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スマホ依存症で眠れない人急増!?睡眠障害を解決する意外な方法とは

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睡眠の質を上げる健康医療メディア睡眠Dr.の編集部です。いびき治療や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方、睡眠の質を良くする方法、睡眠障害(不眠症、ショートスリーパー、ナルコレプシー、過眠症)についてなど、睡眠のエキスパート達によって執筆されるコンテンツは、医学的根拠に基づいて作成されています。

  1. 【2023年版】札幌のおすすめ睡眠外来クリニック10選

  2. 【実は迷信?】北枕に科学的根拠はあるのか徹底調査

  3. 寝る時の適正温度は何度?快眠できるエアコンの使い方と電気代

【基本情報】スマホ依存症

暗い部屋の中でスマホを見る女性

まずは、スマホ依存症の基本情報について解説していきます。

スマホ依存症とは

スマホ依存症とは、スマートフォンに熱中するあまり、利用時間などを自分でコントロールできなくなって日常生活に支障が出る病気です。主に、次のような症状が見られます。

  • <スマホ依存症の主な症状>
  • ・スマホが手元にないと落ち着かない
  • ・スマホを使用できない状況が続くとイライラする
  • ・1日中スマホが気になってしまう
  • ・メールやSNSを必要以上にチェックする
  • ・メールやLINEにはすぐに返信しないといけないと考えてしまう
  • ・何気なくネットサーフィンや動画視聴をしていたら、かなりの時間が経ってしまっている
  • ・1ヶ月の課金額が生活を圧迫している(お小遣い以上に課金してしまう)

スマホ依存症は、アルコール依存症や薬物依存症のように医学的に明確な定義があるわけではありません。ですが、現代における新たな「依存症」として現代人に強い影響を与えているといえるでしょう。

コロナ禍でスマホ依存が急増中⁉︎

近年では、コロナ禍で在宅時間が増えたことにより、スマホ依存症になる人が急増しています。

コロナ禍でどれだけスマホの使用時間が増えたか

これは、スマホを所有する社会人の男女2,215人を対象に、コロナ禍を機にスマホの使用時間がどれだけ変化したか実態調査した結果のグラフです。

調査を行った結果、「スマホの使用時間が増えた」と答えた人は全体の78.8%で、そのうち「すごく増えた」と答えた人が22.6%、「増えた」と答えた人が32.2%、「やや増えた」と答えた人が24.0%になりました。

また、スマホの平均使用時間をコロナ禍前後で比較してみると、コロナ前では1日の平均使用時間が3時間32分だったのに対して、コロナ以降では平均4時間54分、全体で1時間22分もスマホ使用時間が増加しています。その上、中には1日の使用時間が18時間に達している人もいました。

これらを踏まえると、コロナ禍においてより多くの人がスマホを使用する機会が増え、それに伴ってスマホ依存症に陥る人も増加しているのが分かります。




【過程】どうしてスマホに依存してしまうの?

街中でスマホをいじる女性

では、なぜ多くの人は便利なツールとしてではなく、依存症になるほどスマホにのめり込んでしまうのでしょうか?依存症に陥る過程から、紐解いていきましょう。

報酬を求める脳の回路が作られる

私たちが日々物事を考えたり感じたりできるのは、脳の神経細胞がさまざまな情報伝達を行っているからです。しかし、そこにアルコールや薬物などの特定物質が入ると、脳の情報伝達に働きかけて、ドーパミンという物質が放出されます。

このドーパミンは「快楽物質」と呼ばれており、脳内に放出されると中枢神経が興奮し、快感やよろこびにつながります。この感覚を脳が報酬(ごほうび)と認識すると、その報酬(ごほうび)を求める回路が脳内にできあがり、次第に本人の意志とは関係なく反復するクセがついてしまうのです。

上記のような現象は、アルコール依存症や薬物依存症のように特定の「物質」においてよく見られます。
ですが、スマホをはじめとしたギャンブルや買い物などの「行為」でも、同じように脳の中で報酬を求める回路が働いているといわれています。

