人はなぜ夢を見るのか
脳は覚醒しているのに、体は休息モードに入っている睡眠のことをレム睡眠といい、夢を見るのはこのレム睡眠の時だと言われています。レム睡眠は睡眠中に何度かにわけて発生し、合計すると一晩に2時間ほどになります。つまり、覚えているかいないかは別にして、人は寝ている間に映画一本分くらいの夢を見ているものなのです。夢を見るレム睡眠は、赤ちゃんがもっとも長く、年をとるにつれて短くなっていきます。
そもそも、人はなぜ夢を見るのでしょうか。「夢は欲求不満の表れだ」と言う人もいます。ダイエット中に、焼肉を食べきれないくらいに食べて幸せいっぱいになる夢を見たり、何年も恋人がいない人が、理想的な相手とディズニーランドで楽しくデートをする夢を見たりします。こうした夢は、その人の欲求不満がもとになって夢に表れたとも考えられます。
人間の心には、自分で意識できる部分(顕在意識)と、自分ではまったく意識していない部分(潜在意識)の二つがあります。顕在意識では脳がストップをかけていた行動を、潜在意識の中では思い切って実行してしまった、というのが焼肉の夢の例です。また、デートの夢の例では、普段から恋人がいなくて寂しいという気持ちを、プライドの高さや仕事の忙しさなどで普段は意識的に考えないようにしていても、心の奥底(潜在意識)ではやはり自分は寂しい、ということを夢という形で潜在意識が教えてくれています。
こうした欲求不満だけが夢を見る原因ではありません。人は日常生活を送っていく中で、多くの人と言葉をかわしたり、新聞、テレビ、雑誌などから膨大な情報を日々吸収しています。潜在意識の中にある膨大な情報のうち一部が、何かのきっかけで夢に登場していると考えられています。
レム睡眠の時に夢を見ることによって、人間は一日に収集した膨大な情報を整理し、記憶として保存する必要があるものとないものに分類していると言われています。睡眠時間が長くなると当然レム睡眠も長くなり、情報の整理に使える時間が長くなります。ストレスの原因になるいやな出来事も、一晩寝るとスッキリするのは、レム睡眠の間に、そうした不愉快な情報は自分が楽しく生きていくには不要だ、と脳が判断して記憶に定着させないようにしているためと考えられます。