睡眠時無呼吸症候群

【日頃の生活から】睡眠時無呼吸症候群と食事の関係性について

2022.10.30
大きないびきで気づくことが多い睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)の認知度は高くなってきましたが、睡眠時無呼吸症候群対策の食事やセルフケアについてはあまりよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
睡眠時無呼吸症候群の大部分を占める、閉塞性睡眠時無呼吸症候群は予防可能です。
本日紹介する睡眠時無呼吸症候群の、食事上の注意やセルフケアを実行してみましょう。 睡眠が良く取れたり、心配な症状が軽減したりなど、良い効果が現れます。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群の方や睡眠時無呼吸症候群を心配されている方がどのような食事を摂ったら良いのかについて解説します。 睡眠時無呼吸症候群の食事以外のセルフケアについても解説していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

睡眠時無呼吸症候群の食事で気をつけることは?


睡眠時無呼吸症候群の発症や合併症リスクに備えて、食事で気をつけることは以下の4つです。

  • ・適正体重維持のための適正な熱量摂取
  • ・塩分控えめ
  • ・食物繊維、ビタミン、ミネラルなどもバランス良く摂取
  • ・正しい食行動

以下に1つずつ説明します。

適正体重維持のための適正な熱量摂取

睡眠時無呼吸症候群の食事で気をつけることは、第1に適正体重の維持です。
その理由は、睡眠時無呼吸症候群で上気道の閉塞が起きる原因の1つに、肥満があるからです。

年齢、性別、Body mass index (BMI)や活動量によって、必要な熱量は異なります。
BMIが25を超える場合は、生活習慣の改善による減量(ダイエット)が効果的とされています。

また、標準体重の方も過度な体重増加はリスクです。
ゆえに、適切な体重の維持を心掛けましょう。

塩分控えめ

食事の塩分を、控えめにしましょう。
その理由は、睡眠時無呼吸症候群では高血圧が、特に高い確率で併発することが明らかとなっているからです。

日本では一般人の食塩摂取量目標は,男性は1日7.5g未満,女性は6.5g未満です。
欧米や世界保健機関(WHO)ではさらに低い接種目標を掲げています。

“欧米のいくつかの国では、一般人も6g未満を推奨しています。また、世界保健機関(WHO)もすべての成人の減塩目標を5gにしました。”
引用:日本高血圧学会 減塩・栄養委員会、2020年6月、高血圧の予防のためにも食塩制限を―日本高血圧学会減塩委員会よりの提言

塩分を控えた調理方法や塩控えめレシピについては、自分で情報収集するのも良いですが、病院や自治体の栄養士さんに相談するのをお勧めします。
なぜなら、栄養士さんが行う提案は各々の生活に合わせたものなので、自分にピッタリのアドバイスを貰えるからです。

塩分は血管内皮細胞を痛め、動脈硬化を早めます。
以上のことから、塩分控えめにして、睡眠時無呼吸症候群と併発しやすい高血圧に気をつけましょう。

食物繊維、ビタミン、ミネラルなどもバランス良く摂取

食物繊維、ビタミン、ミネラルなどもバランス良く摂取しましょう。
その理由は、減量中はどうしても食べる量を減らしすぎてしまい、必要な栄養がとれなくなってしまう場合があるからです。

食物繊維、ビタミン、ミネラルは、からだを作る材料やエネルギーそのものにはなりませんが、それぞれ役割があります。

食物繊維は、小腸で消化・吸収されず、大腸まで運ばれる成分で、整腸、血糖値上昇抑制、コレステロール濃度低下などの働きを示します。
ビタミン・ミネラル類の役割は、三大要素の炭水化物、脂質、タンパク質のエネルギーへの変換サポートです。

例えば、タンパク質は代謝をアップさせるので脂肪燃焼を促す減量に欠かせない栄養素ですが、ビタミンB6を一緒に摂る事で、利用・吸収の効率が高まります。
さらに、ひじきやのりなどの海草に多く含まれるクロムは、炭水化物や脂質の代謝を高める働きをします。

サプリメントで補う方法もありますが、食事は咀嚼のために筋肉を使いますし、食べる楽しみや味わいもあります。
以上のことから、なるべく本物の野菜や果物、海藻類、雑穀類、肉や魚、乳製品などさまざまな食品を組み合わせて食べましょう。

正しい食行動

正しい食行動として特に挙げられるのは、以下の3つです。

  • ・1日3食を決まった時間に食べる
  • ・イライラ食いや気晴らし食いなどの代理摂食はしない
  • ・夕食は腹6~7分目、寝る3時間前までに食べる

1日3食を決まった時間に食べることは、腸内環境を整え、自律神経を整えることにつながります。
また、代理摂食をしないことの目的は、必要以上の熱量摂取をしないことです。
さらに、寝る前の夕食を避ければ、胃腸に負担がかからず、快眠できます。

正しい食行動を摂り続けることで、日中の体調、パフォーマンス、睡眠の質もアップします。
適切な量の栄養素をバランスよく摂って、適正な体重を維持しましょう。

睡眠時無呼吸症候群で適切な食事をとるとどうなるの?


