いびき

【痩せたら治る?】やせ型の人のいびきとの関係性について

2022.11.01
いびきの原因はさまざまありますが、主たる原因は肥満です。いびきをかいている本人は意識していなくても、周りの家族に迷惑をかけたり、睡眠の質が低下したりと悪影響があります。また、他の病気を誘発する要因になるというリスクもあり、早期の治療が望ましいです。肥満を解消するだけでも、睡眠時無呼吸症候群やいびきの改善が期待できます。さらに、さまざまな生活習慣病の予防にもつながり健康的な生活を送れるようになるでしょう。この記事では、主に肥満が原因でいびきに悩んでいる方が改善するための方法について、治療方法やダイエットのポイントを解説しています。

いびきは痩せたら治るのか?

いびきは痩せることで改善できます。特に肥満度の高い方はダイエットをすることで、いびきだけでなく睡眠時無呼吸症候群の改善にも効果があります。これは、ダイエットによる体重減少に伴い首回りの脂肪が減少し、上気道が拡がるためです。継続的に体重を減少させるためのダイエットとして、食事制限と運動をセットで行う必要があります。

痩せていてもいびきをかくこともある

いびきをかくのは、肥満の方だけではありません。痩せていてもいびきをかくことはあります。口蓋垂(こうがいすい)が大きい方や軟口蓋(なんこうがい)が狭い方は、喉の気道が狭く呼吸音が共鳴していびきをかきやすいです。また、アレルギー性鼻炎や花粉症などが原因で、鼻の息の通りが悪い方は、口呼吸になりいびきをかきやすい傾向にあります。いびきの原因は人それぞれなので、適切な治療をするために、いびきの診療を行っているクリニックの受診が重要です。

いびきをかく原因は?

いびきをかく主な原因として、以下の3つが挙げられます。

  • 1. 肥満であること
  • 2. 顎が小さいこと
  • 3. 飲酒や喫煙をしていること

いびきの原因が何であるかによって対処法が変わってくるので、自分がどれに該当するか確認することが大切です。それぞれについて詳しくみていきましょう。

肥満であること

肥満度が高いほど、いびきをかきやすいです。肥満度はBMIによって決まります。BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割って求められ、BMIが25以上だと肥満であると判定されます。さらに、BMI25以上は肥満1度〜肥満4度までの4つの区分に分類されます(表1)。肥満度が高いほど、いびきや睡眠時無呼吸症候群の症状が出やすいです。これは、肥満になると咽頭の周辺に脂肪が沈着しやすくなったり、舌の肥大によって舌根部が喉の奥を塞いだりするためです。また、肥満になると糖尿病や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病になるリスクが高くなります。こういったリスク低減のために、標準体重を目指す必要があります。

表1:BMIと肥満度の関係

BMI 18.5未満 低体重
BMI 18.5以上25未満 標準体重
BMI 25以上30未満 肥満1度
BMI 30以上35未満 肥満2度
BMI 35以上40未満 肥満3度
BMI 40以上 肥満4度

顎が小さいこと

体型に関係なく、下顎が小さい方もいびきをかきやすい傾向にあります。これは、下顎が小さいことによって舌が落ち込みやすく、上気道が狭くなってしまうためです。日本人は欧米人に比べて下顎が小さいため、肥満でなくてもいびきをかいたり、睡眠時無呼吸症候群になったりしやすい民族なのです。

飲酒や喫煙をしていること

飲酒や喫煙をしている方も、いびきをかきやすいです。飲酒は少量であれば、気持ちをリラックスさせるなどの効果があります。これはアルコールの筋弛緩効果によるものですが、飲み過ぎは禁物です。筋弛緩によって舌根が沈み込んで上気道が閉塞しやすくなり、いびきをかく原因となるのです。寝つきをよくするために寝酒をする方がいますが、このことがいびきや睡眠時無呼吸症候群を引き起こし、かえって睡眠の質を下げてしまいます。寝酒をすると最初は深い睡眠が得られますが、睡眠の後半になると眠りが浅くなります。そして、夜中に覚醒し良質な眠りが阻害されるのです。

また、喫煙もいびきをかく原因になります。喫煙をすることで鼻や喉の粘膜が炎症を引き起こし、口蓋扁桃や咽頭扁桃が腫れて上気道が閉塞しやすい状態になります。そのため、非喫煙者に比べていびきをかいたり、睡眠時無呼吸症候群になったりするリスクが高まるのです。このように、飲酒や喫煙はいびきと密接な関係があります。いびき対策だけでなく、お酒を少量に留めたり、禁煙をしたりといった取り組みも必要です。

いびきと睡眠時無呼吸症候群との関連は?