耐性と離脱症状が現れる

そして、依存症で問題になるのは「耐性」と「離脱症状」です。

「耐性」とは、アルコールや薬物など特定の物質を習慣的に摂取し続けることで、体がその変化に慣れてしまい、従来と同じ量を摂取しても今まで通りの効果が得られなくなる現象です。そのため、気づかないうちに使用量や頻度が増えていってしまいます。

そして、特定の物質が体から抜けて快楽物質の分泌が制限されると、極度の不安状態やイライラ、体のふるえ、幻覚・幻聴などが現れるようになります。これが「離脱症状」です。

スマホやギャンブル、買い物など「行為」に依存している場合も、スリルや興奮、快感が思うように得られなくなると、一部の離脱症状が起こるといわれています。

こうしたプロセスによって人間はスマホに依存し、いつしか自分ではやめられない、抜け出せない状態になってしまうのです。




スマホ依存症が睡眠障害をもたらす

暗い寝室でスマホをいじる幼い男の子

スマホ依存症がエスカレートすると、特に睡眠に大きな影響を与えるようになります。

不眠症

不眠症は、睡眠障害の中で最も患者数が多いとされる疾患で、「寝つきが悪い」「ぐっすり眠れない」などの症状が現れます。

特に、スマホ依存症の場合は夜遅くまでSNSを見ていたり、友達と連絡を取ったり、時間を忘れてゲームに熱中していたりすることで睡眠時間が遅くなり、慢性的な睡眠不足に陥るケースが多いです。

概日リズム睡眠・覚醒障害

概日リズム睡眠・覚醒障害は、地球の昼夜サイクルとは異なるタイミングで睡眠や覚醒をするようになる疾患で、「夜になっても眠くならない」「朝になってもなかなか起きることができない」などの症状を引き起こします。

本来、私たちの体には約24時間周期で生理機能や行動を調節する体内時計が備わっています。これを概日リズムといい、睡眠・覚醒のリズムをこの概日リズムに合わせることで、会社や学校などの社会活動に無理なく参加することができます。

しかし、この概日リズムが地球の明暗周期に合わなくなると、望ましいタイミングで寝起きすることができなくなり、日常生活に著しい悪影響が出ます。

特に、夜遅くまでスマホを操作することで、概日リズムに乱れが生じます。そして、次第に自分の力では正しい生活習慣に戻すことができなくなり、朝になっても体を起こすことができず、無断欠勤や不登校など社会生活に大きな影響を及ぼすようになります。




スマホ依存による睡眠障害を解決する意外な方法とは

風景を撮る女性

では、上記のようなスマホ依存症による睡眠障害に陥ってしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?

おそらく、「スマホを見るのをやめる」とか「スマホを使う時のルールを決める」といった方法は誰しも思いつくと思います。もちろん、これらの方法も大いに有効ですし、下記記事でも紹介しています。

しかし、多くの人は「そんなことは分かっているけれど、できない!」と悩んでいるでしょう。そこで本記事では、スマホ依存による睡眠障害を解決する意外な方法を紹介していきます。

スマホを取り上げるのはNG

まず、多くの人は「スマホを使い過ぎるなら、スマホを手放せば良い」と考えると思います。ですが、この方法はスマホ依存症を悪化させるNG行為です。

前述の通り、スマホ依存症はスマホが手元からなくなると、イライラしたり極度の不安に襲われたりと、精神的な離脱症状が現れることがあります。ゆえに、スマホを無理やり手放すのは逆効果です。

スマホを否定しない

スマホ依存症を解消する上で大事なポイントは、スマホを否定しないことです。

今や、現代社会を生きる上でスマホはなくてはならないものになっています。しかも、最近のネットサービスは、ユーザーが楽に、手軽に、そしてスムーズに使えるよう考え抜かれているので、過剰利用に陥ってしまうのも仕方がないといえます。

