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【短期集中】短時間睡眠の効果と取り入れ方について

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睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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日中に眠気を感じるのはどうして?

ノートパソコンを触りながらあくびをする女性

日中の眠気は、とてもよくあることですが、起こる理由として考えられることは、以下の3つです。

  • ・生体リズム
  • ・昼食後
  • ・睡眠不足

以下で1つずつ解説します。

生体リズム

人間の体内リズムには1年、1月、1日周期などのいくつかの周期があり、睡眠・覚醒の生体リズムは約25時間です。要するに、毎日1時間ずつずれますが、朝の日光、昼と夜、規則的な食事、人との接触などで、そのズレを修正し、毎日約24時間周期で生活をしています。

眠気の生体リズムは、夜間では午前2~4時、そして、日中では午後に起きることになっています。午後の眠気は、就寝時刻の15時間後が最大です。例えば、22~24時に就寝すると、15時間後である翌日13~15時に昼間の眠気のピークがきます。

つまり、午後の眠気は生理的現象です。

昼食後

昼食後に限らず、食後は眠くなります。なぜなら、満腹になり、血糖値が高くなると、脳のホルモン「オレキシン」の活動が低下するからです。

オレキシンは、摂食行動の制御系と睡眠覚醒の制御系の両者と深い関係をもっています。空腹時に血糖値が低くなると、活性化し覚醒します。満腹時に眠くなるのと同様に、この作用は、健康な人なら誰にでも起こる正常な反応です。

しかし、この反応は食事の内容や食べ方を工夫することで少なくすることができます。つまり、オキレシンの活動が低下しないように、血糖値の上昇を緩やかにすれば良いのです。従って、食後血糖値を急激に上げないために、次のことに気をつけましょう。

  • ・バランスの良い食事内容にする
  • ・糖質に偏らないで、たんぱく質や食物繊維と一緒に摂る(糖質を単体で摂らない)
  • ・食物繊維の豊富な野菜から食べる(ベジタブルファースト)
  • ・ゆっくりよく噛んで食べる

麺類や丼ものといった、糖質に偏りやすい昼食は特に気をつけましょう。例えば、麺類ならラーメンよりも、トッピングに卵、わかめや油揚げが付けられるそばにして、トッピングから食べましょう。同様に、丼ものなら副菜のあるお店を選んで、まず副菜からという具合にするのが理想的です。

食事の内容や取り方の工夫で、オキレシンの活動低下による眠気は、少し解消できそうですね。

睡眠不足

日中の強い眠気の原因で忘れてはいけないのは、睡眠不足です。

必要な睡眠時間は、人によって大きく異なります。「健康づくりのための睡眠指針 2014」に、睡眠時間について以下のような記載があります。
“個人差はあるものの、必要な睡眠時間は 6 時間以上 8 時間未満のあたりにあると考えるのが妥当でしょう。”

皆さんの実際の睡眠時間と比較していかがでしょうか?自分では十分に寝ているつもりでも、実際は足りていないという可能性もあります。

例えば、日中の眠気をいつもより強く感じたり、休日に平日よりも2時間以上起床時刻が遅かったりする場合は、自分でも自覚しないうちに睡眠不足に陥っている恐れがあります。

つまり、睡眠の質も大切ですが、ある程度は長く眠ることも大切です。早めに布団に入り、睡眠時間を十分に取りましょう。

短時間睡眠の効果は?

