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睡眠時無呼吸症候群の治療・治し方

【睡眠時無呼吸症候群とは?】原因や睡眠への影響について解説

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田沼 欣樹(たぬま よしき)

防衛医科大学校卒業/初期研修後、大手美容クリニックの勤務を経て医療法人社団紡潤会に入社。いびきや睡眠時無呼吸症候群(sas)は合併症を生じやすく、健康寿命を伸ばす為にも早期診断・治療が大切です。いびきやsasに悩む方へ、パルスサーミアで快眠と健康を手に入れて欲しいをモットーに取り組んでいます。

  1. 【あなたはどれくらい?】睡眠時無呼吸症候群の重症度について

  2. 【睡眠時無呼吸症候群とは?】原因や睡眠への影響について解説

  3. 【いびきを止める方法】対処法5選を原因別にご紹介

睡眠時無呼吸症候群とは


睡眠時無呼吸症候群とは、大きないびきと併せて、睡眠時に何度も呼吸が止まる病気です。医学的な定義は、10秒以上息が止まる無呼吸、呼吸が弱くなる低呼吸、これらが1時間あたり5回繰り返されることとされています。
無呼吸状態となる原因は、いくつかの要因で起きる気道の閉塞です。無呼吸の状態では、体が低酸素状態になります。毎晩のペースで頻発すると、体への負担は見逃せないものとなるでしょう。
睡眠中の自覚はなく、窒息することで直接死に至る可能性は低いとされています。




睡眠時無呼吸症候群の原因

主な原因と考えられている以下3つの項目について、紹介します。

  • 1. 肥満
  • 2. 飲酒と喫煙
  • 3. 骨格の問題

肥満

肥満の人は、適正体重の人に比べて4倍程度、睡眠時無呼吸症候群になりやすいとされています。睡眠時無呼吸症候群は、空気の通り道である上気道の閉塞が原因となって起こります。肥満で首の周りが皮下脂肪に覆われ、厚くなると上気道が閉塞しやすくなり、無呼吸状態に陥るのです。
睡眠時無呼吸症候群と肥満が併発している人の割合は、日本では、55%、アメリカでは90%となっています。肥満による気道の閉塞は、見逃せない要因です。
平均体重以上に太っている人は、まず肥満を解消することから始めてみてはいかがでしょうか。

飲酒と喫煙

アルコールには、筋肉の緊張を緩める作用があります。その作用から、アルコールを摂取すると、舌やあごの筋力が緩み、気道を圧迫しやすくなります。また、舌や周りの組織が喉の奥に落ち込みやすくなることも。
睡眠時無呼吸症候群の多くは、舌が落ち込み、気道を閉塞することから起こります。
また、口呼吸への負担が大きくなることで、睡眠時無呼吸症候群だけでなく、いびきも引き起こしてしまうのです。喫煙は、気道の通りを悪くし、血中酸素濃度の低下によって低酸素状態を助長する働きがあります。かなりの悪影響が考えられるため、できることなら禁煙してしまうほうが良いでしょう。

骨格の問題

気道が狭くなる要因として、あごの骨格の狭さもあげられます。元々アジア人は骨格が狭いため、日本人が睡眠時無呼吸症候群を発症するリスクは高いのです。さらに日本人の中でも顎の骨格が狭い人は、少しの肥満でも睡眠時無呼吸症候群を発症してしまう可能性があります。
日頃から体重の管理はしっかりし、食べすぎには注意が必要です。




睡眠時無呼吸症候群の診断方法


もしかしたら自分は睡眠時無呼吸症候群なのでは?と思ったら、医療機関へ相談してみましょう。
罹患の判定などを以下2つの項目にて、紹介します。

夜間の呼吸状態の検査

睡眠時無呼吸症候群の診断は、呼吸器内科だけでなく、多くの診療科で診療可能です。専門外来を設けている病院もありますので、来院する前に医療機関のWEBサイトで調べてみましょう。
診断には、ポリソムノグラフィ(PSG)による検査を用います。一泊入院をして、睡眠中の呼吸や睡眠と覚醒の周期、心電図や血液中の酸素濃度など、詳細な検査をもとに診断結果を下します。
自宅で行う簡易型検査も可能です。
PSG検査ができる医療機関は少ないため、まずは簡易検査を行い、睡眠時無呼吸症候群の可能性がある人は、PSGを行う流れが一般的です。

判断基準

睡眠時無呼吸症候群と判定される基準は以下のとおりです。

  • ・睡眠中1時間あたりにあらわれる無呼吸・低呼吸の回数が5回以上、かつ日中に睡眠などの症状があらわれる場合
  • ・日中の眠気がなくとも、睡眠中1時間あたりにあらわれる無呼吸・低呼吸の回数が15回以上の場合



