【原因】いびきをかくようになったと感じる時に読むコラム

いびきの原因は?
いびきは、肥満やアルコール、アレルギー、風邪、妊娠など、さまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。
浅い眠りから深い眠りに移行すると、軟口蓋や舌、喉の筋肉が弛緩しますが、何らかの原因によって弛緩し過ぎてしまうと、気道が部分的に塞がり、いびきをかくようになります。
この気道が狭くなればなるほど、気流はより強力になり、組織の振動が増加し、いびきが大きくなります。
いびきの原因は様々あり、以下のような状態は気道に影響を与え、いびきを引き起こす可能性があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
口の解剖学的問題
太りすぎの人は、喉の奥に余分な組織があり、軟口蓋が低く厚いため、気道が狭くなることがあり、いびきの原因となります。
また、舌根が沈下してしまい、気流が妨げられ、いびきが増加する可能性があります。
就寝前の過度のアルコール摂取
いびきは、就寝前の過度のアルコール摂取によっても引き起こされる可能性があります。
アルコールは喉の筋肉を弛緩させてしまい、気道が閉塞しやすくなってしまうため、就寝前に過剰にとってしまうといびきの原因となります。
鼻の問題(炎症や鼻づまり)
鼻の問題もいびきの原因となり、鼻中隔(鼻の軟骨)が曲がっていると、空気の流れを遮断する可能性があります。また、慢性的な鼻づまりがあると、うまく鼻呼吸ができず、いびきをかくようになります。
風邪、インフルエンザ、アレルギー、空気中の刺激物による鼻づまりや炎症によってもいびきは誘発されます。
睡眠不足や不適切な睡眠中の姿勢
睡眠不足になると、喉の弛緩がさらに進む可能性があり、いびきの原因となります。
また、睡眠する時の姿勢も大切であり、基本的に仰向けで寝ると、重力の影響で気道が狭くなり、いびきは頻繁に起こります。
参考 : 日本呼吸器学会
いびきをかきやすい人の特徴
では、どんな人がいびきをかきやすいのでしょうか?いびきをかきやすい人の特徴を見ていきましょう。
赤ちゃん、子供、大人を含め、ほぼすべての人が時々いびきをかきますが、いびきをかきやすい人には以下のような特徴があります。
中高年の男性
加齢とともに喉の筋肉の緊張が低下し、気道が収縮するため、いびきをかきやすくなります。
また、いびきは男性に多く見られ、男性は女性よりもいびきや睡眠時無呼吸を起こしやすい傾向にあります。
肥満体型や妊娠中の方
いびきや睡眠関連の呼吸障害は、肥満の人によく見られます。
これは、太っていると、首が太く顎が小さくなりがちであり、長い軟口蓋 (口蓋の裏側)や肥大した扁桃腺、または大きな舌があると、鼻や口から空気が流れにくくなるためです。
また、妊娠中の人は、女性ホルモンの変化と体重増加により、いびきをかきやすくなり、閉塞性睡眠時無呼吸症候群になる可能性が高くなります。
閉経後の更年期には、プロゲステロンの分泌が少なくなり、無呼吸のリスクが高まります。
寝る前に飲酒習慣のある方
アルコールは喉の筋肉を弛緩させる働きがあり、これによって口、鼻、喉の気流が制限してされてしまい、いびきの原因となります。
いびきや睡眠時無呼吸症候群の家族歴がある
遺伝はいびきや睡眠時無呼吸症候群の潜在的な危険因子でもあります。家族の中にいびきをかく人がいれば、あなた自身もいびきをかきやすい体質である可能性が高くなります。
参考 : どんな人が「いびき」をかきやすい? – いびきをかく要因
いびきをかくとどうなる?日常生活への影響は?