ノートパソコンと居眠りをする女性の写真

午後の眠気を改善させるための方法として、最もよく考えられるのは仮眠を意味するナップ(nap)や昼寝と呼ばれる、短時間睡眠を取ることです。このナップ(nap)と「パワーアップ」を掛けた「パワーナップ」という造語には、短時間睡眠の効果が現れています。短時間睡眠の効果として挙げられるのは、以下の3つです。

  • ・眠気の解消
  • ・作業能率の改善
  • ・疲労の回復と予防

以下で1つずつ解説します。

眠気の解消

短時間睡眠は、20分以下の場合に眠気の解消に有効です。

と言うのも、短時間睡眠を取った際、スッキリすることもあるけれども、かえって眠気や疲労感に襲われたり、その夜に眠れなくなったりという経験を持つ方もいるのではないでしょうか。このような現象を睡眠慣性(すいみんかんせい)と言います。

睡眠慣性やその夜の入眠困難の原因は、短時間睡眠の長さにあり、30分以上だった場合に発生します。短時間睡眠が20分以下だった場合、以下のいずれの場合も眠気の解消に有効だったと報告されています。

  • ・前夜の夜間睡眠が不足していて生じた日中の眠気
  • ・前夜の夜間睡眠が十分であっても生じた日中の眠気
  • ・若年成人、壮年期成人ばかりでなく、高齢者において生じた日中の眠気

短時間睡眠は夜間の睡眠時間が眠気を一時的に防止するもので、夜間の睡眠不足を解消するための補償的な睡眠にはなりません。しかし、20分以下の短時間睡眠は眠気の解消に有効です。

作業能率の改善

午後2時の20分の短時間睡眠は作業成績の改善に有効です。なぜなら、短時間睡眠で集中力が高まることが見込まれており、仕事や勉強の効率が上がると考えられているからです。

実際、短時間睡眠を取った場合と取らなかった場合を比較して、その後の眠気、作業能率ともに改善したと報告されています。

短時間睡眠の分だけ仕事や勉強の時間は減りますが、起床後、十分なパフォーマンスを発揮できます。

疲労の回復と予防

日本人の行った研究ですが、短時間睡眠に、疲労の回復と予防の効果があるという報告があります。

  • 【研究の内容】
  • ・参加者:10人の若い健康な成人を20分間短時間睡眠(短時間睡眠群)と20分間休憩(休憩群)に分けた
  • ・実験:視覚表示端末(VDT)作業1時間、20分間短時間睡眠もしくは20分間休憩、その後1時間のVDT作業を行い、主観的な眠気と疲労を短時間睡眠群と休憩群で比較

上記の研究では、休憩群では主観的な眠気と疲労は一時的に回復しましたが、その後の作業で悪化、一方、短時間睡眠群では、追加の作業を行っても、主観的な眠気と疲労は休憩群と比べ有意に低いレベルを維持し続けました。つまり、短時間睡眠には疲労回復効果のみでなく、疲労予防の効果もあることを示唆しています。

短時間睡眠には疲労回復と予防の両方の効果があるので、睡眠を取った後は疲れにくくなります。

適切な短時間睡眠の取り方は?

ノートパソコンとスマートフォン、コーヒーカップの写真

適切な短時間睡眠の取り方のポイントは4つです。

  • ・短時間睡眠の最適な長さ
  • ・短時間睡眠の最適な時間帯
  • ・短時間睡眠の習慣
  • ・睡眠慣性の低減法

以下に1つずつ解説します。

短時間睡眠の最適な長さ

短時間睡眠の効果を得るためには15~20分程度は寝る必要があります。なぜなら、短時間睡眠は5分程度だと、主観的な眠気は取れますが、作業効率の向上は期待できないからです。また、20分以上になると睡眠慣性が高まってしまうので、20分以下であることも必要です。

ヒトの睡眠は、ノンレム睡眠(non-REM sleep)とレム睡眠(REM sleep)という質の違う二つの睡眠段階に分類され、さらに、ノンレム睡眠は、睡眠の深さで睡眠段階1~4(浅い→深い)の4段階に分けられます。効果のある短時間睡眠のためには、1から始まる睡眠段階の2が一定時間継続することが必要です。つまり、通常、睡眠段階1が5分程度なので、5分以上は眠る必要があり、さらに、睡眠段階2を一定時間継続するとなると、やはり総計15~20分程度は眠る必要があります。