日本人の研究ですが、食事指導の介入により,14名中3名の患者でCPAP治療(Continuous Positive Airway Pressure:経鼻的持続陽圧呼吸療法)が中止できたという報告があります。

  • 【研究内容】
  • ・閉塞性睡眠時無呼吸症候群と診断された患者14名
  • ・入院前1週間の食事内容調査、入院中に1時間の栄養指導、退院後5~7日間の食事内容調査
  • ・入院前後で栄養学的分析

上記の研究では同時に食行動調査も行っており、その結果、睡眠時無呼吸症候群患者は食行動に問題があったとも報告しています。

睡眠時無呼吸症候群では、栄養指導でCPAP治療が中止になるほど改善する場合があります。
したがって、睡眠時無呼吸症候群の方や予防したい方は、食事の内容と摂り方に気をつけましょう。

睡眠時無呼吸症候群に良い食べ物


必須アミノ酸の「トリプトファン」、「ビタミンB6」、非必須アミノ酸「グリシン」は良質な睡眠をとるために役立ちます。
その理由は、睡眠時無呼吸症候群に直接効果があるわけではありませんが、これらの食べ物を積極的に摂ることで睡眠の質が上がるからです。

これらの栄養素を含む食品は以下の通りです。

【睡眠時無呼吸症候群に良い食品】

栄養素 望ましい摂取時刻 含む食品 理由
トリプトファン 朝食 乳製品、レバー、大豆製品、ナッツ類など 睡眠の質を上げるセロトニン(メラトニン)の原料
ビタミンB6 朝食 赤身の魚、ヒレ肉やささみなどの脂が少ない肉類など トリプトファンからセロトニンが合成される際に必要
>グリシン 夕食 エビ・ホタテ・イカ・カニなどの魚介類、牛スジ・鶏の軟骨・豚足などの動物性コラーゲンを含む食品、ゼラチンなど 血管を拡張させ深部体温を下げ、入眠を助ける

トリプトファンは、ビタミンB6と一緒に摂ると覚醒ホルモンのセロトニンが合成され、さらに、セロトニンが睡眠ホルモンのメラトニンになります。
バナナにはトリプトファンとビタミンB6の両方が含まれているので、必要な栄養摂取が手軽にできる便利な食品です。

また、夜間に深部体温を下げるグリシンを含む食品や夏野菜を夕食に食べると、入眠しやすくなります。

食事の基本はバランスよく摂ることです。
特定の食材ばかりを食べるのではなく、バランスの良い食事を摂ることを心掛け、睡眠の質を上げましょう。

睡眠時無呼吸症候群で食事以外のセルフケアには何があるの?


睡眠時無呼吸症候群で、食事以外のセルフケアは下記の7つです。

  • ・規則正しい生活と適度な運動
  • ・過度な飲酒をしないで寝酒は控える
  • ・禁煙
  • ・鼻呼吸する
  • ・睡眠薬の服用を控える
  • ・寝る姿勢を変える
  • ・効果的な運動:あいうべ体操

以下に1つずつ説明します。

規則正しい生活と適度な運動

ウォーキングやストレッチなど適度な運動を心がけ、規則正しい生活を送ることがとても大切です。
その理由は、適正体重と全身の筋力維持が重要だからです。

規則正しい生活が生活リズム、良い睡眠の基本を作ります。
ぐっすり眠れていると代謝も上がり、ホルモンバランスが整って食欲のコントロールも行いやすくなります。

さらに、喉や首回りの筋肉は呼吸に重要な役割があるので、筋力低下で気道が狭窄し無呼吸が起こりやすくなります。喉や首回りの筋力が衰えてくるのは、特に男性なので注意が必要です。

以上のことから、適正体重や全身の筋力を維持のために、規則正しい生活をし、適度な運動を実行しましょう。

過度な飲酒をせず寝酒は控える

過度な飲酒をせず寝酒を控えることも、睡眠時無呼吸症候群には有効です。
その理由は、アルコールは上気道の筋肉を弛緩させるので、上気道が狭くなり無呼吸症状のリスクが高まるからです。

過度な飲酒もですが、就寝前の飲酒は控えましょう。

禁煙

禁煙も睡眠時無呼吸症候群には有効です。
その理由は、タバコの煙は気道に慢性的な炎症を引き起こし、上気道の狭窄リスクを高めるからです。

喫煙者は、非喫煙者に比べて睡眠時無呼吸症候群になるリスクが高いという報告がされています。
この報告では、喫煙経験があっても、禁煙すれば睡眠時無呼吸症候群のリスクを下げることができるとも報告しています。

