睡眠時無呼吸症候群

【実は重症?】睡眠時無呼吸症候群が与える脳への影響について解説

2022.11.01
睡眠時無呼吸症候群は、大きないびきとともに、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気のことを意味します。 この睡眠時無呼吸症候群は睡眠不足などの弊害があるのと同時に、さまざまな合併症を引き起こしたり生活習慣病を悪化させたりするリスクもあるため、決して放置してはいけない病気と言えます。 さらに合併症のひとつとして留意するべきなのが、脳への影響です。 「呼吸」と「脳」というと一見しただけでは関係ないと思われるかもしれませんが、時として深刻な影響を与えかねないのです。 では、この睡眠時無呼吸症候群の脳に対する影響とは、一体どのようなものなのでしょうか。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とはどんな疾患なのか


睡眠時無呼吸症候群は、脳へ影響する合併症を引き起こすリスクを高める症状のため、決して楽観視せずにしっかり治療に取り組むべき疾患です。
では、この睡眠時無呼吸症候群とは、どのような疾患なのでしょうか。

睡眠時無呼吸症候群は、二つに分けることができます。
ひとつは閉塞性睡眠時無呼吸症候群。
そしてもうひとつが、中枢型睡眠時無呼吸症候群です。

それぞれ原因となる因子が異なり、症状も違ってきます。
まずはこの二つの種類の違いを知り、原因や症状を理解しておきましょう。

閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSA)とは?

閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、上気道という空気の通り道に十分な空間がなくなることが原因で睡眠時に呼吸が止まってしまう症状です。。

上気道の空間が狭くなるのは、肥満によって首や喉のまわりに脂肪がついてしまったり、扁桃腺の肥大、舌の付け根や喉仏などによって喉や上気道が狭くなってしまったりすることが原因となります。

中枢型睡眠時無呼吸症候群(CSA)とは?

もう一方の中枢性睡眠時無呼吸(CSA)は、閉塞性とは異なる原因によって起こる症状です。

中枢性睡眠時無呼吸(CSA)は、閉塞性とは異なり、呼吸するための指令が出ないことが原因で呼吸が止まってしまう症状です。
中枢性睡眠時無呼吸症候群は中枢、つまり脳から呼吸するための指令が出ずに呼吸できなくなってしまうのです。

気道は確保されたままなので、呼吸が止まったり弱くなったりする以外に症状が出にくいのも特徴です。

睡眠時無呼吸症候群が引き起こす脳への影響やリスク


でははじめに、睡眠時無呼吸症候群が、脳に対してどのような影響を与えるのかについて見ていきましょう。

脳梗塞(脳卒中)のリスク

睡眠時無呼吸症候群の脳へのリスクとしてまず知っておきたいのが、脳梗塞や脳卒中のリスクです。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群と脳梗塞の関係性を調査したデータによると、脳血管障害の発症や死亡率が高くなるという結果になっています。
さらに海外の研究によるとAHI≧5の睡眠時無呼吸、つまり1時間あたりに5回以上無呼吸や低呼吸になる睡眠時無呼吸症候群の人の脳卒中リスクは、そうでない人と比較して2.89倍高まるという報告もあります。

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に低酸素血症になり、自律神経のバランスが狂ってしまうことによって、高血圧や動脈硬化になりやすく、その結果脳の血管障害を引き起こしてしまいます。

認知症やアルツハイマー病のリスク

睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされる脳への影響は、認知症やアルツハイマーといった形で現れる場合もあります。

認知症の具体的な症例としては、注意力の低下や、遂行機能、記憶力の低下などがあげられます。
特に、先ほど紹介したAHIが、30以上の睡眠時無呼吸症候群の患者で、なおかつ、高齢者になるとますます認知やアルツハイマー病の傾向は強くなるという報告もあります。

基本的に認知症と睡眠時無呼吸症候群の症状は、加齢と共に増加していき、健常者と比較すると2.2倍〜16.5倍の発症率と言われているので、やはり認知症は睡眠時無呼吸症候群によって発症しやすくなる脳の問題と言えます。

