いびき

睡眠負債とは?睡眠不足が及ぼす深刻な影響や解消法などを解説!

2022.11.03
「睡眠不足」は日常的によく使われる言葉ですが、「睡眠負債」についてはあまりよく分かっていないという方も多いのではないでしょうか。睡眠不足が続くと陥ってしまうのが睡眠負債という状態です。この記事では、「睡眠負債」とはどのようなものなのかについてご説明していきます。睡眠負債によって生じる影響や理想の睡眠時間、睡眠負債を解消するコツなどについても解説していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

「睡眠負債」とは?


「睡眠負債」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?睡眠負債と聞いて想像できるイメージに、「睡眠不足」があると思います。しかし、睡眠不足とは1日単位の睡眠の質と量のことを示す短期的なものに対して、睡眠負債とは、持続的・慢性的な睡眠の質と量が不十分な概念を示します。長く睡眠不足が続くと大きな負担になってしまうことを「負債」という言葉で表現しているのです。つまり、睡眠負債とは、日々の睡眠不足が積み重なった状態のことです。それでは、短期的な睡眠不足の原因と日常生活への影響、長期的な睡眠負債の原因と日常生活への影響を解説します。

睡眠不足と睡眠負債の原因と日常生活への影響


睡眠不足や睡眠負債の原因には、どんなものがあるのでしょうか。2019年9月3日の睡眠の日に、日本睡眠科学研究所の監修のもと、1万人を対象に睡眠の調査が行われました。睡眠による休息の満足度調査において、世界保健機構(WHO)が設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」において作成された不眠判定方法「アテネ不眠尺度」の質問に則り調査したところ「不眠症の疑いあり」と答えた割合が全体の50%に達して前年よりも0.8%増えていることが分かりました。
悩みが原因で睡眠の質が低下している場合の悩みの種類では、将来の悩みが最も大きな要因であり、特に貯金と収入に関する悩みが上位になりました。加えて仮眠をとる割合も低く、全体の30%程度になっています。なお、未就学児を育てる母親の睡眠阻害要因のトップにあるのは子供が夜中に起きることに起因しています。昨今では、コロナ禍の影響で健康・家計の不安から睡眠不足に繋がるケースや、シフト業務をはじめとする現代社会の多様な働き方の推進、インターネットやゲームなどによる夜型生活の増加などライフスタイルの変化も、睡眠負債を抱えやすい要因になっています。

睡眠不足の日常生活への影響

短期的な睡眠不足・睡眠障害は、以下のような症状を引き起こします。

  • ・倦怠感
  • ・ストレスの増加
  • ・イライラや怒りっぽい
  • ・頭痛
  • ・集中力、注意力の欠如
  • ・血圧上昇
  • ・吐き気
  • ・めまい
  • ・日中のパフォーマンス低下

まずは、睡眠リズムが崩れると、睡眠ホルモンであるメラトニンが減少していきます。メラトニンが減少すると、寝つきが悪くなり浅い睡眠になります。体温調節やホルモン分泌がうまくいかないことで体の疲労を回復することが出来ずに倦怠感を覚えるようになります。
また、通常であれば睡眠により解消されるストレスも蓄積されるため、怒りっぽくなります。加えて、睡眠不足は脳の酸欠状態を引き起こすため頭部筋肉の過剰な緊張や血管の収縮が起きてしまうため頭痛・めまいを引き起こします。

睡眠負債の日常生活への影響

では、次に長期的な睡眠負債について原因と日常生活への影響を解説します。
まず、睡眠の質が悪い状態を長期的に続けると、自律神経のバランスが崩れて睡眠障害を引き起こします。その結果、交感神経が優位となり、高血圧・不整脈が出現します。この状態を数カ月続けることで、ホルモンバランスが乱れて、肥満・糖尿病・脂質異常などの生活習慣病に発展します。
そもそも人間は、眠っている時に成長ホルモンが分泌されます。しかし、睡眠不足により成長ホルモンが減り、ストレスホルモンである副腎皮質ホルモンが多く分泌されるようになります。その結果、疲労回復が遅れて、免疫機能が低下します。さらに、インスリン抵抗性が上がり食欲を制御するレプチンの分泌が抑制されるため、肥満や代謝異常が進みます。

