睡眠不足は重大な事故を引き起こす
当たり前のことですが、睡眠不足がたまっていると、昼間に強烈な眠気に襲われることがあります。人間の睡眠・覚醒サイクルの関係で、午後2時前後に眠くなるのは誰にも起きる自然なことですが、睡眠不足の時には特に眠気が強くなります。起きていなくてはいけない、という意識とはうらはらに、眠気は容赦なく襲ってきます。このような本格的な睡魔の攻撃にあってしまうと、人間が必死に抵抗しても限界があります。ちょっとだけ目を閉じてみよう、と考えたが最後、数秒間の瞬間的な眠りが発生します。これをマイクロスリープといいます。マイクロスリープは時には1秒や2秒という非常に短い時間であるために、本人は眠っているという実感がありません。しかし、意識は確実に遠のき、集中力はゼロに近い状態になっています。思考力、判断力も著しく低下し、生産性も当然大きく落ちることになります。
オフィスでパソコン作業をしている時にマイクロスリープが発生しても、せいぜいガクっと動いて回りに気づかれて気まずい思いをする程度で済みます。しかし、これが重機を操縦して危険な作業をしている場合や、乗客の生命を預かっているバスの運転や飛行機の操縦をしている最中であったら、取り返しのつかない致命的な事故に直結することが十分ありえます。
マイクロスリープだけでなく、睡眠時無呼吸症候群という病気にかかっている場合も、上記のような危険な事故につながるような危険性があります。アメリカのスリーマイル島で起きた原子炉爆発事故(1979年)チェルノブイリ原子力発電所の放射能漏れ事故(1986年)、アラスカ沖巨大タンカー座礁事故(1989年)、スペースシャトルのチャレンジャー号爆発事故(1986年)などは、作業にあたった現場のスタッフが睡眠時無呼吸症候群によって睡眠不足となっていたことが原因だったと考えられています。
こうした海外の大事故のニュースを見ても、つい自分の生活とは直接関係がないと考えてしまいがちですが、決してそんなことはありません。日本国内においても、バスやタクシーの運転手や新幹線の運転士が居眠り運転をして事故になったという事例は複数報告されていますから、自分自身がいつそうした事故の被害者にならないとも限らないのです。