いびきと睡眠時無呼吸症候群には密接な関係があります。睡眠中に舌が沈下することで上気道が閉塞し、大きないびきをかき呼吸が停止するのが、閉塞性睡眠時無呼吸症候群です。呼吸が停止すると血中の酸素濃度が低下し、目を覚まして再び呼吸を始めます。しかし、眠りにつくと再び呼吸が停止し目を覚ますというサイクルを一晩中繰り返すため、熟睡ができません。1時間に10秒以上の呼吸停止が起き、それが20回以上出現すると中等症・重症の睡眠時無呼吸症候群と診断されます。このように、いびきと睡眠時無呼吸症候群は同時に起こることが多いのです。

いびきをかくことで起こる弊害は?

いびきをかくことで、以下のようなさまざまな弊害が起こります。

  • 1. 日中も眠くなりやすい
  • 2. さまざまな病気になりやすい
  • 3. 家族や友人との関係が悪化しやすい

健康上の問題だけでなく、人間関係の悪化にもつながる恐れがあるため、自分だけの問題ではないという認識を持ちましょう。それぞれについて、1つずつ詳しくみていきます。

日中も眠くなりやすい

いびきや睡眠時無呼吸症候群によって睡眠中に何度も目を覚ますことで、良質な睡眠を得られません。そのことは日中の活動にも悪影響を及ぼし、仕事中に眠気に襲われ集中できなかったり、車の運転中に注意散漫になり事故を起こすなどのリスクが高まったりします。

さまざまな病気になりやすい

いびきや睡眠時無呼吸症候群は高血圧、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こす要因にもなります。また、睡眠不足からくるストレスで血糖値やコレステロール値が上昇し、健康診断でも生活習慣病やメタボリック・シンドロームと診断されやすくなります。いびきや睡眠時無呼吸症候群を放置すると死亡率も高くなるため、早期に治療することが大切です。

家族や友人との関係が悪化しやすい

いびきをかくことで、家族や友人との関係が悪化する原因にもなります。いびきをかいている本人はなかなか気づきにくいものです。しかし、同じ部屋に他の人が寝ている場合には、その人の睡眠を妨げてしまう恐れがあります。日常生活や旅先では、家族や友人と同じ部屋で寝ることが多いため、いびきの治療をせずに放置すると人間関係が悪化する可能性もあるのです。

いびきを治療するためにはどうすればいい?

いびきを治療する方法は、いびきの程度にもよりますが、大きく3つケースに分けられます。

  • 1. いびきが軽度の場合
  • 2. 肥満が原因の場合
  • 3. 小児の咽頭扁桃の腫れによる場合

それぞれの状況に応じた適切な対処をすることで、早期に改善できる可能性が高まります。

いびきが軽度の場合

いびきが軽度の場合には、横向きで寝たりマウスピースを使用したりといった対策をすることでいびきの改善が期待できます。横向きで寝ると、仰向けで寝るときよりもいびきをかきにくいです。これは、仰向けで寝ているときは重力の影響で舌根が沈下し、上気道が閉塞しやすくなるのに対して、横向きで寝ているときは舌根の沈下の影響を受けにくいためです。一方、マウスピースは下顎を引き出すために固定し、いびきや睡眠時無呼吸症候群の改善を目的としているもので、医療用のものは歯科で作製します。マウスピースを使うことで、舌根が沈み込むのを防いでくれるので、軽度のいびきでお悩みの方におすすめです。マウスピースを使ってみたい方は、掛かりつけの歯科に問い合わせてみましょう。

また、口蓋垂が太く長い方の場合は他の治療方法として、レーザー手術が適している場合もあります。レーザー手術では、縫合が不要なので出血や痛みが軽減されるのが大きなメリットです。治療を受けるためには予約が必要な場合が多いので、あらかじめクリニックのホームページ等で確認しましょう。

肥満が原因の場合

いびきの原因が肥満である場合には、横向きで寝たりマウスピースを使用したりする方法による改善は難しいです。食事制限や運動によって、体質を根本的に変えていく必要があります。いびきが重度の場合にはCPAP(シーパップ)療法が有効です。CPAP療法では、睡眠時の無呼吸状態を防ぐために、鼻にエアチューブのついた専用マスクを装着し、装置から気道に空気を送り込み常に気道が開いた状態にします。CPAP療法は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群に有効な治療方法として最も普及している治療方法です。極度の肥満症で食事制限や運動をしても減量できない場合には、減量手術を行うこともあります。