アルツハイマー病も同様に睡眠時無呼吸症候群との関連があると言われています。

アルツハイマー病は、脳の神経細胞が徐々に減ることで進行する病気で、脳内物質の異変から脳が萎縮してしまうことによって引き起こされます。

脳に影響すると後遺症のリスク

重度の睡眠時無呼吸症候群の患者は脳卒中や脳梗塞の発症リスクが高まり、脳の血管が詰まってしまうと、言語障害や麻痺といった後遺症にも悩まされる可能性も高くなることも知っておいた方が良いでしょう

睡眠時無呼吸症候群の症状


喉の中の上気道が塞がれたり、呼吸をする指令が出ないことで呼吸が止まってしまったりするのが睡眠時無呼吸症候群なのですが、その症状は具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

睡眠時無呼吸症候群の症状即座に明らかに何らかの問題があるといった分かりやすいものではありません。
そのため、つい見落としてしまいがちになってしまうのですが、本人が自覚しやすいのは起きてからの症状かもしれません。

睡眠時無呼吸症候群になると眠りが極めて浅くなってしまい、いくら寝ても疲れがとれなかったり、熟睡感がなかったり、あるいは無理に呼吸しようとした結果口が渇いていたり、頭痛がしたりといった症状が現れます。

このような体の不調を感じていたとしたら、睡眠時無呼吸症候群を疑って、次に説明する睡眠時の症状をチェックしてみてください。

いびきがひどい

いびきというのは喉が振動することで発せられるのですが、喉の筋肉が呼吸の際に狭まり息が吸えない状態になってしまい、それがいびきになるのです。
気道の壁が吸い寄せられて閉じてしまうことでいびきが出るため、その状態のままでは呼吸ができなくなってしまいます。

つまりいびきをよくかく場合は、無呼吸になっている可能性が高いため、いびきが睡眠時無呼吸症候群の症状のひとつであると言えるのです。

呼吸が止まる

睡眠時無呼吸症候群という名前からも分かるとおり、症状としては寝ている時に無呼吸になるというものがあります。
しかし、無呼吸になっている時に本人は眠っているため、なかなか自覚できないのがこの無呼吸という症状です。

では、この無呼吸がどの程度のレベルになると、睡眠時無呼吸症候群ということになるのでしょうか。

医学的な定義では「10秒以上呼吸が止まる」という状態が「無呼吸」となり、「呼吸が弱くなる」という状態が「低呼吸」ということになります。
この無呼吸と低呼吸が1時間あたり5回以上繰り返された場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

検査や問診をしなければはっきりしにくい

睡眠時無呼吸症候群は。いびきや無呼吸といった症状があるものの、実際に本人が自覚するのは睡眠の浅さや喉の渇きなど、すぐに睡眠時無呼吸症候群と分かるものではありません。

しかし、睡眠時無呼吸症候群は放置しておくとさらに重症になる可能性もあり、深刻な合併症を引き起こすリスクが高まります。

そのため、もしここまで紹介してきたような睡眠の問題や喉の渇きなどの自覚症状と共に、家族に大きないびきを指摘されたり呼吸が止まってしまったりしていると言われた場合は、すみやかに病院で検査してもらうべきと言えるでしょう。

病院の検査では問診や睡眠尺度の評価などを行います。
さらにパルスオキシメーターを使って血中酸素濃度を測ったり、睡眠時の簡易無呼吸検査を実施することになります。

睡眠時無呼吸症候群によってかかりやすくなる合併症は?


睡眠時無呼吸症候群は、脳に関する大きなトラブルの原因となる可能性が高いということですが、脳への影響以外にもさまざまな問題を引き起こします。
呼吸に関する問題だけでなく、いわゆる生活習慣病の原因になる可能性もあり、いち早く発見して治療するべき症状です。

では、睡眠時無呼吸症候群はどのような合併症を引き起こすリスクがあるのでしょうか。

高血圧

米国の「ウィスコンシン睡眠コホート研究所」の調査によると、睡眠時無呼吸症候群と高血圧の関連性には明らかであることが示されています。
高血圧の定義を血圧140/90mmHg以上か降圧薬を服用しているものとした場合、睡眠時無呼吸症候群による高血圧の発症リスクは健常者の1.4〜2.9倍であるという報告が出されています。