いびきをかくようになると日常生活にもさまざまな悪い影響が及びます。
具体的にどのような影響が及ぶのか見ていきましょう。
睡眠不足になる
寝ているときにいびきをかいていることに気付かない人もいますが、いびきの音は、静かなものから、非常に大きな音までさまざまであり、しばしば睡眠不足につながります。
いびきをかく人は、夜に寝返りを打ったり、目が覚めたときに喉が乾いて痛くなったり、日中に疲れを感じたりすることがあります。
さらに、睡眠不足は、頭痛、集中力の低下、不機嫌などを引き起こす可能性があります。
いびきによってなる睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群は、呼吸の停止と再開を繰り返す深刻な睡眠障害の一種です。
いびきによって、眠っている間に息を切らしたり、数秒間呼吸を止めたりすることがあれば、睡眠時無呼吸症候群の兆候であり、治療しないと深刻な健康問題につながる病気です。
いびきが大きく、一晩ぐっすり眠っても疲れを感じる場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
睡眠時無呼吸の主な種類は次のとおりです。
- ・ 閉塞性睡眠時無呼吸 : 喉の筋肉が弛緩したときに発生する
- ・ 中枢性睡眠時無呼吸症候群 : 閉塞がなくても、脳が呼吸を制御する筋肉に適切な信号を送らない場合に発生する
- ・ 複雑性睡眠時無呼吸症候群 : 閉塞性睡眠時無呼吸と中枢性睡眠時無呼吸の両方がある場合に発生する
参考 : 睡眠時無呼吸症候群(SAS)について|新宿睡眠・呼吸器内科クリニック|いびき、CPAPのことなら
いびきの治療方法
ここでは、いびきの治療方法について解説していきたいと思います。
基本的には、睡眠時に気道を確保して呼吸をしやすくするための治療を行います。いびきの治療法には次のようなものがあります。
- ・ 体重を減らす
- ・ 就寝前のアルコールを避ける
- ・ 鼻づまりの治療
- ・ 睡眠不足の回避
- ・ 仰向けで寝るのを避ける
- ・ 風邪やアレルギーの薬を服用
このように、就寝前のアルコールを避けたり、睡眠の姿勢を変え、健康的な体重を維持することでいびきを減らすことができます。
いびきに使える市販薬はある?
いびきにも使える市販薬はいくつかあります。特に補酵素であるコエンザイムQ10は、舌や喉周りの筋肉を強化し、気道が狭くなることを防ぐことができます。
その他にもリラックス効果のあるGABAやビタミンEなどもオススメです。
また、風邪薬やアレルギーの薬は鼻づまりを緩和し、自由に呼吸できるようにします。
GABAについてはこちらのコラムでも解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
病院で行えるいびき治療について
病院では、いびきの治療として、どのような事を行うのでしょうか?
場合によっては、手術によって、余分な組織を縮小または除去したり、構造上の問題を修正することで、いびきや睡眠呼吸障害を改善することもあります。
具体的な治療方法をいくつかご紹介します。
口腔器具
口腔器具は、顎、舌、軟口蓋の位置を前進させて空気の通り道を開いた状態に保つのに役立ちます。口腔器具を使用する場合は、歯科専門医と協力して、器具のフィット感と位置を最適化します。
また、睡眠の専門家と協力して、口腔器具が意図したとおりに機能していることを確認します。
最初の 1 年間は少なくとも半年に 1 回、その後は少なくとも 1 年に 1 回、口に合っているかを確認し、口腔の健康状態を評価するために、歯科受診が必要になる場合があります。
持続的気道陽圧(CPAP)
CPAPは、睡眠中に鼻や口にマスクを着用し、ベッドサイドの小さなポンプから加圧空気を気道に導くことで、睡眠中に気道を開いたままにすることができます。
CPAP はいびきをなくし、SASに関連するいびきの治療に最もよく使用され、SAS を治療するための最も信頼性が高く効果的な方法ですが、中には不快に感じたり、騒音や機械の感触に順応するのに苦労したりする人もいます。
上気道の手術
上気道を開き、睡眠中の大幅な狭窄を防止するために、さまざまな手法を用いた多くの手術があります。
- ・ レーザー支援口蓋垂口蓋形成術 (LAUP): LAUP は軟口蓋の組織を減らし、気流を改善します。
- ・ ラジオ波焼灼術: 高周波エネルギーを使用して軟口蓋と舌の余分な組織を収縮させます。
- ・ 鼻中隔形成術:この手術では、曲がった鼻中隔をまっすぐにします。中隔形成術は、軟骨と骨を再形成することにより、鼻からの空気の流れを改善します。
- ・ 扁桃摘出術およびアデノイド切除術:外科医は、喉の奥 (扁桃摘出術) または鼻の後ろ (アデノイド切除術)から余分な組織を取り除きます。
これらの手術の有効性はさまざまであり、完全にいびきが治るとは限りませんが、ほとんどの処置は低侵襲なので、皮膚に小さな切開を行うだけで、日帰りで受けられます。
いびきの予防方法
どうすればいびきを予防することができるのでしょうか?
