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【効果あり?】睡眠時無呼吸症候群の治療薬について

2022.11.07
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が停止したり、低呼吸状態になったりする疾患です。睡眠時無呼吸症候群が原因となり、眠りが浅く一日中疲れがとれない、集中力が続かないなどの症状がありながら、「いびきをかきやすい体質」なだけと思って治療が遅れてしまうことも。睡眠時無呼吸症候群の治療には、減量、禁煙・禁酒、マウスピースの装着、手術などが挙げられますが、補助的に薬物療法を行う場合もあります。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群の治療薬にはどのようなものがあるかを紹介します。治療薬に期待できる効果、治療薬以外の治療法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

睡眠時無呼吸症候群とは


睡眠時無呼吸症候群は寝ている間にのみ症状のでる疾患で、本人は自覚することが困難なため気づかずに治療を始められないというケースがあります。また、症状を自覚している場合でも、単に「いびきをかく体質」と考え睡眠時無呼吸症候群の治療に至らない場合もあるため、気になることがあればまずは医師に相談することが大切です。

睡眠時無呼吸症候群の症状

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸停止や低呼吸に陥る疾患で、以下の3つの種類に分類されます。

  • ・閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)
  • ・中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)
  • ・OSAとCSA両方の混合型睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群の患者は「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」である場合がほとんどで、患者の数は男性が女性の4倍、肥満(BMI30以上)の人は標準体重の人の7倍この病気を発症しています。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者の85%が激しいいびきをかくと言われています。しかし、いびきをかいているからといって必ずしも閉塞性睡眠時無呼吸症候群というわけではなく、睡眠中の鼻詰まりなどでもいびきは起こるのです。いびきをかいていることに加え、疲労がとれない浅い睡眠のような症状がみられた場合に診断がでます。

睡眠時無呼吸症候群の主な症状としては、日中の過度な眠気が挙げられます。寝ている間も呼吸が止まってしまうために睡眠が浅くなり、疲れが抜けずに次の日を過ごすことになるためです。単なる眠気だと思われるかもしれませんが、強い眠気が原因で自動車衝突事故を引き起こしたり、仕事に支障をきたして雇用を失ったりするケースもあります。また、睡眠時無呼吸症候群が原因でいびき、起床時の頭痛、性機能障害のリスクが高まることも報告されています。

睡眠時無呼吸症候群の患者は睡眠中にいびきをかくことが多いため、同室で寝ているパートナーや家族も同様に不眠に陥る

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群を引き起こす原因は、肥満体型の患者によくみられる以下のような特徴です。

  • ・中咽頭(のど中央部分)が狭い
  • ・舌の付け根と扁桃の肥大
  • ・頭部が丸く首が短い
  • ・首周りが43㎝を超える
  • ・のどの側壁が厚い

これらの特徴により、寝ている間に呼吸をするための気道がふさがってしまうことで、睡眠時無呼吸症候群が引き起こされます。

睡眠時無呼吸症候群が起こる原因は、いびきが起こる原因と似ています。いびきは、睡眠時にのどがせまくなり、息を吸うときにせまい気道を空気が通ることでのどが振動し音が出ます。眠っている間のどを支える筋肉が弛緩するため気道がせまくなり音が出ますが、これが一時的に気道を塞いで呼吸が止まるほどになると起こるのが睡眠時無呼吸症候群です。

睡眠時無呼吸症候群の人が発症しやすい疾患

睡眠時無呼吸症候群を患っている人が発症しやすい疾患は以下の通りです。

  • ・高血圧
  • ・心不全
  • ・心房細動
  • ・不整脈
  • ・脳卒中
  • ・糖尿病
  • ・高脂血症
  • ・胃食道逆流症

心不全とは、心室機能障害によって生じる症候群で、息切れや腹腔への体液貯留などが発生します。心房細動は心房における速い不整調律で、動悸や呼吸困難などを引き起こす可能性があり、心房内血栓が形成された場合は脳卒中のリスクが高まります。胃食道逆流症は食べ物が胃から逆流してしまうことで、食道炎などを引き起こす可能性のある疾患です。

