睡眠時無呼吸症候群

【あなたは大丈夫?】うつ病と睡眠時無呼吸症候群の関係性について

2022.10.28
心配事や緊張状態が特にないのに「夜間に何度も目が覚める」「日中に強い眠気を感じる」ことはありませんか。 ちょっとしたダルさや疲れがとれない状態が数日続くときは「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」と「うつ病」に同時にかかっている可能性があります。 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査、治療を受けると夜間の睡眠の質が改善されて目覚めがよくなり、日中の強い眠気が改善し、憂うつな気持ちが緩和されるかもしれません。 この記事では睡眠時無呼吸症候群(SAS)とうつ病の関係性について解説しますのでぜひご覧ください。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS:sleep apnea syndrome) は睡眠中に呼吸停止を繰り返す病気です。1回に10秒以上呼吸が止まる、呼吸が弱くなる低呼吸の状態を1時間あたり5回以上繰り返すと睡眠時無呼吸症候群となります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の代表的な症状に「いびき」「起床時のつらさ」「日中の強い眠気」が挙げられるので、順に解説します。

いびきが気になる

ご自分でいびきを聞いて夜中に目が覚めたり、ご家族から指摘されたりなどの経験はありませんか。いびきは、気道の粘膜が震えることで音が出る状態です。気道の粘膜の震えは気道が細くなったり、気道の入り口が狭くなることで発生します。
いびきが出る原因になるのは主に以下の2つです。

  • ・肥満で首周りに脂肪がついて気道を圧迫する
  • ・顎が小さく、舌がノドの奥に落ちてしまい気道をふさぐ

気道が細い、気道の入り口が狭くなると睡眠中に酸素を充分に取り込めませんので、呼吸が困難になりやすくなります。

朝、起きるのがつらい

睡眠時無呼吸症候群では夜間の呼吸停止により睡眠が妨げられるため、朝、起きるのがつらいという症状が現れます。
朝起きるのがつらいという経験は誰にでもありますが、この状態が何日も続くと睡眠時無呼吸症候群(SAS)のサインです。

  • ・夜間に何度も目が覚める
  • ・早く寝ているのに熟睡した感じがしない
  • ・いびきを書いている自覚、家族やパートナーからいびきを指摘されたことがある

特に身体の不調がないのに朝起きるのがつらいと、原因は睡眠時の呼吸障害にあるかもしれません。

日中強い眠気を感じる

日中の強い眠気も睡眠時無呼吸症候群(SAS)に関係ある症状のひとつです。
人間の生活サイクルでは昼食後お腹が膨れるために一時的に強い眠気を感じることはありますが、時間帯に関わらず常に強い眠気を感じる場合、睡眠時無呼吸症候群が疑われます。

  • ・車を運転中に交通事故寸前だった
  • ・強い眠気のために仕事に集中できない
  • ・テスト中に眠ってしまった

思いつく体調不良がないのに日中に強い眠気を感じている場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれません。

睡眠時無呼吸症候群になりやすい人の特徴

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠時に気道がふさがってしまう閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)と、脳からの伝達がなくなる中枢性睡眠時無呼吸タイプ(CSA)に分類され、一般的に睡眠時無呼吸症候群というと前者です。
病気の統計データをみると、30代〜60代の男性、50代以降の閉経後の女性に多いです。体型や骨格の特徴は、肥満や小顔の方に多い傾向があります。
代表的な特徴である「小顔」「首周りに脂肪がついている」「生活習慣が乱れている」について解説します。

小顔の人

日本人は諸外国の人々に比べて小柄で、小顔の人が多い傾向にあります。小顔の人は顎が小さいため、寝ている時に舌の付け根がノドにずり落ちてしまい、気道を塞ぎがちになります。
顎の大きさが標準的でも舌や舌の付け根が大きいと小顔の人と同様の状態です。
顎の大きさや舌の大きさは口を大きく開けて「のどちんこ」がみえるかどうかで判断できます。「のどちんこ」がみえない場合は気道が狭く、睡眠時無呼吸症候群(SAS)になりやすい傾向があります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)のセルフチェックとしても利用されています。

首に脂肪がついている人

性別に限らず肥満体型の人は睡眠時無呼吸症候群(SAS)になりやすいです。
脂肪がつくと聞くと、太ももやお腹周りのイメージがありますが、首の周りにもつきます。首周りが太くなると、中にある上気道を狭めやすくなるため、睡眠時に呼吸しにくくなります。
また脂肪は舌にもつくため、舌が太っていきます。すると仰向けで寝た時に舌がノドの奥にずり落ちがちになり、上気道を狭めていきます。
舌が太くなった状態で鼻呼吸をすると舌が奥にいくため呼吸が苦しく感じます。このため、口呼吸がメインになると、寝ているときも口呼吸になりやすいです。
通常は鼻呼吸で苦しい時に口呼吸に移るため、最初から口呼吸をしてしまうとあとがありません。
睡眠時に呼吸しにくくなり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の定義に当てはまると検査や治療が必要です。