減量手術は、外科的に胃を小さくするための手術で、肥満症による健康障害の防止・軽減を図り、いびきの解消を目指します。

小児の咽頭扁桃の腫れによる場合

小児にみられるような、扁桃やアデノイドの肥大が原因で睡眠時無呼吸症候群を引き起こすことがあります。睡眠が十分に取れないことで小児の身体の成長を妨げたり、日中の学習意欲が低下したりします。治療方法としては、肥大している部分を切り取る手術が主です。子供がいびきをかいたり、食べるのが遅かったりすることがあれば、早めに耳鼻咽喉科の診療を受けましょう。

効果的なダイエットのポイントは?

いびきや睡眠時無呼吸症候群を改善するためのダイエットを効果的に行うポイントは、以下の4つです。

  • 1. 食事では野菜を最初に食べる
  • 2. 糖質を制限する
  • 3. 早食いやドカ食いをしない
  • 4. 夜8時以降は食事をしない

これらのポイントを普段の生活に取り入れるだけで、体型の変化を早く感じられるでしょう。

食事では野菜を最初に食べる

食事では野菜を最初に食べるようにしましょう。野菜には食物繊維が豊富に含まれており、消化酵素で消化されずに大腸まで達するため、消化吸収に時間がかかります。野菜を先に食べることで消化吸収がゆるやかになり、急な血糖値の上昇を抑えられ、太りにくくなるのです。

糖質を制限する

ダイエットをする上で、糖質を制限することも大切です。糖質は摂り過ぎることで、消費されない分は脂肪として蓄積します。糖質制限をすることで、血糖値の上昇やインスリンの働きが抑えられるので、身体に脂肪がつきにくくなります。

早食いやドカ食いをしない

早食いやドカ食いをしないことも重要です。早食いをすると血糖値が上昇しやすくなり、身体に脂肪がつきやすくなります。また、脳の満腹中枢は満腹を感じるまでには時間がかかります。そのため、早食いをすることで満腹感をすぐには得られず、次から次に食べてしまう「ドカ食い」につながりやすいのです。これらの早食いやドカ食いを防ぐためには、ゆっくり噛んで食べることが大切です。目安としては一口で最低30回は噛むようにしましょう。噛む回数が増えると、消費カロリーも増えます。

夜8時以降は食事をしない

夜8時以降は食事をしないようにしましょう。これは、BMAL1(ビーマルワン)というタンパク質と関係があります。BMAL1は、余分なエネルギーを脂肪として蓄積する働きがあり、夜8時〜深夜の2時頃にこの働きが活発になります。逆に昼の3時頃に最も働きが低下するので、どうしてもお菓子などの間食が食べたくなったら、この時間帯に食べるようにしましょう。

まとめ

いびきや睡眠時無呼吸症候群は、肥満の方に多くみられますが、痩せていてもいびきや睡眠時無呼吸症候群で悩んでいる方がいます。体質や生活習慣、アレルギー性鼻炎や花粉症などの要因が背景にありますが、マウスピースによる症状緩和やレーザー治療、CPAP療法などさまざまな方法でいびきの治療が可能です。いびきや睡眠時無呼吸症候群を放置すると、健康に害があるだけでなく周りの人間関係にも悪影響を及ぼします。家族や友人といつまでも健康で楽しく過ごせるように、少しでも早く専門のクリニックで診療を受け治療を始めましょう。クリニックによっては予約が必要なところもあるので注意が必要です。

肥満体型の方は食事制限や運動なども必要になりますが、一人で抱え込まずに専門家に相談することで、スムーズにいびき、睡眠時無呼吸症候群の治療を進められるでしょう。

よくある質問

Q.どれくらい痩せればいびきが改善しますか?

A.いびき改善のためには、少なくとも体重の10〜15%は減量が必要とされています。体重が90kgの方であれば、9〜13.5kgの減量になります。それが難しいようなら、まずは5%の減量を目標にしましょう。栄養バランスのよい食事を1日3食しっかり噛んで食べることと、毎日のウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を30分以上継続することも大切です

Q.いびきは放置せずに治療したほうがいいですか?

A.はい。いびきを治療せずに放置すると、睡眠の質が低下することによる日中の眠気によって集中力が途切れたり、事故に遭ったりするリスクが高まります。また、さまざまな生活習慣病の引き金にもなり死亡率が高くなりますので、早めにクリニックで診療を受け治療を始めてください。

参考文献