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睡眠障害の治し方と症状・原因

【思春期の不眠症】中学生・高校生の睡眠障害、セルフチェックと改善策

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睡眠Dr. 編集部

睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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不眠症に悩む高校生がチェックすべき症状

睡眠時の問題点、イラスト(眠れずに時間が過ぎる、夜間の尿意)
「ぐっすり寝たいのに夜なかなか寝付けない!」「寝不足が続いていて学校の授業中に異様な眠気を感じる」
何かとストレスの多い現代社会では、このような症状にお悩みの高校生も少なくないのではないでしょうか?

入眠障害(寝つきが悪い)、中途覚醒(眠りが浅くて途中で何度も目が覚める)、早朝覚醒(早朝に目覚めて二度寝ができない)などの睡眠問題を総じて不眠症と言います。
特に中学生や高校生は、深夜までのテスト勉強、友人関係でのトラブル、朝早くからの部活動、夜遅くの通塾、深夜のスマホいじりなど、その時期特有の様々な要因で不眠症を引き起こします。

不眠症の原因によっては、早期に医療機関への受診が望ましい疾患もあるため、少しでもこういった悩みをお持ちの方は、ご自身が不眠症なのかどうか、なるべく早くセルフチェックすることをおススメします。具体的には学校での居眠り寝起きの機嫌疲労感の有無睡眠中のいびきなどをチェックすべきです。
早期発見して、適切な対処を取ることで心地よい睡眠を手に入れましょう!

そもそも睡眠時間は何時間?

不眠症に悩む方は、まず日々の睡眠時間をチェックすべきです。必要な睡眠時間を確保できていないという自覚がないため、寝不足の原因が分からず、熟睡感を得られないことに悩んでいる方も多いようです。
また、学校の宿題や通塾、受験勉強など多忙で、自覚があっても睡眠時間を確保できないというケースも少なくありません。

理想的な睡眠時間には個人差があるため一概には言えませんが、睡眠時間を調べた数々の論文をまとめたデータによると、夜間の平均睡眠時間は10歳までは8~9時間、15歳で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間。つまり、中学生や高校生であれば7〜8時間程度の睡眠が目安になります。
起床時間は通学の時間で決まってしまうため、逆算して7〜8時間の睡眠を取れるような時間には就寝するようにしましょう。また、日々の睡眠時間を睡眠日誌に記録することで客観的に睡眠時間を把握しやすくなるため、オススメです。

学校での居眠り

学校での居眠りが多い方は、不眠症のリスクがあるため注意が必要です。
日中に太陽光を浴びることでセロトニンが分泌され、夜間になるとセロトニンを原料に睡眠を誘うホルモンであるメラトニンが産生されます。そのため、ホルモンの働きが正しければ日中に強い眠気を感じにくいはずです。それにも関わらず、慢性的に学校での居眠りが続くようであれば、なんらかの原因で不眠症に陥っている可能性があります。
具体的には、睡眠時無呼吸症候群・ナルコレプシー・過眠症といった病気や、長すぎる睡眠時間などが考えられます。特に、試験中や会話中など緊張感のある状況でも眠ってしまう場合は、危険性が高いです。

朝機嫌が悪い

朝機嫌が悪く、なかなか起きられない方は、不眠症のリスクがあるため注意が必要です。
起床時の機嫌が悪い場合、睡眠の量や質が低下していて、身体や脳に十分な休息を与えられていない可能性があるからです。十分な睡眠時間を確保したにも関わらず症状がある場合は要注意です。
朝の機嫌は自分で評価しにくいため、家族に評価してもらうようにしましょう!

疲れが取れない

なかなか疲れが取れず慢性的に倦怠感がある場合は、不眠症のリスクがあるため注意が必要です。日中に激しい運動を行うなど、疲労感の原因になるような行動がない場合は、特に要注意です。
睡眠中は、身体を休めるレム睡眠と脳を休めるノンレム睡眠を交互に繰り返すため、良質な睡眠が得られれば身体も脳も疲労を感じにくくなります。しかし、睡眠の量や質が低下している場合、身体や脳の疲労が回復できず、慢性的な疲労感の原因になります。

睡眠中のいびきが大きい

睡眠中にいびきをかく方は、不眠症のリスクがあるため注意が必要です。
寝ているときは舌根が後方の気道に落ち込むため気道が狭くなり、狭い気道を空気が通り抜けます。この際に生じる振動音が、「いびき」として聞こえます。いびきをかくと睡眠中に取り込める酸素の量が減少し、睡眠の質が低下するため、いびきの大きい方は不眠症になりやすいと言われています。
また、中途覚醒が増加し、睡眠不足に陥るため日中に強い眠気を自覚することがあります。
いびきは、朝の機嫌同様に自覚しにくい症状ですので、家族にチェックしてもらうようにしましょう!