生活習慣がみだれがちな人

男性で睡眠時無呼吸症候群(SAS)がよく発症する年齢は30代〜60代のいわゆる「働きざかり」です。
毎日仕事や家庭に追われ、生活が不規則になると暴飲暴食に走りやすくなり、肥満のリスクが上がります。
特に寝る前の飲酒は寝付きがよくなるイメージがありますが、睡眠時に呼吸が止まり、血中の酸素濃度が低下しても気づきにくいです。
飲酒をしない人に比べて呼吸が止まっている時間が長くなるという報告があります。

うつ病とは

うつ病は継続した気分の落ち込み、何をするにも否定的な考えになるなどの症状が特徴の病気です。
気分障害のひとつで、発症の原因は今の所わかっていません。
環境の変化が密接に関わっていると考えられています。主な症状に「夜なかなか眠れない」「気分が落ち込む」「疲れやすい」が挙げられます。なお、うつ病とよく似た症状に双極性障害があるため、2週間以上続く自覚症状がある場合は自己判断で対処せず専門の先生への相談がおすすめです。

夜なかなか眠れない

生活環境の変化などで、夜、なかなか眠れないことがあります。
布団に入ってから翌朝以降のことを考えると憂うつになったことはありませんか。

  • ・布団に入ると嫌なことを考えてしまう
  • ・夜中に何度も目が覚める

寝る前にスマートフォンをみ過ぎたり、カフェインを摂取してしまう以外の理由で寝付けない場合は注意が必要です。

気分が落ち込む、疲れやすい

うつ病の症状の一つに気分の落ち込みがあります。
生活環境が変わった際になにかに取り組んで失敗すると「自分はダメな人間だ」と思いがちです。
さらに普段できていたこともできなくなってくると、さらに自分はダメな人間だと思うようになってきて、繰り返すことによって悪循環になります。
健康的な状態であれば気にならなかったり、気分が晴れるような状態が、落ち込むような思考になっていきます。
疲れやすい症状もうつ病の特徴です。
医師から「異常なし」と診断されることもあります。

  • ・ダルさが毎日続く
  • ・休みの日に休んでも疲れがとれない
  • ・身体を動かしても疲れだけが出てくる

身体を動かし、適度に汗をかくと、心地よい疲れとともに、気分がすっきりしますが、うつ病だと疲れだけがでます。

うつ病になりやすい人の特徴

うつ病になる人の環境要因は親しい人、ペットの死別、いじめなどマイナスのイメージも多いですが、結婚、栄転、新居への引っ越しなどプラスの環境変化でも心にストレスがかかるため、うつ病になる人がいます。
性格面では「完璧主義の人」「他人のお願いを断れない人」「物事の白黒をはっきりつけたい人」が代表的な特徴であるため、誰にでも起こりうる性格面について解説します。

完璧主義の人

完璧主義とは常に高い目標をかかげ、100%達成できないと気がすまない状態のことです。
完璧主義になる背景には自分一人で何でもこなそうとしたり、成果に対して正当に評価されていないと感じると、次第に失敗やミスを受け入れがたくなることが挙げられます。
理想も高く、自分だけではなく周囲にも完璧であるべきと強要したくなります。そのギャップが大きいほど心理的ストレスが大きくなるのが特徴です。
目標達成できにくいと「自分はダメ人間」と責めがちにになりますので注意が必要です。

他人のお願いを断れない人

困っている人をみると放っておけない!に代表される「他人のお願いを断れない人」もうつ病になりやすい傾向があります。
自分の予定もあるのに、他人を心配するため、心の疲労がたまりやすなります。
気が弱い人、お人好しの人、リーダー気質の人、相手との関係性を過剰に気にする人も「お願いをきいてくれそうな人」「要件を頼みやすい人」になりやすいです。
たまに引き受ける程度ならいいですが、いつも引き受けていると心にダメージが溜まっていきます。

物事の白黒をはっきりつけたい人

まじめな人、正義感が強い人に多いのが白黒はっきりつけたいと思う性格です。
物事において白黒はっきりつかないとイライラを感じるため、自分が想定していた内容と周りとの差が大きいほど強いストレスになります。
「予定通り進まないと気がすまない」「相手の意見を聞き入れない」「過程よりも結果を重視する」などの特徴があります。
まじめな人、正義感が強い人や上記のような行動を繰り返して孤立しがちな人は物事を白黒はっきりつけたい傾向があります。

睡眠時無呼吸症候群とうつ病を放っておくとどうなる?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とうつ病を放置するとそれぞれの症状の悪化以外にさまざまな病気を引き起こす可能性があります。
2つの疾患は睡眠時と日中の眠気の部分は共通点が多く、合併している例も少なくありません。
具体例として「症状の長期化」「日中の集中力の低下」「生活習慣病の悪化」があり、それぞれ説明します。

症状が長期化する

風邪など一時的な病気を除いて、慢性的な病気は放置すると症状が長期化します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置すると心不全や不整脈を引き起こします。低酸素の状態が続くと、心臓は血液中の酸素を充分に送り出すために過度に働くためです。
うつ病を放置すると回復までに時間がかかるようになります。最初は気分が落ち込む程度だったのが身体が慣れてしまい、いつも気分が落ち込むようになります。
治療を開始しても思ったように効果が得られないために、症状と治療の両方が長期化します。

