金縛りは心霊現象ではありません

意識はハッキリしているのに、手足を動かそうと思ってもまったく体が言うことをきかない、といういわゆる金縛りの経験がある人は決して少数派ではありません。中にはこれを心霊現象だとか幽霊のたたりや呪いだと考えて恐れる人がいますが、金縛りは決して心霊現象ではありません。

脳の動きが活発なのに、体の筋肉は活動を休止している睡眠状態をレム睡眠といいます。このレム睡眠の時に何かのきっかけで目が覚めてしまうと、意識がハッキリしているのに思うように体が動かないことがあります。筋肉がだらっと弛緩した(ゆるんだ)状態であるために、「動け」と脳が指令を出しても筋肉には伝わらず、自分の意思ではまったく動かすことができないのです。これが金縛りの正体で、睡眠医学では睡眠麻痺と呼ばれています。時間的には長くても1〜2分程度です。焦る必要はまったくないので、特に気にせず体が動くようになるのを気楽に待ちましょう。慣れてくると「ああ、また金縛りがきたな」と冷静に受け止めることができます。

通常であれば、眠りから目が覚めて覚醒状態となれば筋肉にも自然と力が入るようになり、思ったとおりに体を動かすことができます。しかし不規則な生活や過度の肉体疲労、ストレスがたまった状態が続くと、覚醒するということと筋肉の動きがうまくかみ合わず、不整合を起こしてしまうことがあります。霊が体の上に乗っかって重くて動けない心霊現象や、たたりのしわざではなく、原因は自分自身にあるのです。

金縛りは、眠りに落ちる直前や明け方に目覚めた時など、覚醒と睡眠のスイッチの切り替えがうまくいかなかった時に起きやすいようです。睡眠のリズムが一定でない人、徹夜が続く人、昼夜交代勤務によって寝る時間が毎日違う人は、金縛りにかかりやすいタイプだといわれています。 
金縛りには特に男女差はないようですが、生活サイクル(睡眠サイクル)が不規則になりがちな若い人に起こりやすく、睡眠不足やストレスがたまってきた時に特に発生します。思春期から青年期にかけて比較的発生しやすいようですが、中高年になってからや子どもでも経験する人もいます。昼夜交代の勤務時や海外で時差ぼけになっている時も、金縛りになる条件が整っています。規則的な睡眠をこころがけ、一定の生活サイクルを取り戻せば、自然と金縛りはなくなるはずです。