睡眠時無呼吸症候群が引き起こす合併症


睡眠時無呼吸症候群が引き起こす代表的な合併症を以下4点、紹介します。

  • 1. 高血圧
  • 2. 突然死
  • 3. 虚血性心疾患
  • 4. 多血症

高血圧

睡眠時無呼吸症候群と高血圧の関連は以前より指摘されており、多くの専門医の知るところとなりました。
無呼吸状態から呼吸を再開する時は、体が寝ている状態で頭は起きている状態となります。睡眠が一時中断状態となり、交感神経が高まることで血圧が上昇します。
本来寝ている間は、副交感神経が活発になり、血圧は抑えられるのですが、突発的な覚醒により、交感神経が活発化し、断続的な血圧の上昇を生み出します。
この繰り返しで高血圧となるのです。
元々高血圧な人は、睡眠時無呼吸症候群によってさらに悪化してしまう可能性もあります。

突然死

睡眠時無呼吸症候群は呼吸が定期的に止まることから、特に心肺機能へ大きなダメージを与えます。蓄積されるダメージは深刻で、突然死のリスクを高める原因になるともいわれています。
日本国内の調査としては、2000年に厚生労働省呼吸不全調査研究班が発表した集計がよい参考例です。集計では、294名の睡眠時無呼吸症候群の患者を、約5年間追跡調査した結果、17名(5.8%)が死亡、そのうち8名は心筋梗塞や脳梗塞による突然死が原因という結果が出ています。
なお、亡くなった方の多くが、起床後数時間以内に死亡したと報告されています。睡眠時無呼吸症候群との明確な因果関係は明らかになっていませんが、少なからず影響があると考えても良さそうです。

虚血性心疾患

虚血性心疾患は主に動脈硬化によって、心臓の血管が細くなることでおきる病気のことをいいます。心筋梗塞や狭心症は、虚血性心疾患の症状のひとつです。
睡眠時無呼吸症候群と虚血性心疾患は深い関連があります。健常者の人と比べて、睡眠時無呼吸症候群の人は、健常者の1.2~6.9倍の発症リスクを持っているとも言われています。
また、狭心症の患者40%に睡眠時無呼吸症候群を確認したとの報告も。明確な原因はまだ明らかになっていませんが、呼吸が止まることによる心肺機能へのダメージは、思いの外大きいと考えてよいでしょう。

多血症

あまり有名でない病名ですが、血液中の赤血球が以上に増えてしまう病気です。体に酸素を運ぶ赤血球が増えるのは、いいことのようにも思えますが、赤血球が増えすぎると血液がドロドロになり、流れが悪くなります。
したがって、血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすのです。
考えられる大きな要因は、無呼吸による低酸素状態の継続です。低酸素状態に陥るとエリスロポエチンというホルモンが増加に伴い、赤血球も増加します。そのために多血症が発症します。
多血症と睡眠時無呼吸症候群の関連性は広く知られており、有名です。いくら食べ物に気をつかっても、睡眠時無呼吸症候群の状態では、血液の循環はスムーズになりません。根本的な改善を試みましょう。




睡眠時無呼吸睡眠症候群の治療

睡眠時無呼吸症候群の治療は、大きく分けて以下、3つの方法があります。それぞれについて、詳細を説明します。

  • 1. CPAP
  • 2. マウスピース
  • 3. 口周りの手術

CPAP

睡眠中に特殊なマスクを装着し、適度な圧力をかけた空気を送り込み、気道を拡張する治療法です。CPAP療法の効果はてきめんで、治療をうけた多くの人がよく眠れるようになったと、劇的な効果を体験しています。
マスクの装着が気になる人や、なにかしらの理由でCPAP療法が出来ない人は、マウスピース治療へ移行するケースもあります。
CPAPは気道を確保するための治療であって、根本的な原因を解消するわけではありません。気道が閉塞する原因を特定し、根本的な治療を同時に進めることも重要です。

マウスピース

特殊なマウスピースを使って下顎を上顎よりも前に出すように固定し、気道を確保する治療法です。軽症〜中等症の人までは、マウスピースによる矯正治療によって改善が見られます。
マウスピースの作成は耳鼻科などの依頼書によって、歯科技工士が作成します。付けた当初は、顎の痛みや違和感がありますが、次第に慣れてきます。総入れ歯の人や、ひどい顎関節症の人はマウスピースによる治療を受けられません。