短時間睡眠の最適な時間帯

短時間睡眠を取るのに最適な時間帯は、午後の最も眠気が強い時間帯です。しかし、このような時間帯に短時間睡眠を取れる人は限られています。また、比較的、誰もが時間を取れる昼休みに短時間睡眠を取っても午後の眠気が改善されることが報告されています。

昼休みの短時間睡眠の報告で、取り上げられている短時間睡眠のメリットは、眠気の解消の他に、集中力のアップ、夜間睡眠に良い影響を及ぼすことです。

つまり、短時間睡眠の最適な時間帯は、午後の最も眠気の強い時間帯ですが、その時間帯に取れない場合は昼休みに取っても良い効果が得られます。

短時間睡眠の習慣

短時間睡眠の習慣を作ると、睡眠慣性による起床直後の眠気が次第に解消され、起床直後から通常通りのパフォーマンスでいられるようになります。

つまり、短時間睡眠は可能なら、日課にしてしまいましょう。例えば、職場の昼休みが1時間であれば、外食ではなくお弁当を持参し、外へ出る時間を短時間睡眠に充てるのはいかがでしょうか。午後からの仕事のパフォーマンスが上がりますよ。

睡眠慣性の低減法

睡眠慣性と呼ばれる短時間睡眠の起床後の眠気を解消するには、以下のような方法があります。

  • ・カフェインなど覚醒作用のある物質の摂取
  • ・音楽、洗顔、高照度光照射などを起床直後に提示
  • ・自己覚醒法

カフェインなど覚醒作用のある物質の摂取

カフェインは、睡眠系へ促進的に作用するアデノシン受容体の拮抗薬で、主な作用は、睡眠系への抑制性作用です。カフェインの効果が現れるまでに15~30分かかるので、カフェイン摂取直後に、短時間睡眠を取れば、起床する頃にカフェインの効果が現れ、睡眠慣性を低減することができます。

カフェイン摂取後に短時間睡眠を取った場合は、単に短時間睡眠取った場合よりも覚醒効果が高いと言われています。

音楽、洗顔、高照度光照射などを起床直後に提示

とはいえ、カフェインが苦手な方や体調が悪くてカフェインを摂取できない日もありますよね。そのような時は、短時間睡眠直後、好みの興奮的楽曲を聴く、冷水での洗顔、ショーウィンドウの照明(2000ルクスが推奨照度)くらいの明るい光を1分間浴びるなどの方法も睡眠慣性の低減効果があると報告されています。

しかし、カフェイン摂取後に短時間睡眠を取った場合の方が、短時間睡眠直後に洗顔もしくは高照度光照射を行った場合、さらにカフェイン単独の場合よりも眠気の低減や作業成績の向上に効果的なことも報告されています。

自己覚醒法

自己覚醒法とは、一定の時間経過後に起こされるのではなく、自力で目覚めることです。夜間睡眠の起床時に目覚まし時計なしで起きることのできる人は身につけていると言えます。自己覚醒法は、短時間睡眠から起床した際に起こる、急激な心拍数の増加などを抑えるための方法としても有効です。
なぜなら、起床前から覚醒への予備的な準備が、脳と体で行われているためです。自己覚醒法を身につけることは、難しくはありませんが、一定期間のトレーニングを必要とします。つまり、自己覚醒法は睡眠慣性の低減だけでなく、短時間睡眠リスクである、心臓血管系障害の予防にも効果的です。

短時間睡眠後のパフォーマンスアップのために、自分にあった睡眠慣性低減法を見つけておきましょう。

良質な短時間睡眠を取るコツは?

