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【原因】いびきをかくようになったと感じる時に読むコラム

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睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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どうしていびきをかいてしまうの?

男性のいびきに悩む女性の様子
まずは、いびきをかくメカニズムについて解説していきましょう。

いびき発生のメカニズム

そもそもいびきとは、睡眠中に何らかの原因で気道が狭くなり、呼吸のたびに気道の粘膜がふるえることで発生する異常音です。

通常、人間の気道は筋肉の支えがあるため、起きている間は空気の通り道がしっかり確保され、スムーズに呼吸をすることができます。

しかし、睡眠中は全身の筋肉が緩み脱力するため、重力によって舌や喉の筋肉が喉の奥に落ち込み、気道を塞いでしまいます。これにより、空気の通り道が狭くなって、呼吸のたびに「ガー」や「ゴー」という大きな音を発生させるのです。

いびきの原因

いびきの原因はさまざまありますが、最も多い原因は肥満です。

肥満になると、上半身だけでなく首周りや舌、気道にも脂肪がつきます。すると、通常よりも気道が狭い状態になるので、眠ったときに重力によって落ち込んだ舌が気道を塞いで、いびきをかいてしまうのです。

しかも、もともと日本人は首が短くて太く、そしてあごが小さい人が多いです。これにより、少々の肥満でも首周りに脂肪がつきやすくなるため、太っていなくてもいびきをかいてしまう人が少なくありません。

そのため、肥満体型になりやすい中年、特に上半身に脂肪がつきやすい(内臓脂肪型肥満になりやすい)男性は注意が必要です。

また、いびきは寝酒や喫煙によっても誘発されます。寝る前の飲酒や喫煙が習慣化している人は、いびきが悪化する前に生活習慣を改めるようにしましょう。

下記にいびきの原因になり得るものをまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

  • ・肥満
  • ・あごが小さい、首が短くて太い
  • ・加齢(特に中年の男性)
  • ・寝酒
  • ・喫煙
  • ・口呼吸で寝ている



放置しないで!いびきは病気のサイン

救急搬送される患者、緊急救命士しかし、なぜそれほどまでにいびきを警戒する必要があるのでしょうか?それは、いびきは危険な病気にかかっていることを知らせるサインの可能性があるからです。
その代表例が、下記の睡眠時無呼吸症候群です。

睡眠時無呼吸症候群を引き起こす

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に何度も呼吸が止まる(無呼吸状態に陥る)ことによって中途覚醒が繰り返され、睡眠が阻害されてしまう疾患です。特徴として、睡眠時はほぼ毎回大きないびきをかきます。

この疾患が危険な理由は、命を落としかねない危険な合併症を次々と引き起こすからです。

例えば、睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に何度も呼吸が止まってしまうため、その度に脳は足りない酸素を補おうと全身の血流を活発にして酸素不足を補います。この状態が慢性化すると発症するのが高血圧です。

他にも、睡眠時無呼吸症候群は糖尿病や肥満の悪化などの生活習慣病を引き起こしたり、最悪の場合は脳卒中や心筋梗塞などを招いたりする可能性が高まります。

このように、睡眠時無呼吸症候群は「たかが、いびき」と絶対に甘く見てはいけない危険な病気なのです。

こんな症状がある場合はすぐに病院へ

下記は、睡眠時無呼吸症候群のセルフチェックです。2個以上当てはまる場合は速やかに医療機関を受診し、治療を受けるようにしてください。

<睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック>

    (2個以上当てはまると睡眠時無呼吸症候群の可能性があります)

  • ・寝ているときはほとんど毎回いびきをかく
  • ・家族や周囲の人に指摘されるぐらい大きないびきをかく
  • ・睡眠中にしばしば呼吸が止まる
  • ・しばしば首を絞められたような感覚で目覚める
  • ・熟睡感がない
  • ・日中に耐え難い眠気を感じる
  • ・居眠り運転で事故を起こしたことがある
  • ・しっかり寝たはずなのにいつも疲れている
  • ・夜中に2回以上尿意で起きる
  • ・寝汗をかく
  • ・寝相が悪い
  • ・20代よりも20kg以上太って肥満になった
  • ・血圧が高い



いびきの主な治療法

CPAPを使用しているシニア世代の男性

このような危険な疾患につながりかねないいびきですが、正しく治療をすれば治療することは十分可能です。いびきの治療法には、次のようなものがあります。

CPAP

睡眠時無呼吸症候群治療の中で最もポピュラーな方法が、CPAP治療です。

CPAPとは、経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure)の頭文字をとったもので、鼻に装着したマスクから持続的に空気を送り込み、気道が塞がってしまうのを防ぎます。

何か薬剤を投与したり、手術を行ったりする必要がないため、睡眠時無呼吸症候群の治療法の中で最も安全で効果的だとされています。実際、全国の医療機関でも頻繁に行われ、その治療効果が認められています。

ただし、「装置が大掛かりで持ち運びに不便」「メンテナンスが面倒」などの不満の声も多くあります。そして何より、マスクの装着や睡眠中空気を送り込まれ続けることに慣れる必要があるなど、患者の負担が大きいことも事実です。

CPAP治療の効果やメリット・デメリットについては、担当の医師としっかり打ち合わせをして、治療を行うか検討するようにしてください。

マウスピース

マウスピース治療は、専用の装置を就寝時に歯にはめることで舌が喉に落ち込むのを防ぎ、いびきを予防します。

マウスピースはCPAP治療とは異なり、装置を歯に装着するだけなので、手軽で持ち運びもしやすいのが特徴です。また、費用もCPAP治療よりは安価なので、金銭的な負担も少ない場合が多いです。

