睡眠時無呼吸症候群

【効果はあるの?】睡眠時無呼吸症候群に口閉じテープは効くのか

2022.11.03
周りからいびきを指摘されたことや、睡眠中に鼻呼吸ではなく口呼吸をしてしまう方も少なくないのではないでしょうか? そんな方は、睡眠時無呼吸症候群に要注意です! 睡眠時無呼吸症候群は、その名の通り睡眠中に呼吸が減ってしまい睡眠の質を低下させる病気であり、進行すれば心臓や脳の病気の原因にもなってしまいます。 しかし、最近では1本のテープで口を閉じるだけで症状が改善するという、簡単で新しい治療法が注目されています。 そこでこの記事では、睡眠時無呼吸症候群に対する口閉じテープの効果についてご説明していきます。 実際の効果や、効果が出る理由などについても解説していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

睡眠時無呼吸症候群に対する口テープ治療とは?


睡眠時無呼吸症候群には様々な治療法がありますが、中でも最近では寝ている間に1本のテープを口に貼るだけでいびきなどの症状を改善させてくれる口テープ治療が非常に注目されています。
たった1本のテープを口に貼るだけでなぜ治療効果を得られるのか、具体的にどのような効果が得られるのか気になる方も多いと思います。
そこで、口テープ治療の効果や特徴、メリットやデメリットについて解説していきます。

口テープで口呼吸から鼻呼吸へ

結論から言えば、口テープ治療の目的は睡眠中の呼吸様式を口呼吸から鼻呼吸にシフトさせることです。

そもそも人間は生まれながらに口ではなく鼻で呼吸をする、つまり鼻呼吸をする生き物です。
例として、生まれたばかりの赤ちゃんを想像してみてください。
赤ちゃんは鼻呼吸以外に呼吸する術を知りませんが、それは口から母乳やミルクを飲んでいる間にも呼吸できるようにするためです。

しかし、成長とともに言葉を話せるようになると口で呼吸する術を覚えてしまうため、多くの人は「鼻呼吸している」と思っていても、無意識に口呼吸を行うようになってしまうのです。
実際に、日本の成人で口呼吸をしていると自覚している人が37%もいるというデータもあり、無意識の人も含めればさらに多くの割合で口呼吸を行っている可能性があります。

しかしながら、口呼吸は正常な鼻呼吸と比較して様々な弊害をもたらします。
特に、睡眠中の口呼吸は口腔内の乾燥や空気の通り道である気道の狭窄を引き起こし、睡眠の質を低下させてしまうのです。

そこで、今までは専用の口腔内装置や「CPAP」と呼ばれる呼吸を補助する機械が治療に用いられていましたが、最近では簡易的且つ安価に口呼吸を減らすことのできる口テープ治療が非常に注目されています。
口テープ治療の主な目的は、口閉じテープを用いて睡眠中にテープで口を閉じてしまうことで、口呼吸を行いにくくして簡易的に鼻呼吸に誘導することであり、睡眠中の鼻呼吸の割合が増加すれば結果的に睡眠の質の改善が期待できます。

なんとなく睡眠中に口をテープで塞ぐ事には心理的な抵抗がある人も少なくないと思いますが、睡眠中に口呼吸を続ける方が余程健康に悪いのです。
本来鼻呼吸をするのが正常である我々にとって、睡眠中の口呼吸は具体的にどのような弊害をもたらすのでしょうか?

いびきの原因!睡眠中の口呼吸がもたらす弊害とは?

睡眠中の口呼吸による弊害は大きく分けて、睡眠中の呼吸量の低下と呼吸の質の低下の2つが挙げられます。

口呼吸は鼻呼吸と比較して舌の付け根が喉の奥に落ちやすいため、気道が狭くなってしまい、いびきをかきやすくなってしまいます。
程度が悪化すると完全に気道が閉塞してしまうため、呼吸そのものが一時的に止まってしまう可能性もあり、呼吸量が低下することで睡眠の質自体が大きく低下してしまいます。

口呼吸と鼻呼吸では肺に流入する空気の質にも違いが生じてしまいます。
鼻呼吸では、吸った空気が鼻粘膜によって湿度90%程度まで加湿され、空気中のゴミも鼻汁によって回収されるため、温かくて綺麗な空気を肺に送ることができます。

それに対し、口呼吸には鼻呼吸ほどの加湿加温効果はなく、冷たく乾燥した汚い空気がそのまま肺に流入してしまいます。
また、睡眠中の口呼吸によって口を開けている時間が長くなってしまうと口腔内の水分が蒸発してしまうため、口や喉が乾燥してしまい朝起きた時に不快感も強くなってしまいます。

以上の事からも、睡眠中の口呼吸では睡眠の質が低下してしまうのです。

口閉じテープの特徴とは?