睡眠時無呼吸症候群治療薬の種類


睡眠時無呼吸症候群には治療薬があります。薬物治療の方向性として、「鼻づまりを改善する薬」「呼吸を改善する薬」などが挙げられます。

テオフィリン

「テオフィリン」は茶葉に含まれる成分の一種で、強力な気管支拡張作用を持っています。
日本で販売されているテオフィリン製剤の一般的な商品は以下の通りです。

  • ・テオドール
  • ・テオロング
  • ・ユニフィルLA

気管支ぜんそくや慢性気管支炎など、呼吸器系の疾患の治療に用いられることが多く、睡眠時無呼吸症候群の治療薬としても「呼吸を改善する薬」として利用されることがあります。

アセタゾラミド

「アセタゾラミド」は呼吸を調節する薬で、体内の二酸化炭素が過剰に蓄積されて血液が賛成になりすぎるのを抑え、酸素量を増やす効果があります。緑内障やてんかんの治療薬として利用されることもあります。アセタゾラミドを服用することで睡眠中の無呼吸や低呼吸は28~58%減少すると言われますが、単独の使用では睡眠時無呼吸症候群の主な症状である眠気や頭痛を改善しにくいと言われています。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬

睡眠時無呼吸症候群の症状は、呼吸が止まってしまい睡眠が浅くなってしまうことが原因で発生するため、深く安定した眠りを得るために睡眠薬を利用することがあります。

しかしベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、筋肉の緊張をやわらげる効果もあるため、筋肉の弛緩によって気道がせまくなっている睡眠時無呼吸症候群の患者に対しては一般的には使われません。ただし、安定した睡眠をとることができずに睡眠時無呼吸症候群の症状に苦しんでいるのであれば、連鎖を断ち切って症状改善を目指すために非ベンゾジアゼピン系睡眠薬を使う場合もあります。

睡眠時無呼吸症候群治療薬の効果


睡眠の質を向上して疲労感を払しょくするためには、呼吸を助けて深く眠れる状態にすることが大切です。睡眠時無呼吸症候群の治療薬は、主に「呼吸の調整」「鼻づまりの改善」「睡眠の改善」の3つの目的から活用されます。

呼吸を調節する

睡眠時無呼吸症候群はのどの周りの筋肉が弛緩して気道を塞いでしまうことで発生する疾患なので、まずは気道を確保して呼吸がスムーズにできる状態にする必要があり、呼吸を調節するためにはスプレー式の薬剤を用いることがあります。軽度の睡眠時無呼吸症候群の場合はこれらの処置で症状が改善される(呼吸がストップすることが減る)場合がありますが、呼吸を調節する薬剤での治療は中度~重度の睡眠時無呼吸症候群の患者にはあまり有効ではないと言われています。

鼻詰まりを改善する

睡眠時無呼吸症候群は、のどの気道が詰まって呼吸が止まってしまうのは、口呼吸になっていて口が開いているのが原因でもあります。口が閉じている状態であれば、上向きに眠っていても舌が奥まで落ち込むことがなく、いびきや睡眠時無呼吸症候群が発生しづらくなります。

口呼吸になってしまう原因として「鼻詰まり」が挙げられ、口呼吸に偏らないようにする目的で鼻づまりを改善する薬を処方されることがあります。鼻詰まりが解消されていれば舌が上あごから落ちずにその場に留まるので、いびきや睡眠時無呼吸症候群の治療に有効です。
鼻づまりを改善するためには、抗アレルギー剤や、スプレー式の鼻づまり薬剤を用いることがあります。

睡眠を改善する

浅すぎる眠りを改善するために睡眠薬を利用することは、睡眠時無呼吸症候群の患者にとってはかえって症状を悪化させるリスクをともなうため、注意が必要です。
特に「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」と呼ばれる種類の睡眠薬は、脳をリラックスさせて筋肉の緊張をゆるめる作用があるので、基本的には使用を控えるのが賢明です。筋弛緩作用により首の周りの筋肉も緩んでしまうため、舌がのどまで落ちやすくなり、気道を狭めることにつながります。

睡眠時無呼吸症候群であると診断された場合には、処方されている睡眠薬が「ベンゾジアゼピン系」ではないか確認するようにしましょう。

睡眠時無呼吸症候群治療薬以外の治療法


睡眠時無呼吸症候群には呼吸を助けたり鼻詰まりを抑えたりする治療薬がありますが、根本的な治療のためには治療薬以外の取り組みも大切です。特に生活習慣の見直しは、睡眠時無呼吸症候群の治療においては基本的な第一歩となるので、なるべく健康的な生活を必要があります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法についてはコチラの記事でもまとめているので是非チェックしてみてください。

