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不眠症の原因・治し方

【不眠症と頭痛との関係性】不眠を伴う頭痛はすぐに治るのか?

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睡眠Dr. 編集部

睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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不眠症とは

ベッドに腰掛け、頭を抱える人
まずは、不眠症がどのような疾患なのか解説していきましょう。

どんな症状?

不眠症とは、寝つきの悪さや中途覚醒の問題が長期間続くことで、日常生活に支障をきたす疾患です。主な症状は、日中の眠気や集中力の低下、慢性疲労などです。睡眠障害の中で一番罹患者が多く、現在は約5人に1人が不眠症で悩んでいるといわれています。

不眠症には、症状が起きるタイミングや頻度によって、次の4つに分類されます。

  • 1.入眠困難:寝つきが悪く、寝床に入っても30分〜1時間以上眠れない
  • 2.中途覚醒:いったん眠りについても眠りが浅く、小さな物音や尿意などで夜中に何度も目が覚める
  • 3.早朝覚醒:起きたい時間よりも2時間以上早く目が覚めてしまい、その後眠れなくなる
  • 4.熟眠障害:睡眠時間は十分確保しているのに、眠りが浅く、ぐっすり寝たという熟睡感が得られない

これらの症状は、1つだけ現れる場合もありますが、複数のタイプが同時に発症することもあります。また、年齢によっても発症しやすい症状は異なるため、どのタイミングで症状が現れるかは個人差があります。

原因は?

不眠症を引き起こす原因は、さまざまなものがあります。代表的なものは次の通りです。

心理的な原因

    • :何らかの出来事から感じるストレスに関連して起こる
    • <例>家族や親友の死、仕事のミスを引きずるなど

身体的な原因:身体的な病気に伴う痛みや、痒みなどの症状が原因で発症する
<例>外傷、関節リウマチ、湿疹、蕁麻疹、喘息発作、頻尿、花粉症など

精神的な原因:精神的な疾患に伴って現れる
<例>不安、うつ病、統合失調症など

薬学的な原因:服用している薬やカフェインなどが原因となって起こる
<例>抗がん剤、自律神経・中枢神経に働く薬、ステロイド、アルコール、カフェイン、ニコチンなど

生理学的な原因:睡眠環境や生活習慣の乱れによって発症する
<例>受験勉強やシフト勤務による昼夜逆転、時差ボケ、ライフスタイルの変化、騒音、振動など

不眠症のさらに詳しい解説や対策については、以下の記事に記載されています。こちらもぜひ参考にしてください。

不眠と頭痛の関係性

額を抑えて、疲れた表情を見せる女性
それでは、ここからは不眠と頭痛の関係性について解説していきます。
結論からお伝えすると、不眠と頭痛は非常に関係が深いです。不眠状態が原因で頭痛を発症することもありますし、逆に頭痛が原因で不眠症に陥る場合もあります。実際、どちらが原因でどちらが症状なのか、はっきりと見分けることは難しいのが現状です。

そのため今回は、睡眠中や寝起きなど、睡眠に関連して起こる「睡眠関連頭痛」と呼ばれる頭痛について解説してきます。

睡眠関連頭痛

睡眠関連頭痛には、頭痛の発生が病変に起因しない(命に関わらない)一次性頭痛と、何らかの病変のために発生する(命に関わる場合がある)二次性頭痛があります。

  • ・一次性頭痛:頭痛の発生が病変に起因しない(命に関わらない)
  • ・二次性頭痛:何らかの病変のために発生する(命に関わる場合がある)

一次性頭痛

一次性頭痛に含まれる代表的な疾患は、次の3つです。

  • ・片頭痛
  • ・緊張型頭痛
  • ・群発頭痛

それぞれの特徴を表にまとめました。

片頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛
痛みが出る部位 頭の片側もしくは両側のこめかみのあたり 後頭部から首すじにかけて 頭の片側(特に目の奥・目の上・こめかみ)
痛みの特徴 拍動性の頭痛で、主にズキンズキンと脈打つような強い痛みが生じる 重苦しい感じや、頭をベルトで締めつけられているような圧迫感と、じんわりとした痛みを感じる 片側の眼窩部がえぐられるような激痛を感じる
痛みの程度 ・中等度から高度

・日常生活に支障をきたすこともある

・軽度〜中等度

・日常生活には強く影響しない

・重度〜極めて重度の激痛

・痛みのためにのたうち回ることもある

痛みが出やすい時間帯やタイミング ・ストレスを感じているとき

・明け方や起床時

・季節の変わり目や気圧の変化

・空腹で血糖値が下がったとき

・生理などでホルモンのバランスに変化が起こったときなど

・緊張から解放されたとき

・ほっとしたとき

・寝起きなど

・深夜〜明け方

・個人差はあるが、決まった時間に起こる

・少なくとも2日に1回以上の発作が出現する「群発期」と、発作が現れない「寛解期」を繰り返す

特徴的な症状 ・強い痛みと共に吐き気や嘔吐、悪心を伴うことがある

・光、音、匂いなどに過敏になる

・閃輝暗点(せんきあんてん)が見られる

・視野の中心が見えにくくなり、その周囲にキラキラ輝く歯車のようなギザギザ模様が見え、視野全体に広がっていく

・30〜1時間程度痛みがダラダラと続く

・夕方に増悪することがある

・多くは深夜に起こる

・あまりの激痛にのたうち回る、動き回る、頭を叩くなどの行動を起こしやすい

・頭痛に伴い、流涙、結膜充血、鼻閉、鼻漏などが見られる

誘因 ・光、音、匂い

・飲酒

・睡眠不足、過多

・月経に伴うホルモンバランスの変化

・天候、温度の変化

・ストレス

・首や肩の凝りなど

・ストレス

・首や肩の凝り

・長時間のうつむき姿勢など

・飲酒

・ヒスタミン

・ニトログリセリンなど

軽快因子 ・痛みが出ている箇所を冷やす

・安静

・適度な睡眠など

・入浴

・運動

・マッサージ

増悪因子 ・日常動作、運動

・入浴

・飲酒

・マッサージなど

・ストレス

・患部を冷やす

・長時間の同じ姿勢など

・飲酒など

上記のように、頭痛の種類によって違いはありますが、基本的に深夜や睡眠中、起床時に発症しやすいのが特徴です。それに伴い、十分な睡眠を確保できず、不眠症状を一緒に発症することもあります。