睡眠負債を数年続けると

寝不足はいびきを引き起こす可能性もあります。同居している家族等に迷惑をかけてしまうこともある為、早めに睡眠負債を解消することをお勧めします。
コチラの記事では寝不足によるいびきのメカニズムを解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

また、睡眠負債を抱えたままの状態を数年続けると、セロトニンやカテコラミンなど、生命維持に必要な物質が不足・枯渇するようになってしまい、抑うつ状態を引き起こしやすくなってしまいます。更に、これが15年ほど続くと脳内の老廃物といわれるアミロイドβなどの物質が除去されにくくなり沈着します。そしてついには、アルツハイマー病など認知機能の低下につながることが分かっています。

睡眠負債の解消法


睡眠負債は、読んで字のごとく「負債」となります。従って、短期間で解消する問題ではないケースが大きいです。解消法には以下の5点が有効だとされています。

  • ・たくさん寝る
  • ・普段の睡眠時間を記録する
  • ・毎日少しずつ生活リズムを改善していく
  • ・昼寝の活用
  • ・眠りの質を高める

たくさん寝る

まず、最も重要な沢山寝ることから解説します。短期的にリフレッシュするためには、一度睡眠不足を解消できるくらい寝てしまうことです。眠りすぎは体調悪化にもつながりますが、慢性的な寝不足の場合は一日目覚めるまで寝てしまうことが有効です。

他にも「分割睡眠」等こまめに寝る習慣を取り入れる事で、少しでも睡眠負債を解消していくことが重要の様です。
分割睡眠についてはコチラの記事でも紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

普段の睡眠時間を記録する

次は、日常生活において、何時に起きて何時に寝るかを毎日計測・記録することです。これによって典型的な睡眠パターンを把握でき、睡眠の改善の目安が分かります。次は、計測・記録した睡眠時間を元に生活リズムを快適に日常生活が送れる日のように近づけていきます。少しずつ負債を返済しているイメージです。この過程の中で負債を返済する一環として、昼寝や睡眠の質を高める工夫をしていけばよいと思います。具体的には後述します。

眠りの質を高める方法

睡眠時間の絶対的な基準はありません。睡眠は個々人の年齢や体質、生活習慣によって変わります。そのため、メディアによって推奨された睡眠時間を確保しているからと慢心せずに、日常生活を覚醒してした状態で過ごせているかどうか?の判断を自分で確認する必要があるのです。決して、睡眠時間を長くとればとるほど良いということは無いのです。それでは、簡単に出来る睡眠の質を上げる工夫を紹介します。

  • ・睡眠前に暖かい飲み物で眠気を促進させる
  • ・適度な運動をする
  • ・ぬるめの湯船につかる
  • ・睡眠の3時間前には食事を済ませる

昼寝の効果とメリット

なぜ人間は昼食後に眠くなるのか?そのメカニズムから解説します。昼過ぎに眠くなる原因は、睡眠・覚醒リズムと呼ばれる生体リズムが最も大きな原因です。人間の脳は目を覚ますと活動を始めます。しかし、起床から8時間後と22時間後に眠気がきて脳を休ませようと眠気が訪れるリズムがあるのです。それに加えて昼食後の満腹感が影響して眠気がより一層ダイレクトに体に現れた結果、昼食後に眠くなるのです。
更に、一般社会人の多くは、昼食の時間が20分前後と非常に短いため短時間で急な血糖値上昇も要因の一つになります。そこで、昼寝が重要になるのです。昼寝の最適な時間は15分から30分程度と言われています。理由は、ノンレム睡眠のStageⅡに入り、眠気をある程度減らす効果が期待できるからです。30分から60分程度とてしまうと、ノンレム睡眠のStageⅣとかなり深く眠ってしまうため、起きた時に頭がボーッとする「睡眠慣性」が生じます。