減量

肥満であることによる睡眠時無呼吸症候群のリスクはそうでない人に比べて7倍も高くなることからも、減量の重要性は明らかです。睡眠時無呼吸症候群の解剖学的な危険因子のほとんどは肥満であることに起因しており、首の周りが太かったりのどが引き気味になっていたりすると舌が気道を塞ぐリスクが高まります。

逆にいうと減量をすれば睡眠時無呼吸症候群の危険因子の多くを取り除くことができ、適度な減量を行うことで症状の改善が期待できます。減量の他の生活習慣の見直しとしては飲酒があげられ、飲酒後に筋肉が弛んでしまうと気道がふさがりやすいので、お酒の量に注意することも大切です。

マウスピース

マウスピースは歯列矯正の際に用いるのと同じように歯に装着する形式を利用して治療します。
睡眠時無呼吸症候群の治療のためのマウスピースは、下あごが上あごよりも前方に出てくるように固定することが目的です。そうすることで、舌が奥に入るのを防ぎ、いびきや無呼吸の発生を抑えることができます。中度までの睡眠時無呼吸症候群患者には比較的効果が出やすく、マウスピースをつけて寝るだけなので治療のストレスも少ないので手軽に続けられる点がメリットです。

ただし、重度の睡眠時無呼吸症候群の患者には効果がない場合も多く、疾患の度合いによってはおすすめされない治療法です。

CPAP


経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)は、睡眠時にマスクを装着し、気道が塞がって呼吸が止まりそうになったときに空気を送り込んで軌道を確保する治療法です。日中に眠気が強いなど睡眠時無呼吸症候群の症状が出ている人に対して行う治療で、CPAP装置は効果をモニタリングしてアルゴリズムに従って調整しながら作動します。CPAPを行っても症状に改善が見られない場合、睡眠時無呼吸症候群以外の合併症の可能性があります。

マスクを装着して寝ることになるため、慣れないうちは入眠が困難になったり不快な感覚を持ったりする可能性があります。継続的な器具の使用が必要であり、根気よく治療をする気持ちが大切です。

手術

睡眠時無呼吸症候群には、手術という治療法もあります。気道を塞いでしまう原因となっている部分を切除するなどの手術を通じて、睡眠時にいびきをかいたり呼吸が停止したりするのを防ぎます。

口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)と呼ばれる手術が最も一般的で、気道を確保するために上顎からのどの披裂喉頭蓋ヒダと呼ばれる部分までの粘膜を切除します。口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)はCPAP同様に効果があることが証明されていますが、手術後はいびきがなくなるため睡眠時に無呼吸になっているかどうかがわかりにくくなってしまいます。

口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)の補助的な外科治療として、舌正中切除や上下顎前方移動術などの治療法が提案されていますが、どのようにアプローチするかは医師によって見解がわかれています。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の手術についてはコチラの記事でもまとめているので、ぜひチェックしてみてください。

まとめ


睡眠時無呼吸症候群は、疲労感や眠気により日中の集中力の低下が発生し、仕事に支障をきたしたり事故を引き起こしたりする可能性のある疾患です。「いびきをかく体質」と思って放置するのではなく、心当たりがある場合は医師に相談するなど治療を始める必要があります。治療薬は症状を和らげる目的にものが多いですが、薬の種類によっては症状を悪化される可能性もあるので十分注意し、必ず医師に相談してから服用しましょう。
以上、睡眠時無呼吸症候群の治療薬についてでした。

よくある質問

Q.睡眠時無呼吸症候群の治療薬として睡眠薬を使っても大丈夫ですか?

A.睡眠薬の種類によります。睡眠薬の中には筋肉を弛緩させる効果を持つものもあり、睡眠時無呼吸症候群の現認となる気道閉塞を引き起こす可能性があります。睡眠薬服用の際は必ず医師に相談してください。

Q.治療薬以外に睡眠時無呼吸症候群の効果的な治療法はありますか?

A.肥満の場合、睡眠時無呼吸症候群のリスクは7倍にまで高まるため、減量をして体型からの危険因子を排除することで改善が期待できます。飲酒も筋肉弛緩を助けるので、治療中はお酒を控えることも大切です。