歴史を辿れば1900年代初頭、ネイティブ・アメリカンの時代から睡眠中に口を縛って鼻呼吸を行う文化があったそうです。
当時の人たちは、口呼吸よりも鼻呼吸の方が質の高い睡眠を得られることを感覚的に理解していたのかもしれませんが、今考えると鼻呼吸をするために口を縛るような乱暴さでは、果たして良質な睡眠が得られていたのか甚だ疑問が残ります。

以降、セロハンテープやガムテープなど様々な形状のテープが開発されてきましたが、これらはあくまで医療用ではなく業務用であったため、人体への使用には不向きでした。
しかし、ネイティブ・アメリカンの時代から100年近くの時を経て、2000年頃からは日本でも医療用に特化した人体に使いやすい口閉じテープの開発が注目され、現在では様々な商品が販売されています。

では、口閉じテープは他のテープと比較して具体的にどのような特徴があるのでしょうか?

現在市販されている口閉じテープの多くは、外科手術などで切開した皮膚を被覆するために用いられるテープと同様、医療用シリコンタイプの粘着剤が使用されています。
医療用シリコンタイプの粘着剤を使用する事で、セロハンテープなどよりも柔らかく、長時間の使用後に剥がす際にも皮膚が引っ張られにくいという特徴があります。
また伸縮性も高いため、複雑な口周囲の形状にもフィットできるような仕様になっています。

商品によってはアロマチップで香り付けされているものもあり、睡眠中にアロマセラピーのような効果を得ることもできます。

口閉じテープのメリット

次に、口閉じテープの使用におけるメリットについて解説します。

まず、下記のようなメリットが挙げられます。

  • ・ 口呼吸から鼻呼吸への誘導でいびきが減り、睡眠の質が向上する
  • ・ 肺に綺麗な空気が入るため、風邪を引きにくくなる
  • ・ 口腔内や咽頭の乾燥を予防できる
  • ・ 軽症の睡眠時無呼吸症候群であれば症状を改善できる
  • ・ 安価かつ手軽に使用できる
  • ・ 睡眠中に苦痛なく使用できる

前述したように、睡眠中の口呼吸によって肺に流入する空気の量や質が低下してしまい、感染症やいびきの原因になってしまう可能性もあるため、口閉じテープによる鼻呼吸への誘導は医学的にメリットがあります。
睡眠時に気道が狭くなってしまうことで発症する睡眠時無呼吸症候群に対しても、軽症であれば効果が期待できます。

また、2021年に小林製薬株式会社が日本睡眠学会で報告したデータでは、非常に主観的で評価しにくい「睡眠の質」という項目も客観的に評価されています。
報告によれば、睡眠中の脳波や筋電図などを一晩中モニタリングするポリソムノグラフィーと呼ばれる特殊な検査を用いて対象者の睡眠深度を測定し、睡眠の質をデータとして評価したところ、口閉じテープの使用により睡眠の質が改善し、いびきの発生を抑制する可能性が示されました。

また、ドラックストアなどで安価かつ手軽に購入できる点も魅力です。

口閉じテープのデメリット

次に、口閉じテープの使用におけるデメリットについて解説します。

まず、下記のようなデメリットが挙げられます。

  • ・ テープが肌に合わない可能性がある
  • ・ テープを剥がす際に唇や顔面の皮膚などを損傷する可能性がある
  • ・ くしゃみや咳をした時に鼓膜を損傷する可能性がある
  • ・ 寝ている間に外れてしまうことも少なくない
  • ・ 中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群においては効果があまり期待できない

テープが肌に合わないことや、長時間の使用後に剥がす際は皮膚を傷めてしまう可能性があるため使用上注意が必要です。
また、口閉じテープは口に対して縦方向に1枚だけ貼るように使用すべきであり、複数枚の使用や横方向に貼り付けてしまうと空気の逃げ場が少なくなってしまうため、突然のクシャミや咳によって鼓膜を傷つけてしまう可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群に対する治療としては、軽症であればある程度の治療効果は期待できますが、中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群では口閉じテープだけでの治療は危険性が高いため専門的な医療機関に受診すべきです。

いびきの原因!睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気?

そもそも、いびきの原因となる睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気なのでしょうか?