口周りの手術

気道閉塞の理由が、アデノイドや扁桃の肥大が原因と明らかに特定できる場合や、他の治療方法で改善が見られない場合に、手術が必要となるケースもあります。
一般的な手術は、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)です。口蓋垂、口蓋扁桃、軟口蓋の一部を切除して、気道を広げます。
手術による傷が完治するまで、激しい喉の痛みが発生するケースや、手術後に鼻声になったり水を飲むと鼻から逆流したりすることもあります。




自分でできる改善方法

医院での治療の他に、自分でできる治療法や予防法もあります。
効果的な運動や改善方法を以下、3点において紹介します。

  • 1.舌出し運動
  • 2.いびき体操
  • 3.生活習慣の改善

舌出し運動

口元や舌の筋肉を鍛えておくと睡眠時無呼吸症候群の症状軽減に有効です。口の周りの筋肉が弱くなると、睡眠中に口を開けるようになり、舌を支える力が弱くなります。
重力の影響で、舌が落ち込み睡眠時無呼吸症候群を発症する仕組みです。
舌出し運動は、舌を思いっきり前に出す運動です。最大限に舌を出した状態を15秒キープするため、慣れない間は疲れます。15秒を1セットとして、毎日2セット行うことで、予防もしくは改善に効果的です。

いびき体操

いびき体操は、効果について医学的に証明されています。実際にアメリカの医学雑誌にも掲載されたこともあります。手順は以下のとおりです。

  • 1. 舌を出す
  • 2. 舌を右、左と回転させる
  • 3. 舌を上に持ち上げる
  • 4. 舌を反り返す
  • 5. 舌をのどちんこが見えるくらいまで押し下げる
  • 6. 口をすぼめる
  • 7. 指を入れて口をすぼめる
  • 8. 口を左右交互に移動させる

1〜8の運動を1セットとして、1日3セット行います。ダイナミックな動きをしっかり行うため、効果は出やすいでしょう。自宅でできる改善や予防方法としては、最良の方法かもしれません。

生活習慣の改善

睡眠時無呼吸症候群の根本的な原因は、生活習慣であるケースが多く見られます。根本的な解決を目指すためにも、生活習慣の見直しを検討しましょう。

肥満解消

肥満による気道の圧迫は、睡眠時無呼吸症候群の最たる原因とも言われています。気道の周りについた脂肪が空気の通り道を完全に遮断してしまうのです。
肥満は成人病の原因にもなりますので、ある程度の体重調整はできるようになっておいたほうが良いでしょう。

アルコールの節制

アルコールの摂取による筋肉のゆるみは、舌の落ち込みを誘発し、睡眠時無呼吸症候群の引き金になります。特に寝る前の飲酒が習慣になっている人は、発症のリスクが高まります。
禁酒が望ましいですが、難しい場合は摂取回数や量を減らしましょう。

禁煙に挑戦

喫煙は気道の通りを悪くし、血中酸素濃度の低下によって低酸素状態を更に悪化させます。喫煙は体に悪い影響を与えることが多いため、睡眠時無呼吸症候群の改善をきっかけに禁煙に挑戦してみてはいかがでしょうか。

睡眠時の体勢に気をつける

仰向けで練ると重力で舌が気道に落ち込みやすくなり、気道の確保が困難になります。高すぎる枕も、気道の確保が難しくなるため、注意が必要です。横を向いて寝る、枕の段差をできるだけつけないようにするなどして、できるだけ気道を確保しやすい姿勢を意識するようにしましょう。




まとめ


睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中の呼吸の停止が繰り返される病気です。呼吸が止まっている間は低酸素状態に陥るため、体の心肺機能に大きな負担がかかります。
CPAPという、気道を確保する治療を行うと劇的な改善が見られますが、根本的な原因を改善しなければ元の木阿弥です。
睡眠時無呼吸症候群は、肥満や飲酒、喫煙などの生活習慣が大いに影響しています。根本的な改善を目指すのであれば、まずは生活習慣から見直してみてはいかがでしょうか。




よくある質問

Q.睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされる症状は?

A.高血圧や狭心症、虚血性心疾患など、血液の循環や心肺機能へ影響を及ぼします。

Q.睡眠時無呼吸症候群の改善方法は?

A.CAPA療法や根本的な生活習慣の改善が挙げられます。

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田沼 欣樹(たぬま よしき)

防衛医科大学校卒業/初期研修後、大手美容クリニックの勤務を経て医療法人社団紡潤会に入社。いびきや睡眠時無呼吸症候群(sas)は合併症を生じやすく、健康寿命を伸ばす為にも早期診断・治療が大切です。いびきやsasに悩む方へ、パルスサーミアで快眠と健康を手に入れて欲しいをモットーに取り組んでいます。

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  3. 【いびきを止める方法】対処法5選を原因別にご紹介

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