さらに睡眠時無呼吸症候群による高血圧の発症は、薬では抑えられない「薬剤耐性高血圧症」である場合が多く、治療がしにくいという特徴も持っています。

これは睡眠時無呼吸症候群の場合、寝ている時の交感神経のバランスが狂い、血圧が上昇してしまう事が原因と言われています。

心疾患

睡眠時無呼吸症候群は、不整脈の発生に大きく影響が現れます。
不整脈というのはそもそも電気刺激によって筋肉を動かし、ポンプのように血液を送っている心臓の神経伝達経路が正常に動作しないことによって起こります。
現在のところ睡眠時無呼吸症候群と不整脈の因果関係は明確になっていませんが、不整脈を引き起こす心房細動の発症頻度と睡眠時無呼吸症候群の関連性が、具体的なデータで報告されています。

そのデータによると心房細動の発症頻度は睡眠時無呼吸症候群が合併している場合、約2倍〜4倍の数値になっているということです。

糖尿病などの生活習慣病などのリスクも

糖尿病に関しても睡眠時無呼吸症候群との因果関係を示す報告がされています。
ある調査によれば睡眠時無呼吸症候群の場合、糖尿病になるリスクが1.62倍になり、重症度が高くなるに従って、さらに糖尿病のリスクも高くなるという調査結果もあります。
これは睡眠の質の低下が原因となり、一例としてストレスホルモンの過剰分泌によって脂肪が増加しやすくなり、インスリンが正常に働きにくくなるため糖尿病になってしまうのです。

もちろん、糖尿病の直接的な原因が睡眠時無呼吸症候群というわけではありません。

しかし逆に糖尿病になる原因のひとつとして暴飲暴食といった生活習慣の乱れが挙げられ、この生活習慣の乱れが睡眠時無呼吸症候群の原因にもつながり、相互的にマイナスの要因になるためより注意が必要ということになります。

睡眠時無呼吸症候群はどのように診療・治療するのか


このように睡眠時無呼吸症候群は脳への悪影響のほかに、さまざまな合併症を引き起こしてしまうリスクを持っています。
そのためいち早く検査を受け、もし睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるようなら治療を始めるべきです。

ではこの睡眠時無呼吸症候群は、どのように治療すれば良いのでしょうか。

クリニックで治療をするのが基本

寝ている時に症状が出る病気なら、もしかしたら自分で治すことができるのではないかと思われるかもしれませんが、睡眠時無呼吸症候群はしっかりとクリニックに行って医師の治療を受けるべき病気です。

CPAPとはどのような治療方法か

睡眠時無呼吸症候群の治療法として特徴的なのが、CPAP(シーパップ)と呼ばれる治療法です。
CPAPは専用の機械によって、圧力をかけた空気を鼻から気道へと送り込むで、気道を広げ無呼吸を防止するという治療法となります。

CPAPは、自宅に設置可能な10〜20cmほどの本体とチューブ、鼻マスクによって構成されて、無呼吸の時だけ空気を送り込む設定と、常時一定の圧力を保つ二つの設定ができ、病状によって使い分けます。

CPAPによって睡眠時も呼吸できるようになることから、脳の酸素不足や睡眠不足、そのほかの合併症のリスクが低減され、睡眠時無呼吸症候群によるさまざまな弊害を解消することが可能となります。

まとめ


睡眠時無呼吸症候群は、放っておくと脳にまで悪影響を及ぼす病気です。
脳梗塞のリスクが高まり、認知症になる可能性もあるため、見過ごすことができないものといっても良いでしょう。
睡眠時無呼吸症候群は、自覚症状が少ないため発見が遅れがちになりますので、もし寝不足やいびきなどの症状に気がついたり家族に指摘されたりした場合は、いち早く医師に相談しましょう。

よくある質問

Q.睡眠時無呼吸症候群になると脳卒中になりやすいというのは本当ですか?

A.睡眠時無呼吸症候群の合併症として脳卒中や脳梗塞になるリスクは3.3倍程度になると言われています。

Q.睡眠時無呼吸症候群のそのほかの合併症にはどんなものがありますか?

A.抵抗性高血圧、心不全、不整脈、高血圧、冠動脈疾患、糖尿病などの合併症が起こるリスクがあります。