睡眠時無呼吸症候群とは、その名の通り睡眠中に呼吸が減る、もしくは何回も止まってしまう病気のことです。
肥満体型の方や、首が短い、顎が小さい、舌が大きいなどの解剖学的理由によって空気の通り道である気道が狭い人は発症しやすいです。
睡眠中、仰向けになった際に舌根が下に落ちてしまうと、ただでさえ狭い気道がさらに狭窄してしまうためいびきをかくようになり、進行すると呼吸が一時的に止まってしまいます。

睡眠中にうまく呼吸できなくなると、夜間に突然目を覚ましてしまい睡眠の質が低下してしまうため、その反動で日中に強い眠気に襲われるようなこともあります。

また、睡眠時無呼吸症候群の恐ろしい点はいびきや睡眠の質の低下だけではありません。
睡眠中に呼吸が止まってしまい低酸素状態が続くと、持続的に身体にストレスがかかってしまい高血圧や動脈硬化、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの重篤な疾患に罹患するリスクが増加してしまい、生命予後に関わります。

睡眠時無呼吸症候群やいびきの治療法とは?

睡眠時無呼吸症候群やいびきは生活習慣の改善である程度予防できますが、症状が強い場合には医学的介入が必要になります。
そこで、いびきや睡眠時無呼吸症候群に対して一般的に行われている治療方法をご紹介していきます。

ダイエット

肥満体型になると首周囲に脂肪が付いてしまうため、気道が狭くなりいびきや無呼吸の原因となってしまいます。
そこで、ダイエットは睡眠時無呼吸症候群が疑われるすべての方がまず行うべき治療です。
特にBMI35kg/㎡以上の方であれば、その他の病気の予防にもなるため積極的なダイエットを推奨します。

飲酒を控える

アルコール摂取によって気道周囲の筋肉が弛緩してしまい気道が狭くなってしまうため、いびきや睡眠時無呼吸症候群の症状を増悪させてしまいます。
特に、就寝前の飲酒は控えた方が良いです。

口腔筋トレーニング

発声練習や舌、喉、顔面の筋肉のエクササイズを定期的に行うことでいびき症状が改善すると言われています。
特に、症状が軽度の方や事前に予防したい方にはオススメの治療法です。

マウスピース

マウスピースなどの口腔内装置を装着することで、下顎が若干前方に出るように固定され気道が広くなります。
症状が軽度の方にはオススメの治療法ですが、口腔内装置を作製にするにあたって医療機関を受診する必要があります。

CPAP

CPAPとは「Continuous Positive Airway Pressure:経鼻的持続陽圧呼吸療法」の略です。
睡眠中に鼻や口を覆う特殊なマスクを装着して、持続的に気道に空気を送り気道が塞がらないように圧をかける治療方法です。
中等度から重症の睡眠時無呼吸症候群の患者に対しては治療の第一選択であり、最も推奨される治療法です。

外科手術

肥満などの理由ではなく、生まれつき解剖学的に気道が狭い方や、外科的に切除可能な扁桃肥大やアデノイド肥大などを認める方の場合は、外科手術で原因を除去することもあります。
手術療法の適応に関しては医療機関での適切な評価が必要となりますが、術後合併症の報告もあるため慎重な判断が必要です。

まとめ

今回は、睡眠時無呼吸症候群の治療法の中でも最近特に注目されている口テープ治療を中心に解説させていただきました。

たった1本のテープを使って睡眠中の口を閉じるだけで口呼吸を鼻呼吸へ誘導することができ、気道が狭くなるのを防いでくれるため、いびきや症状が軽度の睡眠時無呼吸症候群に対して良い治療法となる可能性があります。
また現在はドラックストアで比較的安価に多種多様な口テープが販売されているため、多くの方が気軽に利用できる点でもメリットは大きいと思います。

その反面、肥満や解剖学的理由で気道が狭い場合、程度によっては口閉じテープだけでは対処しきれないケースも十分にあり得ます。
さらに、当記事でも記したようにいびきや睡眠時無呼吸症候群は心臓や脳などの重篤な病気の原因となり、場合によっては命に関わる可能性もあるため、対処を自己判断すべきではありません。
適切な診断、適切な治療を求める上でも病院やクリニックなどの医療機関を受診すべきです。

いびきで悩む多くの方が適切な対応を取れるよう、当記事がその一助となれば幸いです。

よくある質問

Q.口テープ治療はいびきや睡眠時無呼吸症候群に効果がありますか?

A.口テープ治療によって口呼吸から鼻呼吸の割合を増加させることで、睡眠時無呼吸症候群に対して効果を示す可能性があります。しかし、気道の狭い原因や程度によっては口テープ治療だけでは改善しないことがあるため、自己判断は避けるべきであり、適切な診断や治療を行うためにも一度医療機関に受診すべきです。 睡眠時無呼吸症候群については下記の記事でも紹介しています!

Q.口閉じテープにはどのような特徴がありますか?

A.口閉じテープは人体に使用しやすいよう、実際の外科手術で用いられている医療用シリコンなどを使用しています。また、伸縮性もあり柔らかい素材で作られているため、フィットしやすい仕様になっています。