをレンタルする場合の目安

「CPAP」は、圧力をかけた空気を鼻部分から送り込んで、気道に空気が通るようにするための機械です。
大がかりな機械ではあるものの、非常に有効性が高い機械であるため、CPAPは睡眠時無呼吸症候群の治療の基本ともなるものです。このCPAPはレンタルすることもできれば、購入することもできます。

レンタルという手法で使い続けるのが一般的で、この場合は月に5000円程度かかります。なおCPAPはその性質上、フィルターの交換や機械のメンテナンスも必要になりますが、「5000円」という金額にはこれらも含まれます。
また、とったデータを医師に伝える機能もCPAPには備えられています。

CPAPを購入する場合の目安

CPAPはレンタルで使い続けることが前提となるものですが、購入することもできます。

CPAPは購入しようとすると15万円~45万円程度もかかるともいわれており、決して安いものではありません。またレンタル品のときには標準仕様となっていたデータ解析も、販売元によってできる・できないが異なってくるようです。
ただ、睡眠時無呼吸症候群は「完治することが保証されているもの」ではありません。そのため、非常に長い期間にわたって使い続けることになりそうならば、「購入」というのもひとつの選択肢になる可能性もあります。購入に踏み切る場合は、「販売元はどこまでやってくれるか」「費用はいくらなのか」「メンテナンス費用はかかるのか」をよく調べておきましょう

手術を受ける場合の目安

「病気を根本的に治すのであれば、手術を受ける必要がある」と考えている人もいるかもしれません。たしかに睡眠時無呼吸症候群には、レーザー手術などの選択肢もあります。ただし「レーザー手術は、CPAPでの治療の上位にあたる治療方法である」とはいえません。手術を希望する場合は、医師とよく話し合ってからにしましょう。

睡眠時無呼吸症候群の場合は、手術を受ける場合も保険が適用されます。保険が利いた状態で、かかる費用は35000円前後とみられます。この費用を高いと思うか安いと思うかは人それぞれですが、選択肢のひとつとして押さえておくとよいでしょう。

費用を軽減するためにできること

命を守るためと考えれば睡眠時無呼吸症候群の治療にかかる費用は決して高くはないのですが、それでも、毎日毎月出費が生じたり、一時的とはいえそれなりに高い料金が必要になったりすることは事実です。
そのため、「お金のかからない対策」を考えるべきでしょう。

活習慣の見直しを行う

暴飲暴食や偏った食生活は、睡眠時無呼吸症候群を悪化させます。また喫煙や過度なストレスも、睡眠時無呼吸症候群の悪化要因となりえます。まずはこれらを改めましょう。

規則正しい時間にバランスの取れた食事をし、お酒はやめるか節度を持って楽しむようにします。喫煙は睡眠時無呼吸症候群にも、健康にも百害あって一利なしですから、止めることが推奨されます。どうしても止められないのであれば節煙を心がけましょう。また完全にストレスから解き放たれた生活を送ることは無理かと思われますが、ストレスを上手にコントロールする技術を持っておくようにします。

肥満を解消する

「肥満」は、睡眠時無呼吸症候群のもっとも大きなリスク要因です。睡眠時無呼吸症候群を患っている人のうち、60パーセント~70パーセントは肥満の状態にあるといわれています。
上でも述べたように食生活を整え、カロリー過多の生活を改めるようにします。夜中の食事は避けましょう。

また、軽い運動でも構いませんから、毎日の生活のなかに運動を取り入れるようにしてください。1日に30分程度の軽い運動を組み込むのが理想的ですが、それが難しい場合は5分でも10分でもよいので、「意識して体を動かす時間」を作りましょう。

生命保険などを利用する

「自己負担額を減らす」という意味では、「生命保険への加入」も有効です。保険金の給付条件は各生命保険で異なると思われますが、「健康診断の結果、医師から睡眠時無呼吸症候群を疑われたため検査入院をする場合は、入院給付金を出す」としている生命保険会社もあります。

事前に生命保険に入っておくことが前提とはなりますし、生命保険のプランによって内容は異なるものと思われますが、生命保険に入っているのであれば給付条件を確認・条件を満たしているのであれば申請するようにしてください。
※各条件は、必ず契約条件を確認してください。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は治療することが求められる病気ですが、治療方法はすでに確立しており、基本的には保険診療で対応していくことができます。
睡眠時無呼吸症候群の疑いがあると判断されたのならば、早めに治療に踏み切りたいものですね。

よくある質問

Q.治療方法はだれが決める?

A.話し合いで決めていく
睡眠時無呼吸症候群は多くの人を悩ませる病気ですが、合併症の有無などの「背景」は人によって異なります。そのためそれらを踏まえて、医師と患者さんで話し合って治療方法を決めていきます。

Q.自力で治すことは可能か不可能か

A.不可能ではない
睡眠時無呼吸症候群は生活習慣と密接に関わっている病気なので、生活習慣を改善することで治すことは不可能ではありません。ただし、「本当に睡眠時無呼吸症候群か」「原因として、ほかの病気が潜んでいないか」を知るために、一度は医師の診察を受けることをおすすめします。