睡眠中に異常行動を認める

睡眠中に異常行動を認める場合、不眠症のリスクがあるため注意が必要です。
睡眠の質が低下してしまい、中途覚醒が増加してしまうからです。具体的には、歯ぎしり、体動、奇声、徘徊行動などが挙げられます。

これらの異常行動は自覚しにくいため、家族に評価してもらいましょう!




中学生や高校生が不眠症になる原因

眠れずに朝を迎える女性のイラスト
不眠症の子供を持つ親御さんにとって、夜のスマホいじりや夜更かしが原因だと考えてしまう方も少なくないのではないでしょうか?
確かに、生活習慣の乱れによって不規則な睡眠が生じ、不眠症になっている子供は少なくありません。しかし、不眠症の原因はそれ以外にも様々であり、中には早期に医療機関を受診し治療すべき疾患もあるため、なるべく早期に原因を突き止める必要があります。

特に、睡眠相後退症候群、ナルコレプシー、むずむず脚症候群、睡眠時無呼吸症候群などの病気には要注意です。
不眠症の原因をしっかりと理解し、早期から適切な対策を取れるようにしましょう!

単純な寝不足

不眠症になる原因として、単純な寝不足が挙げられます。
前述したように、理想的な睡眠時間には個人差があるため、睡眠時間の明確な基準は専門家の間でも定められていません。とはいえ、平均よりも明らかに睡眠時間が短い場合は、睡眠のリズムが崩れてしまい不眠症になる可能性があります。

特に中学生や高校生では、深夜までのテレビ鑑賞やスマホいじり、徹夜での勉強などによって睡眠のリズムが崩れやすいため、注意が必要です。

平均して1日7〜8時間程度の睡眠を取れるように生活習慣を整えましょう。

睡眠相後退症候群

高校生が不眠症になる原因として、「睡眠相後退症候群」が挙げられます。睡眠相後退症候群とは、その名の通り睡眠相、つまり睡眠の時間帯が遅い時間帯に後退する病気です。

夜間に光を浴びてしまうと、睡眠ホルモンであるメラトニンの合成が阻害され、眠気を感じにくくなり、睡眠相が後退します。特にスマホいじりやテレビ鑑賞がリスクになります。朝の覚醒困難が特に強く、強制的に覚醒させようとすると暴力的な異常行動を引き起こすこともあり、遅刻や欠席、社会不適合などの原因になります。
一度発症するとなかなか改善が難しいため、規則正しい生活習慣を身に付けるようにしましょう!

耳鼻科疾患

不眠症になる原因として、耳鼻科疾患が挙げられます。耳鼻科疾患に罹患して気道が狭くなると、睡眠中に取り込める酸素の量が減少し、睡眠の質が低下して中途覚醒などが増加するからです。具体的に、扁桃肥大、アデノイド肥大、鼻詰まりなどが挙げられます。

口腔内には口蓋扁桃や咽頭扁桃(アデノイド)と呼ばれるリンパ組織が存在し、口から体内に侵入する病原菌を排除する役割を担っています。この扁桃に慢性的な炎症や生理的な肥大が生じると、気道が狭くなり不眠症に繋がります。
また、鼻詰まりによって睡眠中に口呼吸を行うと、下顎が後方に落ち込んでしまい気道が狭くなるため、不眠症の原因になります。
これらの疾患は手術しないと解消されない可能性もあるため、気になる方は専門の医療機関への受診をオススメします。

ナルコレプシー

不眠症になる原因として、ナルコレプシーなどの過眠症が挙げられます。
ナルコレプシーとは、脳内の覚醒物質「オレキシン」の合成が障害され、十分な睡眠を取っているにも関わらず、日中に耐え難い眠気が慢性的に生じる病気です。具体的に、下記のような症状が挙げられます。

  • ・授業中や会話中など緊張感のある場でも急に無自覚に眠り込んでしまう(睡眠発作)
  • ・笑いや驚きなどの強い感情の動きがきっかけで、筋肉が急に脱力してしゃがみこんでしまう(情動脱力発作)
  • ・入眠時の金縛り(睡眠麻痺)

中でも睡眠発作は転倒や転落、交通事故などの原因になるため、早期に専門の医療機関を受診することをオススメします。

発達障害

不眠症になる原因として、発達障害が挙げられます。発達障害は、様々な脳の機能不全によって行動や情緒に問題が生じる特性です。睡眠と覚醒を調節する中枢神経系も障害されるため、不眠症の原因となります。

具体的に、自閉症スペクトラム障害や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害は、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒などの不眠症状が出現しやすいと言われています。
これらの発達障害は睡眠障害のみならず、その後の対人関係や社会適応にも問題が生じるため、早期に専門の医療機関に受診することをオススメします。

むずむず脚症候群

不眠症になる原因として、むずむず脚症候群が挙げられます。脳内の神経伝達物質であるドパミンの減少が原因と考えられているむずむず脚症候群は、入眠前に下肢の違和感が出現することで、入眠困難や中途覚醒などの原因になります。
具体的には、下記のような症状が挙げられます。