ですので、まずはスマホを使うこと、そして頼りすぎてしまうことを否定しないことが大切です。

スマホの使い過ぎを防ぐスモールステップ

その上で、スマホを使う機会を徐々に減らしていくことが必要になります。

すぐにできる方法としては、次のようなものがあります。

  • <スマホの使い過ぎを防ぐスモールステップの例>
  • ・スマホを開く前に使用時間を決め、アラームを設定する
  • ・枕元に充電器を置かない
  • ・朝起きる目覚ましはスマホではなく時計を使う
  • ・思い切って夜間は電源を切る
  • ・スマホのホーム画面にアプリを設置しないようにする
  • ・スマホの画面の色を赤一色などに変えて、「使いたい」という気持ちを抑える(色の効果によってやる気を抑える効果がある)

こうした方法を試して、少しずつスマホから手を離す時間を儲けるようにしましょう。そして、上記でも説明したように、一気にスマホ利用をゼロにするのではなく、少しずつ達成するスモールステップを意識して行うことがオススメです。

スマホで見た情報を実際に体験する

もう1つスマホを手放す方法として、スマホで見た情報を実際に「体験する」のも効果的です。

例えば、SNSで美味しそうなパフェの写真を見たとします。普段だとその情報を見ただけで済ませてしまいますが、そこで終わりにせず、そのパフェを実際に食べに行く計画を立てるのです。

もちろん、こうした体験をするには費用も時間もかかるため、ものによってはすぐに体験するのは難しい場合もあるでしょう。

しかし、実行するために仕事に熱心に取り組んだり、旅程を考えたり、自分よりも詳しい人に話を聞いたりすれば、相対的にスマホ利用時間を減らすことにつながります。当然、実際に体験する時間を増やしていけば、さらにスマホ時間を減らすことも可能です。

最近はスマホなど画面を通した情報ばかりで、リアルな情報を手に取る機会が希薄になっている傾向にあります。したがって、「スマホで見た」で終わりにせず「スマホでも見たけれど、実際にこの目でも見た」をゴールにすることで、スマホ以外の楽しみが見出され、徐々にスマホを手放すことができるようになるでしょう。

ひとりで悩まず医療機関へ相談する

最後に、スマホ依存症に悩んでいる人は、ひとりで抱え込まず医療機関へ相談することも検討しましょう。

スマホ依存症は、誰でも発症する可能性のある病気です。特に、スマホは日々肌身離さず持ち歩いているものなので、些細なきっかけからのめり込み、やめられなくなることは十分起こり得ます。
ゆえに、自分や家族にスマホ依存症の兆候が見られたり問題が起きたりした場合は、躊躇せず医療機関や支援機関に相談することも大切です。

医療機関では、主に精神科や心療内科などで診察してもらうことができます。近くに該当する診療科がない場合は、かかりつけ医に相談し紹介状を書いてもらうなどの対応をしてもらうと良いでしょう。




まとめ

スマホを操作する女性

今回は、スマホ依存症について深掘りし、睡眠障害になった際にぜひ試してほしい解決法を解説しました。

スマホ依存症は、スマホに熱中するあまり自分で使用時間をコントロールできなくなった状態で、近年(特にコロナ禍をきっかけに)患者数が増えています。

そして、スマホ依存症は日常生活の中でも特に睡眠に与える影響は大きく、不眠症や概日リズム睡眠・覚醒障害などの深刻な睡眠障害を発症させることもあります。

スマホ依存症を解消するには、徐々にスマホを手放して利用時間を減らしていくことが大切です。もし、症状が深刻な場合は迷わず医療機関に相談し、治療を受けるようにしましょう。




よくある質問

Q.スマホ依存症とはなんですか?

A.スマホ依存症とは、スマートフォンに熱中するあまり、利用時間などを自分でコントロールできなくなって日常生活に支障が出る病気です。

Q.スマホ依存症によってどんな睡眠障害を発症しますか?

A.不眠症や概日リズム睡眠・覚醒障害を発症する可能性があります。概日リズム睡眠・覚醒障害については、「【睡眠障害と何が違う?】概日リズム睡眠障害とは?原因や解消方法をご紹介」でも解説しています。

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