日常に運動を取り入れるメリット

運動をした方が良い理由は大きく2つあります。

  • ・生活習慣病の予防
  • ・筋肉や体の機能の維持

生活習慣病の予防

まず、最も重要なのは、生活習慣病の予防です。日常的に食事により摂取したエネルギーは、運動により消費されるエネルギーとバランスが保たれます。しかし、運動をしないと摂取したエネルギー量に対して消化するエネルギー量が小さく、使われなかったエネルギーは脂肪として体に蓄えられていくからです。この状態が蓄積することで、脂肪が累積し、肥満となります。その肥満が進行することで糖尿病や高血圧、脂質異常といった生活習慣病のリスクを高めるのです。

筋肉や体の機能の維持

次に重要なのは、筋肉や体の機能の維持です。体調を崩した時に数日から一週間動けない時があったと思います。回復後、動き出すと疲れやすい体になっているケースや、普段通りに動けない、持久力が無いなどの不調を体感すると思います。人間は持っている機能を使わないと驚くようなスピードでその機能は低下していくのです。具体的に歩くという動作に絞って解説します。歩くときは、大腿四頭筋(大腿直筋・広筋)、大腿二頭筋、前頸骨筋、下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋など)といった多くの筋肉を使って1歩ずつ歩くのです。この時は、お尻や腰、背中、腕の筋肉も使用しています。従って、体全体を使って歩くという動作をしていると言っても過言ではないのです。

運動の効果

運動の効果には大別して身体的効果と精神的な効果の2種類があります。

身体的な効果

・健康的な体形維持
・体力、筋力の維持および向上
・肥満、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防
・加齢に伴う生活機能低下の予防
・心肺機能の向上により疲れにくい体をつくる
・腰や膝の痛みの軽減
・血行促進により肩こり、冷え性の改善

精神的な効果

・認知症の低減
・不定愁訴の低減
・気分転換やストレス解消

まとめ


今回は、「睡眠負債」に関して、そもそもどういう状態で何が原因かを解説しました。加えて、どのような症状を引き起こし、解決するための手段についても解説しました。不眠や睡眠障害から発展して日常生活を活力もって送ることができない大きな原因が「睡眠負債」だということがお判りいただけたかと思います。睡眠負債は、不調から生活習慣病を引き起こし最悪の場合、命に関わる問題にも発展するリスクがあります。

人間は一日の1/3は寝て過ごすため、睡眠が大事だということはおそらく多くの人が理解していると思います。しかし、睡眠の質の低下がみられても改善に向けて具体的な行動を取る人は非常に少ない傾向にあります。もし睡眠に関して満足できていない時は、睡眠の質改善に向けて何かしらのアクションを取ることをおすすめします。睡眠の問題は、比較的に大きな問題としてとらえない現状から、自分も大丈夫だろうと慢心している可能性があると気づくことが出来たら何かアクションを起こして改善の一歩にしましょう。

また、日本人特有の感覚で大衆心理という物があります。これは、世の中の平均と比較して自分の感覚を普通に保つことです。睡眠の問題で言うと、世間一般では睡眠は7~9時間が最適などと言われています。しかし、体のつくりがそれぞれに個体差があるため短時間の睡眠で満足できる人や長時間寝ないと疲れが取れない人など様々なケースがあるのです。そのため、睡眠に関しては自分に合った時間を確保することで健康に満足のいく生活が出来るのです。日常的に睡眠不足を感じる機会が頻出している方は、睡眠障害専門の医療機関やクリニックでの受診を進めます。健康的な生活を確保するためにも睡眠に対して気を配るようにしましょう。

よくある質問

Q.「睡眠負債」とは?

A.睡眠負債とは、持続的・慢性的な睡眠の質と量が不十分な概念を示します。

Q.睡眠障害とは、具体的にどのような症状を引き起こすのか?

A.倦怠感、ストレスの増加、イライラや怒りっぽい、頭痛、集中力・注意力の欠如、血圧上昇、吐き気、めまいを引き起こします。