  • ・脚がむずむずする
  • ・足をじっとしていられない
  • ・ふくらはぎにソワソワ感がある

不眠の原因になるため、早期に専門の医療機関に受診することをオススメします。




中学生や高校生の不眠症の治し方

布団で眠る女性、イラスト
「夜眠れないせいで授業に集中できない!」「朝起きられないため遅刻してしまう」
このような問題を引き起こす不眠症は、通学や通塾、受験勉強などを行う必要がある中学生や高校生にとって大きな弊害になります。そのため、早期から適切な対処法を実践していく必要があります。具体的な不眠症の治し方は、睡眠時間の確保、就寝環境の確保、適切な食生活などが挙げられます。
ここでは、それぞれの治し方について詳しく解説します。

適切な睡眠時間の確保

不眠症の治し方として、適切な睡眠時間の確保が挙げられます。本人が無自覚なだけで、不眠症の原因が睡眠時間の不足である事は少なくありません。
人によって理想的な睡眠時間は異なるため、ご自身で心身共に好調だと思える睡眠時間を把握しておきましょう。そのためには、日々の睡眠時間を記録する睡眠日誌を付けることもおススメです。

適切な就寝環境の確保

不眠症の治し方として、適切な就寝環境の確保が挙げられます。寝ている環境が身体にとって負担になっていて、質の高い睡眠を得られていない可能性があるからです。
具体的には、下記のような点に気をつけるべきです。

  • ・就寝中の音刺激、光刺激
  • ・高温多湿で寝苦しい部屋や寒すぎる部屋
  • ・身体にフィットしない不適切な枕やマットレスといった寝具の使用

最低限、上記の就寝環境を解消することで不眠症を改善できる可能性もあるため、ぜひチェックしてみてください。

夜遅くのスマホいじりを控える

不眠症の治し方として、夜遅くのスマホいじりを控えることも大切です。夜間のスマホいじりによる光刺激は、睡眠を誘うホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、睡眠相を後退させてしまうからです。
そのため、少なくとも就寝の3〜4時間前からはスマホいじりを控えることをオススメします。特に中学生や高校生ではスマホ依存、ゲーム依存の子供も少なくないため、注意が必要です。

カフェインの摂取を控える

不眠症の治し方として、カフェインの摂取を控えることも大切です。カフェインには覚醒作用が含まれているため、人によっては不眠症の原因になるからです。
カフェインはコーヒー以外にも、日本茶、ウーロン茶、エナジードリンク、チョコレートなど多くの食品に含まれているので、夕方以降の摂取には注意しましょう。

鉄分を摂取する

不眠症の治し方として、鉄分を摂取することも大切です。鉄分が不足すると赤血球を作ることが出来ず、貧血に陥り、日中の倦怠感や眠気の原因になるからです。
特に、中学生や高校生では偏った食生活による鉄分不足や、生理に伴う鉄分喪失によって貧血に陥りやすいため注意が必要です。また、鉄分不足はむずむず脚症候群の発症にも関与していると言われています。
快適な睡眠を得るためにも、鉄分不足に陥らないように注意しましょう!

専門の医療機関を受診する

不眠症の治し方として、専門の医療機関を受診することも検討すべきです。不眠症の原因によっては、上記の改善策では不十分であり、専門の医療機関での治療が必要な病気もあるからです。
具体的には、睡眠相後退症候群、ナルコレプシー、むずむず脚症候群、睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。
これらの疾患は放置すると命に関わるような重篤な事態を招く可能性もあるため、上記で症状が当てはまる方は医療機関を受診しましょう!




まとめ

スッキリした目覚めの女性、イラスト
この記事では、中学生や高校生の不眠症をチェックするポイントや原因、解消法などについて解説しました。
中学生や高校生はスマホいじりや受験勉強のため、つい夜更かししてしまうことも少なくありません。しかし、不眠症は朝起きられなくなるだけでなく、日中の眠気によって授業や対人関係にも支障をきたす可能性があります。

また、重篤な病気が背景に隠れている可能性もあるため、心当たりのある方は早期に医療機関への受診を検討しましょう。
原因に対して適切な対処を行い、心地よい睡眠を手に入れましょう!




よくある質問

Q.中学生や高校生の場合、睡眠時間は何時間がいいですか?

A.理想的な睡眠時間には個人差があり、年齢によって規定されているわけではありません。
しかし、一般的に夜間の平均睡眠時間は15歳で約8時間、25歳で約7時間程度であり、多くの高校生は7〜8時間程度の睡眠を取っています。
ご自身の睡眠時間をチェックするために、睡眠日誌の付けるのもオススメです。

Q.中学生や高校生の不眠症では何科を受診すべき?

A.原因となる疾患によっても異なります。 例えば、むずむず脚症候群やナルコレプシーであれば神経内科、睡眠時無呼吸症候群では呼吸器内科を受診すべきです。
睡眠時無呼吸症候群の対策については、【眠れない?】睡眠時無呼吸症候群の対策方法をご紹介にて詳しく解説しています。

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睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

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