基本的には食生活、日常生活の環境を変えることで、いびきを防ぐことができます。具体的にはいびきを軽減するには、以下のような予防方法があります。
減量する
太りすぎている場合は、体重を減らしてください。太りすぎの人は、喉に余分な組織があるために、呼吸がしづらくいびきが出やすいです。体重を減らすことは、いびきを減らすのに役立ちます。
仰向けではなく、横向きで寝る
仰向けに寝ると、舌が喉の奥に落ちて気道が狭くなり、気流が部分的に妨げられるため、横向きに寝てみてください。いつも仰向けになってしまう場合は、背中の後ろにテニスボールを縫い付けてみると、自然と横向きに寝ることができます。
またベッドの頭を上げるのも気道を広げやすくなり、効果的です。ベッドの頭を約 4 インチ高くすると効果がある場合があります。
就寝前はアルコールを避ける
アルコールは中枢神経系を抑制し、喉の組織を含む筋肉を過度に弛緩させてしまうため、就寝時刻の少なくとも 2 時間前にはアルコール飲料を飲むのを避けましょう。
喫煙をやめる
禁煙は、他の多くの健康上の利点に加えて、いびきを軽減する可能性があります。
十分な睡眠をとる
大人は、一晩に少なくとも 7時間の睡眠を取る必要があります。
また、子供の推奨睡眠時間は年齢によって異なりますが、未就学児は 1 日 10 時間から 13 時間取得する必要があります。学齢期の子供は 1 日 9〜 12 時間、10 代の子供は 1 日 8〜 10 時間必要です。
いびき改善に使える商品は?防止グッズについて
生活環境の改善以外にも、いびきを止めるのにオススメの商品やグッズがあるのでご紹介します。
直ぐに止めたい方は、物理的に止めるようなグッズがオススメです。具体的にいくつかご紹介します。
枕
睡眠中の枕の改善もいびきの予防として有効です。
特に仰向けで寝て、いびきをかく人の多くは、夜間に頭を上げると、いびきが軽減または解消されることもあります。以下の点を重視して枕を選びましょう。
- ・ 適切な姿勢をキープしやすい枕
- ・ フィットして調整しやすい枕
- ・ 頭の高さを調整できる枕
中には電動で寝ている時の呼吸の状態によって、エアーが入り、頭の高さを変えることができる枕もあるため、オススメです。
鼻腔拡張テープ
鼻拡張テープを鼻の上に貼ると、鼻の通りが開いたままになり、空気がよりスムーズに出入りできるようになります。
鼻中隔のずれなどを直接修正することはできませんが、適切な状況で呼吸を改善できる簡単な解決策です。
鼻づまりがあり、眠れない方や夜間のいびきを緩和したいかたはぜひ試してみてください。
マウステープ
マウステープは、睡眠中に口が開いて口呼吸になるのを防ぐグッズです。口呼吸をなるべく抑えて、鼻呼吸を促すことで、いびきを改善できます。
マウスピース
就寝時にマウスピースをつけることで顎の負担が減り、口を閉じる癖をつけることができます。これによって、口呼吸ではなく鼻呼吸が促され、呼吸がきやすくなります。
また、下顎のマウスピースは、寝ている時に下顎を固定することで気道が狭くなるのを防ぐ働きがあります。
加湿器
いびきの原因が空気の乾燥や風邪、アレルギーである場合は、加湿器も有効です。加湿器を使用すると、いびきがある程度緩和される場合があります。
参考: 【薬剤師が厳選】いびきにおすすめ商品 6選 – EPARKくすりの窓口コラム|ヘルスケア情報
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、いびきについて解説しました。いびきは日常生活にも大きな影響を及ぼすため、予防や適切な治療が大事です。
また、いびきは健康上の問題につながる可能性があり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因ともなります。しっかりと病院でSASの診断を受け、いびきを止める方法について医師と相談することが不可欠です。
寝ているときに息ができないと感じたり、日中に極度の疲労を感じたりした場合は、できるだけ早く病院を受診してください。
よくある質問
Q.いびきによってどんな悪い影響が起こる?
A.非常に大きないびきを頻繁に起こす場合は、深刻な病気である睡眠時無呼吸症候群の兆候である可能性があります。また、長期間続くいびきは、次のような健康問題のリスクを高めます。
・血中酸素レベルの低下
・疲労感
・心臓発作
・高血圧
・脳梗塞
・糖尿病
Q.病院を受診すべき場合はどんな時?
A.いびきは、多くの場合、閉塞性睡眠時無呼吸SAS)と呼ばれる睡眠障害に関連します。いびきをかく全ての人がSAS を患っているわけではありませんが、いびきに次のような症状が見られる場合は、病院を受診してください。
・睡眠中に呼吸が止まる
・日中の過度の眠気がある
・朝方の頭痛
・起床時の喉の痛み
・睡眠中動き回る
・あえぎ呼吸
・高血圧
・夜中の胸の痛み
・日中の集中力の低下、行動(特に子供)