健康のためにも、睡眠時無呼吸症候群を予防するためにも禁煙を心がけましょう。

鼻呼吸する

口呼吸ではなく、鼻呼吸をしましょう。
その理由は、口呼吸だと鼻呼吸よりも咽頭が狭くなり、上気道が閉塞しやすい状態になるからです。

鼻呼吸の改善として、鼻腔を広げるテープやマウステープなどが役立つ場合もあります。
薬局や通信販売などで販売されているので、症状が軽度で有効な場合は使うのも良いでしょう。
ご自身で判断できない場合は、主治医にご相談ください。

睡眠薬の服用を控える

可能なら、睡眠薬の服用を控えましょう。
その理由は、睡眠薬は上気道を弛緩させ閉塞を引き起こしやすくするからです。

また睡眠薬を使用することにより危険な無呼吸時間を長引かせることにもなります。
しかし、服用が必要な場合もありますから、服用を控えることができるかどうかは、主治医にご相談ください。

寝る姿勢を変える

横向きに寝ると、症状が改善する場合があります。
その理由は、仰向けで寝たら、重力で舌の根本の舌根(ぜっこん)が気道に沈み易くなるからです。

横向きの場合は仰向けの場合よりも舌根が沈みにくいため、喉が塞がりにくくなります。

仰向けで寝ている方は横向きで寝てみましょう。

効果的な運動:あいうべ体操

あいうべ体操とは、舌と口周辺の筋肉のトレーニング方法で、口呼吸の改善やいびきの症状の改善に役立ちます。

  • ・「あー」と言いながら口を大きく開ける
  • ・「いー」と言いながら口を大きく横に広げる
  • ・「うー」と言いながら口を前方に強く突き出す
  • ・「べー」と言いながら舌を突き出し下に伸ばす

それぞれ1秒ずつ行うのを1セットとし、1日30セット行いましょう。
1回に30セットでも、10セットずつ3回に分けて行っても良いです。

睡眠時無呼吸症候群を治療しないとどうなるの?


睡眠時無呼吸症候群の放置は禁物です。
その理由は、放置することによって、さまざまなリスクが発生するからです。

睡眠時無呼吸症候群を放置した場合に起こるリスクは、主に4つあります。

  • ・高血圧
  • ・高血圧以外の合併症
  • ・眠気による交通事故
  • ・子どもの発症では成長に大きな影響

以下に1つずつ説明します。

高血圧

睡眠時無呼吸症候群は血圧を上昇させます。
その理由は、無呼吸状態時、睡眠は一時的に中断され、本来優位であるはずの副交感神経に代わって交感神経が働き、血管が収縮し、血圧が高くなるからです。

「無呼吸」と「呼吸再開」を繰り返すので急激な血圧変動が続き、心臓や血管に大きな負担が掛かります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群を有する人では、高血圧の発症リスクが健常人の1.4倍~2.9倍に増加します。

高血圧以外の合併症

不整脈、心不全、糖尿病などの生活習慣病の原因になります。

さらに心不全を発症すると、中枢性睡眠時無呼吸症候群を発症し、混在型睡眠時無呼吸症候群になるおそれもあり、注意が必要です。

眠気による交通事故

睡眠時無呼吸症候群を持つ運転者は、健常人と比べて交通事故のリスクが数倍になると報告されています。

睡眠時無呼吸症候群で起こるのは、日中の眠気のための判断力・集中力や作業効率の低下です。
仕事や勉強などの作業が進まないだけならともかく、交通事故は自分だけでなく周囲へも影響を及ぼします。

子どもの発症では成長に大きな影響

子どもの睡眠時無呼吸症候群では、成長に影響が出る場合があります。

その理由は、就寝中に成長ホルモンが分泌しますが、無呼吸状態では眠りが浅くなり、成長ホルモンの分泌が妨げられるからです。
成長障害、代謝調節や免疫機能にも影響するほか、昼間の眠気で学業に支障が出ることもあります。

睡眠時無呼吸症候群を予防・改善するために日頃の生活を見直そう!


この記事では、睡眠時無呼吸症候群の食事を主にセルフケアについて解説しました。
睡眠時無呼吸症候群は食生活や生活習慣を見直し、工夫することで予防・改善することができます。

睡眠時無呼吸症候群は放置することのできない疾患です。
是非、この機会に日頃の生活を見直してセルフケアを行い、睡眠時無呼吸症候群を遠ざけましょう。

よくある質問

Q.睡眠時無呼吸症候群を治す食べ物はありますか?

A.睡眠時無呼吸症候群に直接効果のある食べ物はありません。しかし、睡眠の質を上げる食べ物を摂ると、熟睡感や良い目覚め感が得られます。ぐっすり眠れていると代謝も上がり、食欲のコントロールも行いやすくなります。積極的に睡眠の質を上げる食べ物を摂りましょう。

Q.無呼吸症候群を治すにはどうしたらいいですか?

A.原因により治療法が異なります。肥満である場合はまず減量します。現在、最もよく行われている治療法はCPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)という睡眠中に呼吸装置を使う方法です。その他に就寝時にマウスピースを装着するなどの方法があります。中枢性(CSA)では原因の脳梗塞や脳出血、心不全などに対して薬物療法などを行います。