二次性頭痛

一方、二次性頭痛を引き起こす疾患には、次のようなものがあります。

  • ・くも膜下出血
  • ・髄膜炎
  • ・慢性硬膜下血腫
  • ・脳血管障害
  • ・脳腫瘍

これらの疾患は、治療が遅れると命に関わったり、後遺症が残ったりすることがあるため、なるべく早く医療機関を受診する必要があります。

命に関わる二次性頭痛の見分け方

ですが、命に関わる危険性の少ない一次性頭痛と、どう見分ければ良いのか多くの人はわからないと思います。そこで、命に関わる頭痛でよく見られる特徴を下記にまとめました。
すべてがこの特徴に当てはまるわけではありませんが、心当たりがある場合は脳に何かしらの異常が発生している可能性が高いと考えられるので、ひとつの参考にしてください。

  • ・突然発症し、今までに経験したことのない痛みを感じる→くも膜下出血
  • ・感染症による頭痛→髄膜炎
  • ・頭部外傷による頭痛→慢性硬膜下血腫
  • ・意識障害や局所神経所見(しびれや麻痺、感覚障害など)→脳血管障害
  • ・早朝に起こり、次第に悪化していく頭痛→脳腫瘍



不眠を伴う頭痛はすぐ治る?

診察室で問診をしている笑顔の女医
ここまで、不眠症の基本情報や不眠と頭痛の関係性、そして睡眠関連性頭痛について解説してきました。ここで、本題の「不眠を伴う頭痛はすぐ治るのか」について解説していきます。

不眠と頭痛は病院での治療が不可欠

結論からいうと、不眠を伴う頭痛は「すぐには」治りません。コツコツと治療を続けていかなければならない場合もありますし、生涯痛みとうまく付き合っていかなければならない場合もあります。
ただひとついえることは、不眠も頭痛も病院での治療が不可欠だということです。

不眠と関係の深い睡眠関連性頭痛は、場合によっては命に関わる場合もあるため、医師による治療が不可欠です。また、命に関わることの少ない一次性頭痛でも、症状によってそれぞれ治療方針も異なります。そのため、自分の頭痛がどんな原因で起こっているのかわからない場合は、早めに頭痛の専門医に相談することをおすすめします。
加えて、不眠症も「ただの寝不足」と治療を後回しにすると、さらに危険な疾患の原因となる場合があります。こちらもなるべく早く、医師の診察を受けることが大切です。

痛み止めを自己判断で飲むのは危険?

最近は、医師の処方を受けなくてもドラッグストアなどで手軽に痛み止めが手に入るようになりました。しかし、発作が治らないからと痛み止めを長期間服用すると、薬が効かなくなり、頭痛の慢性化を引き起こすことがあります。これは、薬物の使用過多による頭痛で、「薬物乱用頭痛」といいます。

薬物乱用頭痛は、薬の乱用を中止すれば痛みも消失する場合が多いです。そのため、安易な自己判断で薬を服用し続けるのではなく、医師による正しい診断・処方を受けることが治療への第一歩となります。

何科を受診すれば良い?

不眠症状や頭痛でお悩みの方は、まずは内科を受診すると良いでしょう。不眠症と頭痛、どちらの診察も受けることができます。
また、主に不眠症状に悩んでいる場合は精神科や心療内科、頭痛に悩んでいる場合は、神経内科や脳神経外科でも診療可能です。最近では、睡眠の問題を専門に診察する睡眠専門外来や、頭痛などの痛みに特化した頭痛外来やペインクリニック(痛み専門外来)など、より患者のニーズに合わせた診療科が増えています。

どこに行けば良いかわからないという人は、まずは自身のかかりつけ医に相談し、専門医を紹介してもらうと良いでしょう。




まとめ

穏やかな陽気、外に向井窓の前で身体を伸ばしている女性
今回は、不眠症と頭痛との関係性と、「不眠を伴う頭痛はすぐに治るのか?」について詳しく解説しました。

不眠症と頭痛は非常に関係が深く、一方が原因となって症状が出る場合もあれば、その逆もあります。そのため、どのような方針で治療を進めていくかは、専門的な知識を持った医師でないと判断が難しいというのが現状です。症状にお悩みの方は、安易な自己判断をせず、なるべく早く医療機関を受診するようにしてください。

この記事が、不眠や頭痛で悩む方の次の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

よくある質問

Q.不眠症と頭痛にはどのような関係がありますか?

A.不眠症と頭痛の関係は非常に深く、不眠状態が原因で頭痛を発症することもありますし、逆に頭痛が原因で不眠症に陥る場合もあります。不眠症の詳細な解説は、「【不眠症とは?】不眠症がもたらす症状を徹底解説」に記載されています。

Q.不眠を伴う頭痛はすぐに治りますか?

A.残念ながら、不眠を伴う頭痛は「すぐには」治りません。一朝一夕で症状が治まることは少なく、コツコツと治療を続けていかなければならないことの方が多いです。ただ、少なくとも自己流で薬などを服用するよりは、医師による正しい治療を受けた方が症状改善に近づきます。

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