ただし、マウスピース治療は軽度の睡眠時無呼吸症候群にしか行うことができません。加えてCPAP同様、歯に装置をはめて寝ることに慣れる必要があります。

自分がマウスピース治療の適応対象かどうかは、医療機関にお確かめください。

ナステント

ナステントは、シリコーンでできた柔らかいチューブを鼻腔内に装着することで、気道の閉塞を防ぐ治療法です。

装着すると、鼻から上気道、そして喉の奥までの空気の通り道が確保されるため、気道の閉塞によるいびきに加えて、鼻詰まりなどの鼻疾患によるいびきの改善にも効果を発揮します。

また、ナステントはマウスピースと同じように軽量で電源設備も必要ないので、持ち運びもしやすいです。さらに、装着してもノーズクリッパー(鼻柱に挟んでナステントを固定する部分)がわずかに見えるだけなので、見た目への影響も少ないというメリットがあります。

しかし、ナステントは装着時の痛みや抵抗感を感じる人が多いというデメリットがあります。加えて、保険適用外であるため、費用は全額患者が負担することになります。

マウスピース同様、ナステント治療が適応対象かどうかは、医療機関にお確かめください。




【自宅でできる】いびきを改善する対策方法

ジョギングをしているシニア世代の夫婦
上記のように、いびきをかき始めたと思ったら、医療機関を受診し、正しく治療を受けることが改善への近道となります。そして、いびきは日々の対策でも予防することができます。

生活習慣改善

説明したように、いびきは毎日の生活習慣によって引き起こされる場合が多いです。

肥満解消

特に、肥満はいびきに直結することが多いです。加えて、日本人は肥満に関係なくいびきを発症することもあるので、肥満になるとほぼ間違いなくいびきをかくといっても過言ではありません。

そのため、栄養バランスの取れた食事や適度な運動を心がけ、肥満解消に取り組むことが大切です。

寝酒・喫煙は控える

そして、寝酒や日常的な喫煙もいびきの原因になります。寝る前に飲酒をすると、気道の筋肉が緩みやすくなり、舌の落ち込みを促進させることにつながります。

「寝る前にお酒を飲むとよく眠れるのでは?」と思う人もいるでしょう。しかし、睡眠前にアルコールを摂取すると、利尿作用や脱水作用によってほぼ確実に夜中に目覚めることにつながります。いびきだけでなく、睡眠の質を低下させることにもつながるため、控えた方が良いでしょう。

また、喫煙は鼻や喉の粘膜に炎症や腫れ、むくみを発生させるため、気道を狭めていびきをかく原因になります。ゆえに、こちらもいびきを解消するためには、控えることをおすすめします。

横向き・うつ伏せで寝る

いびきを防ぐには、横向き、もしくはうつ伏せで寝るのが重要です。

仰向けで寝ると、いびきをかきやすくなります。その理由は、仰向けで横になると重力によって舌が喉の奥に落ち込みやすくなり、気道を塞いでしまうためです。

よって、いびきを防ぐにはなるべく仰向けで寝ないようにすることが大切です。そのためには、枕を横向き寝がしやすいものに変えたり、うつ伏せで寝ても苦しくないようにクッションなどを使ったりするのが良いでしょう。また、抱き枕を使うのもおすすめです。

いびきに悩む人は、ぜひこの機会に自分の寝具や睡眠環境を見直してみてください。

いびき予防グッズを使う

今すぐいびきを予防したいという人には、いびき予防グッズを使うのもおすすめです。

例えば、口にテープを貼って口呼吸を抑え、鼻呼吸を促す「鼻呼吸テープ」や、鼻腔を広げて鼻の通りを良くする「鼻腔拡張テープ」などは、ドラッグストアで簡単に購入することができます。

しかし、これらの効果は一時的で、長続きしないものが多いです。また、これらのいびき予防グッズはあくまでいびきを予防するためのもので、治療する効果はありません。そのため、いびきを治療するためには医療機関で正しく治療を受ける必要があります。

ですが、今すぐにいびきを止めたい人や、病院に行くまでの一時的な応急処置として利用するには向いているといえるでしょう。




まとめ

睡眠のイメージ
今回は、いびきをかくようになった人にぜひ読んでほしい、いびきのメカニズムとその危険性、治療法、そして自宅でもできるいびき対策を紹介しました。

いびきは肥満をはじめ、さまざまな原因によって発症します。また、その原因や重症度によって治療法が異なるため、症状にあった治療が必要になります。

加えて、いびきは放置すると睡眠時無呼吸症候群を発症させ、次々と危険な合併症を引き起こす可能性があります。ゆえに、いびきに心当たりのある人は迷わず医療機関を受診し、治療を受けるようにしましょう。

最後に、このコラムを読んでいる人の中には、「いびきで病院に行くのは恥ずかしい」と思う人もいるかもしれません。ですが、いびきは決して恥ずかしいものではありません。いびきは正しく治療すれば、十分治る可能性はあります。ですので、この記事をきっかけにして、ぜひお近くの医療機関にいびきの相談をしてみてください。




よくある質問

Q.どうしていびきをかくのですか?

A.いびきは睡眠中に何らかの原因で気道が狭くなり、呼吸のたびに気道の粘膜がふるえることで発生します。

Q.いびきは治療しなくても良いですか?

A.いびきは放置すると睡眠時無呼吸症候群を発症し、高血圧や脳卒中、心筋梗塞などの危険な病気を引き起こす可能性があります。ゆえに、いびきに気づいたら放置せず、速やかに医療機関を受診することが大切です。

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