日中の集中力が落ちる

睡眠時無呼吸症候群(SAS)、うつ病とともに夜間の睡眠障害があります。
・睡眠時無呼吸症候群:夜間に呼吸が停止する→夜中に何度も目がさめてしまう
・うつ病:心配事や緊張で眠りが浅い→夜間に何度も目がさめてしまう
夜間に充分な睡眠がとれないと日中の強い眠気のために、仕事や学業に支障をきたすようになります。
車の運転をする方では交通事故を引き起こすため注意が必要です。

生活習慣病につながる

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とうつ病を放置すると、生活習慣病のリスクが上がります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因に肥満があります。肥満は高血圧や糖尿病のリスク因子のひとつですし、夜間に覚醒することで生活習慣が不規則になりがちです。
うつ病では食事が楽しめるうちは自分の好きなもの、食べられるものを食べがちです。バランスが取れていればよいのですが、偏った食生活を続けていくとやがて生活習慣病につながります。
早めに検査や治療を行ったほうがあとあとの健康を考えると安心です。

睡眠時無呼吸症候群を治療するとうつ病が治る?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)を治療するとうつ病の改善につながる例を解説します。
概要は日中の眠気や気分の落ち込みがあったが、夜中のいびきで目が覚めることがある(家族やパートナーからいびきがうるさいとの指摘も含む)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療をしたら夜間に眠れるようになったので、日中の生活でも支障が減り、気分が安定するようになった。
このような症状の流れが考えられるため、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療→うつ病の治療の流れがよいでしょう。

うつ病と睡眠時無呼吸症候群の共通点

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とうつ病の共通点は、睡眠時の覚醒と日中の眠気です。
夜間によく覚醒する場合、いびきの有無、心配事や緊張状態の有無がキーポイントになります。
また、日中の眠気も症状を知るヒントになります。
充分寝たはずなのに日中に強い眠気を感じると睡眠の質が低下していると考えられます。
いびきの有無がわからず、心の状態も自覚がない場合は顎や舌の大きさのセルフチェック、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の専門の先生の治療をうけることがおすすめです。

睡眠時無呼吸症候群の治療方法

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療は3種類あります。

  • ・CPAP
  • ・マウスピース
  • ・外科療法

CPAPは寝ている間中気道に空気を送り続け、気道が狭まるのを防ぐ治療法です。睡眠時無呼吸症候群(SAS)ではごく一般的な治療で、日本でも多く行われています。
マウスピースは歯並びを矯正することで、症状を改善します。比較的初期の睡眠時無呼吸症候群(SAS)に効果が期待されます。
外科療法は気道を塞ぎがちな部分を切除する治療で、根治が期待されます。適応されるかは医師の判断になります。
睡眠をみる検査もあり、簡易検査では問診やいびきの状態をチェックし、精密検査では、泊りがけで睡眠の質をみるものもありますので、状況に応じて検査を受けると良いでしょう。

うつ病の治療方法

うつ病と診断された場合、症状を放置して治療を行わないと症状が悪化し、治りにくくなります。
まずは休養をとり、療養環境を整え、薬物療法を併用します。
症状にもよりますが、長期的に薬を服用して様子をみるのが一般的です。服用をやめずに根気よく続けることが大切です。
うつ病の回復期では、ゆう鬱な気持ちになった原因をさぐり、再発を防止するために認知行動療法や対人関係療法を行います。
うつ病のステージごとに治療方法が異なるため、一度専門の先生に相談してみましょう。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とうつ病の共通点は夜間の睡眠の質と日中の眠気でした。
いびきの自覚症状、ご家族、パートナーからの指摘があれば、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査や治療を先生に相談してみましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を改善すると睡眠の質が改善されて憂うつな気持ちやモヤモヤが緩和される可能性があります。
うつ病を治療する場合、双極性障害と症状がよく似ているため、一度専門の先生にかかることをおすすめします。
うつ病と睡眠時無呼吸症候群(SAS)の関係性を知ることで、うつ状態の原因がわかる、症状が緩和されることが期待できます。

よくある質問

Q.うつ病ですがいびきをよくかきます。睡眠時無呼吸症候群でしょうか。

A.睡眠時無呼吸症候群の特徴として、低酸素による覚醒といびきがあります。低酸素状態では夜中に息苦しくなるため目が覚める回数が増えます。また、いびきは自分で気がつく場合と家族からの指摘があります。 小顔・舌の大きさのセルフチェックは鏡をみながら大きく口をあけて舌を出し、のどちんこが見えるかどうかでチェックできます。

Q.睡眠時無呼吸症候群を治すとうつ病が治るのでしょうか?

A.可能性があります。治療により夜間の睡眠の質が改善されると、夜間の覚醒の回数が減り、日中の生活への負担が軽減されるため睡眠不足による不調の改善が期待されるためです。