居眠りをしている女性の写真

ここでは、良質な短時間睡眠を取るコツを4つ紹介します。

  • ・寝る時の姿勢
  • ・音対策は耳栓やホワイトノイズ
  • ・光対策はアイマスク
  • ・お昼寝枕の活用

以下に1つずつ説明します。

寝る時の姿勢

短時間睡眠では、横にならないで机や椅子を使って座ったままの状態で寝ましょう。横になって眠ってしまうと熟睡してしまい、短時間で起床しにくいからです。

例えば、椅子を壁につけて座り、頭を壁につけたり、椅子に座ったまま、机にうつ伏せたりなどの姿勢を取って寝ましょう。この時、重要なのは首の姿勢です。机にうつぶせ寝する場合は、本やタオルを使って、首がグラグラしない状態を作って眠ることが大切です。というのは、自分の腕を枕にして寝ると、重い頭が原因で腕の神経が麻痺してしまう場合があるからです。必要に応じて、短時間睡眠用のグッズも使いましょう(以下に説明します)。

音対策は耳栓やホワイトノイズ

周囲の音や人の話し声が気になって眠りに付けないような場合は、耳栓やホワイトノイズがおすすめです。ストレスなく、短時間睡眠が取れます。

耳栓は、素材による感触、商品によって遮音性も違うので、購入する際は必ず確認しましょう。選び方や付け方を間違えると、思うような効果が得られません。

ホワイトノイズとは、風や雨の音のような耳に心地よい雑音のことです。スマートフォンのアプリなどで、手軽に得ることができます。

ホワイトノイズについてはコチラの記事でも紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

光対策はアイマスク

光対策としては、アイマスクがあります。人の目は、閉じていても光を感じるので、付けた方がよく眠れるでしょう。

アイマスクを選ぶ際には、遮光性、付け心地に注意してください。十分な遮光性のためには、顔にしっかりフィットしていること、良い付け心地のためには、目元が圧迫されない、ゴムがきつ過ぎないことなどに注意して選びましょう。スマートフォンと連動して効果アップを図る短時間睡眠用アイマスク、保冷剤を入れられるポケットのついたもの、USB充電式のホットアイマスクなど、さまざまな種類があります。

お昼寝枕の活用

効率良く短時間睡眠を取るための枕を、必要に応じて使って、上手に短時間睡眠を取りましょう。なぜなら、様々な種類がたくさん販売されていて、使うとことで短時間睡眠が取りやすくなるからです。

椅子の背もたれを利用して短時間睡眠を取る場合は、首枕や腰クッション、机にうつぶせ寝する場合は、うつぶせ寝用枕があります。種類や形状、素材や質感をチェックして、自分の短時間睡眠の取り方に合った、好みのものを選びましょう。持ち運びやすさや丸洗い可能かどうかも、人によっては重要なチェックポイントになります。

短時間睡眠を習慣にして仕事のパフォーマンスを向上させよう!

アイマスクと耳栓

この記事では、短時間睡眠の効果とその取り入れ方について解説しました。
短時間睡眠の習慣を取り入れることで、午後の眠気を解消し、仕事のパフォーマンスを上げることができます。

まずは毎日決まった時刻に椅子に座り、目を閉じて休んでみることから始め、自分にとって心地良い短時間睡眠の取り方を探してみましょう。

よくある質問

Q.仮眠は何分が効果的ですか?

A.仮眠の時間は、10−15分、長くても20−30分以内に留めておきましょう。それ以上長く眠ると、深い眠りに入ってしまい、スッキリ目覚めることができず、その後の仕事や勉強に差し支えます。そのために、仮眠時は横にならず、椅子に座ったまま取りましょう。必要に応じて、耳栓や首枕などを使うと良いでしょう。

Q.仮眠のあとすっきり起きるにはどうしたら良いですか?

A.短時間睡眠を取る直前に、カフェイン入りのコーヒーなどを摂取すると、スッキリ目覚めることができることが分かっています。カフェインが苦手な方や体調が悪い時は、短時間睡眠の起床後、洗顔したり、好みの興奮的な音楽を聞いたりしてもスッキリします。

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睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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